職場トラブル解決ガイド
22. 求職者支援制度
法律上の重要なポイント
詳しい解説
求職者支援制度について
失業したが雇用保険の受給資格がない、あるいは雇用保険の受給が終了しても再就職先が見つからず、生活に困窮している人を対象とした支援制度として、求職者支援制度があります。
相談窓口
住所地を管轄するハローワーク
対象者について
求職者支援制度の対象者は、以下のすべての要件を満たす人です。
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 雇用保険に加入している人や雇用保険受給者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワーク所長が認めたこと
具体的な対象者の例
- 雇用保険に加入できなかった人
- 雇用保険を受給している間に再就職できないまま支給期間を終了した人
- 雇用保険の加入期間が足りないため雇用保険を受給できない人
- 自営業者の廃業者
- 学卒未就職者等
職業訓練受講給付金について
上記の対象となる求職者が、ハローワークの指示を受けて、求職者支援訓練や公共職業訓練を受講し、一定の支給要件を満たす場合、職業訓練受講給付金が支給されます。
支給要件
以下のすべてを満たすことが必要です。
収入・資産に関する要件
- 本人収入が月8万円以下(シフト制などで働く場合は月12万円以下(2023年3月末までの特例措置))
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
その他の要件
- すべての訓練実施日に出席(やむを得ない事由がある場合は8割以上の出席)
- 同世帯の中に同時に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
支給額について
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:職業訓練を行う施設までの通所経路に応じた決められた額(上限額あり)
- 寄宿手当:月額10,700円
地方自治体による支援
家賃補助(住居確保給付金)の支給
離職者であって働く能力と働く意欲のある人のうち、住居を失った状態(失うおそれを含む)にある人(要件あり)に対して、賃貸住宅の家賃を給付します。
- 期間:原則3ヶ月、延長は2回まで最大9ヶ月
- 給付額:地方自治体ごとに決定
社会福祉協議会による支援
一時的な融資(臨時特例つなぎ資金)の貸付があります。
- 融資額:上限10万円
- 利子:無利子
- 連帯保証人:不要
利用上の注意点
「一時的な融資(臨時特例つなぎ資金)」を除いて、上記の各制度を同時に利用することはできません。
ただし、雇用保険の受給資格がない人は、家賃補助と総合支援資金を同時に利用することが可能です。
いずれの制度も、ハローワークでの求職申し込みや職業相談、世帯収入等の要件があります。詳細についてはハローワーク、市区町村の福祉関係窓口での相談・確認が必要です。
国民健康保険料の減免制度について
解雇・雇い止めによって離職し、雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当する場合は、国民健康保険料(税)が減免されます。
具体的な内容:
離職の翌日から翌年度末までの間、保険料(税)の計算根拠となる前年の給与所得の額が30%とみなされます。
手続き:
軽減を受けるには市区町村への申請が必要です。
詳細について
以下のURLを参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
職場トラブル解決ガイド一覧
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- 5.妊産婦保護、妊娠に伴う不利益取扱い
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