労働基準調査組合

職場トラブル解決ガイド

36. 有期労働契約の中途解除

Q 有期雇用の1年契約で働いています。半年経過後、「契約解除する」と言われました。
A 有期雇用の場合、会社から期間途中の解雇はできません。

法律上の重要なポイント

有期労働契約の場合、会社はやむを得ない事由がある場合でなければ、期間途中の解雇はできません(労働契約法第17条)。

詳しい解説

契約期間等について

労働契約の期間を定める場合は、不当な人身拘束を防ぐため、上限3年です。特別の例外として、5年以内の契約期間が認められています(労働基準法第14条)。

特別の例外(5年契約が可能な場合)

以下の場合は契約期間の上限が5年となります。

  • 高度専門職の場合 専門的な知識、技術または経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する働く人(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く人に限る)との間に締結される労働契約
  • 高齢者の場合 満60歳以上の働く人との間に締結される労働契約
  • 特定事業の場合 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)
専門的知識等であって高度のもの(厚生労働大臣が定める5年特例の基準)
学位・資格に基づく認定
  • 博士の学位を有する人(大学等で専門的知識等にかかる課程の専攻が必要)
  • 以下の資格を有する人
    • 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士
    • 一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士
    • 不動産鑑定士、技術士、弁理士
  • システムアナリスト試験合格者
  • アクチュアリー試験合格者
  • 特許発明者、登録意匠創作者、登録品種育成者
学歴・実務経験・年収に基づく認定

一定の学歴および実務経験を有する次の職種で年収が1,075万円以上の人。

  • 農林水産業の技術者
  • 鉱工業の技術者
  • 機械・電気技術者
  • 建築・土木技術者
  • システムエンジニア
  • デザイナー
  • システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
学歴及び実務経験の必要要件

以下のいずれかを満たすこと。

  • 「大学卒+実務経験5年以上」
  • 「短大・高専卒+実務経験6年以上」
  • 「高卒+実務経験7年以上」
その他

国等により、有する知識等が優れたものであると認定され、上記に掲げる人として厚生労働省労働基準局長が認める人

期間途中の退職(働く人から)

上記の特別の例外以外の場合は、契約日から1年を経過した日以降は、働く人は会社に申し出ることにより、いつでも退職することができます(労働基準法附則第137条)。

なお、やむを得ない事由がある場合は、契約日から1年未満であっても期間途中の退職ができます(民法第628条)。

会社からの期間途中の解雇

会社はやむを得ない事由がある場合でなければ、期間途中の解雇はできません(労働契約法第17条)。

「やむを得ない事由」の判断

「やむを得ない事由」は通常の解雇の事由よりも厳しく判断されます。不当な解雇の場合、会社は少なくとも期間満了までの賃金分の支払義務を負います(民法第536条2項)。

有期労働契約への変更について

期間の定めのない労働契約を締結している場合には、その働く人との合意なく有期労働契約に変更することはできません(労働契約法第8条)。

関連する法律条文

労働基準法第14条、附則第137条 労働契約法第8条、第17条 民法第536条第2項、第628条

詳細について

以下のURLを参照してください
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chyousei_jirei/dl/10.pdf

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