職場トラブル解決ガイド
29. みなし労働時間制(職場外)
残業しても定額の手当しか支払われません。
適切な時間管理が求められ、残業に対しては割増賃金の正当な計算・支払いが必要です。
法律上の重要なポイント
雇用期間に定めがない契約の場合、退職の申し出をしてから2週間が過ぎると、雇用契約は自動的に終了します(民法第627条第1項)。
詳しい解説
みなし労働時間制について
みなし労働時間制は、労働時間の算定を適切に行うためのもので、以下の2種類があります。
- 職場外労働に関するもの
- 裁量労働に関するもの
前者は、職場外で労働するため会社の指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な業務の場合に適用されます。
重要な注意点
職場外で労働する場合であっても、労働時間の算定・管理ができるときは、この制度を適用できません。
職場外みなし労働時間制について
職場外みなし労働時間制においては、次の時間がみなし労働時間となります。以下の場合には36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要となります。
みなし労働時間の決定方法
- 原則:決められた労働時間
- 例外1:その業務の遂行には通常決められた労働時間を超えて労働することが必要な場合には、その通常必要とされる時間
- 例外2:通常必要とされる時間を労使協定で定めたときは、その時間
労使協定の内容と届出について
上記の労使協定では、以下を定める必要があり、労働基準監督署に届け出なければなりません。なお、協定で定める時間が法律で決められた労働時間以下である場合は届出不要です。
労使協定で定める内容
- 業務の種類
- 男女別働く人の数
- 1日の決められた労働時間
- 協定で定める時間
- 協定の有効期間
届出の特例
この労使協定の内容を36協定の届出に付記して届け出ることが認められています。
適用範囲などについて
みなし労働時間制は労働時間の算定に関することであり、算定の結果、法律で決められた労働時間を超えた場合は、当然に割増賃金の計算・支払いが必要です。
その他の法律上の義務
以下についても法律で定められた取り扱いが必要です。
- 休憩
- 休日
- 深夜業
関連する法律条文
労働基準法第38条の2、労働基準法施行規則第17条、第24条の2
詳細について
以下のURLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0428-7b1p.html
職場トラブル解決ガイド一覧
- 1.退職の権利
- 2.労働基準法上の管理・監督者
- 3.労災保険
- 4.変形労働時間制
- 5.妊産婦保護、妊娠に伴う不利益取扱い
- 6.就業規則
- 7.労働者派遣と派遣会社・派遣先会社の責任
- 8.倒産と未払い賃金の立替払い
- 9.健康診断
- 10.休憩時間
- 11.有期労働契約から無期労働契約への転換
- 12.休業中の賃金
- 13.社会保険
- 14.妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメント
- 15.セクシュアル・ハラスメント
- 16.いじめ、パワー・ハラスメント
- 17.高齢者雇用(定年後の継続雇用制度)
- 18.ストレスチェック
- 19.育児休業・介護休業
- 20.育児・介護休業取得に伴う不利益取扱い
- 21.パートタイム労働者の税金
- 22.求職者支援制度
- 23.雇用保険
- 24.一時金・退職金
- 25.業務上のミスに対する損害賠償責任
- 26.賃金支払と一部控除
- 27.最低賃金
- 28.割増賃金・固定残業代
- 29.みなし労働時間制(職場外)
- 30.みなし労働時間制(裁量労働制)
- 31.高度プロフェッショナル制度
- 32.年次有給休暇
- 33.解雇
- 34.雇用形態の違いによる不合理な待遇差禁止
- 35.有期労働契約の雇い止め
- 36.有期労働契約の中途解除
- 37.労働者代表選出と労使協定
- 38.求人票・求人広告と労働条件の明示
- 39.採用内定の取り消し・延期について
- 40.36協定と特別条項付き協定について