労働基準調査組合

職場トラブル解決ガイド

20. 育児・介護休業取得に伴う不利益取扱い

Q 育児休業から復帰しようとしたら、会社から「あなたのポジションはない、パートタイム労働者であれば復帰も可能」と言われました。
A 育児休業の申し出をしたことや取得したことを理由に、不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。

法律上の重要なポイント

育児・介護休業法では、育児・介護休業の申し出をしたこと及び取得したことを理由として、解雇その他「不利益な取扱い」は禁止されています(第10条、第16条)。
不利益な取り扱いには、労働契約内容の変更の強要なども含まれます。

詳しい解説

不利益な取扱いの禁止・防止措置義務について

会社は、働く人が育児休業の申し出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該働く人に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(育児・介護休業法第10条)。

禁止されている不利益取扱いの範囲

育児休業の他、以下の制度について申し出をし、または制度を利用したことを理由とする解雇その他不利益な取扱いも禁止されています。

  • 介護休業
  • 子の看護休暇
  • 介護休暇
  • 決められた時間外労働の制限
  • 残業の制限
  • 深夜業の制限
  • 決められた労働時間の短縮等の措置
  • 始業時刻変更等の措置
防止措置義務

上司・同僚が職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする職場環境を害する行為を行わないよう、会社は防止措置を講じなければなりません(男女雇用機会均等法第11条の2、育児・介護休業法第25条)。

「不利益な取扱い」の具体例

以下のような行為が不利益な取扱いに該当します。

雇用関係の終了・変更
  • 解雇すること
  • 期間を定めて雇用される人について、契約の更新をしないこと
  • あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること
  • 退職または正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
職場環境・勤務条件の悪化
  • 職場環境を害すること
  • 自宅待機を命ずること
  • 働く人が希望する期間を超えて、その意に反して決められた時間外労働の制限、残業の制限、深夜業の制限または決められた労働時間の短縮措置等を適用すること
人事・処遇上の不利益
  • 降格させること
  • 減給をし、または賞与等において不利益な算定を行うこと
  • 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと
  • 不利益な配置の変更を行うこと
派遣社員への不利益取扱い
  • 派遣社員として働く人について、派遣先が当該派遣社員にかかる労働者派遣の役務の提供を拒むこと
法的効力について

厚生労働省の通達においては、「『解雇その他不利益な取扱い』に該当する法律行為が行われた場合においては、当該行為は民事上無効と解される」としています。

休業期間の取扱いについて

育児・介護休業の期間は、年次有給休暇の発生要件である出勤率の算定に当たっては、出勤したものとして取り扱われます(労働基準法第39条第8項)。

関連する法律条文

育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2、第25条。
労働基準法第39条第8項。
男女雇用機会均等法第11条の2。

詳細について

以下のURLを参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000137181.pdf

まずは無料相談
  • まずは無料相談
  • 詳細はこちらから

職場トラブル解決ガイド一覧