退職代行ローキ(労働基準調査組合)

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職場トラブル解決ガイド

6. 就業規則

Q 就業規則を見せてほしいと頼んだら、「うちの会社にはない」と言われました。
A 常時10人以上の従業員を雇っている事業所には、作成、労働基準監督署への届出(変更の際も含む)、従業員への周知の義務があります。

法律上の重要なポイント

就業規則の作成・変更にあたっては従業員代表の意見を聞く義務があり、その就業規則を従業員に周知しなければなりません(労働基準法第89条・第90条・第106
条)。

詳しい解説

作成・届出義務について

就業規則の作成・届出義務があるのは「常時10人以上の従業員を雇っている」事業所です。従業員数が時期によって変動する場合もありますが、「常態として」10人以上であるかどうかで判断します。従業員数にはパートタイム労働者やアルバイト、有期雇用労働者など雇われているすべての人が含まれます。規模10人未満であっても作成・周知が望ましいとされています。

記載内容について
絶対的必要記載事項(必ず記載すべき事項)
  • 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇
  • 交替制の場合は就業時転換に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金を除く)の決定・計算方法、支払方法、締切日・支払時期
  • 昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(「解雇の事由」を含む)
相対的必要記載事項(定めがあれば必ず記載すべき事項)
  • 退職手当に関する定めが適用される従業員の範囲、手当の決定、計算および支払の方法ならびに支払時期に関する事項
  • 臨時の賃金、最低賃金額に関する事項
  • 従業員の食費、作業用品その他従業員負担に関する事項
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰および制裁の種類、程度に関する事項
  • 前項のほか当該事業場のすべての従業員に適用される定めをする場合においては、これに関する事項
任意的記載事項(記載が任意である事項)

上記以外で法令や労働協約、公序良俗に反しない事項

法令等の周知義務について

就業規則は、それぞれの事項について別の規則とすることもできます。一般的には、退職金、資格制度、旅費規程など賃金と関連する事項を別に規定する例が多くあります。また、就業規則・労使協定・労使委員会の決議を従業員に周知しなければなりません(労働基準法第106条)。

従業員に周知しなければならない項目
  • 貯蓄金管理
  • 社会保険や共済などのための賃金控除制度
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制
  • 一斉休憩の適用除外
  • 残業・休日労働
  • 代替休暇
  • 事業場外のみなし労働時間制
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制にかかる委員会の決議
  • 時間単位の年次有給休暇の付与
  • 年次有給休暇の計画的付与
  • 年次有給休暇中の賃金
  • 高度プロフェッショナル制度にかかる委員会の決議
周知の方法
  • 各従業員への書面の交付
  • 常時各作業場の見やすい場所への掲示または備え付け
  • 磁気ディスク等に記録した内容を常時従業員が確認できる機器の各作業場への設置
就業規則の開示について

会社には従業員に対して就業規則を周知する義務がありますが、会社に周知を求めても、閲覧などさせないケースがあります。

このような場合には、労働基準監督署を通じて開示を求めることができます。

開示・請求できるのは、届出のあった事業場に所属する従業員または退職した従業員(この事業場との間で権利義務関係に争いがある人)です。

意見聴取義務について

作成または変更にあたっては、従業員代表の意見を聞く義務があり、労働基準監督署への届出に際して従業員代表の意見書の添付が必要です。

意見聴取の相手方は過半数労働組合(過半数労働組合がない場合は、過半数従業員代表者)です。なお従業員数にはパートタイム労働者なども含まれます。

過半数従業員代表の選出方法は民主的手続きが必要です(労働基準法施行規則第6条の2)。

聴取の程度等は協議による決定や同意を必要とするものではなく、反対意見であっても意見を聞けば、届出は受理されます。

就業規則による不利益変更について

労働条件は従業員と会社の合意により変更することが原則です。労働契約法第10条の場合を除き、従業員と合意することなく、就業規則を変更することによって、従業員の不利益に労働条件を変更することはできません(労働契約法第8条、第9条)。

会社が就業規則の変更によって労働条件を変更する場合の要件

以下のことが必要です(労働契約法第10条)。

  1. 変更の合理性。変更が、従業員の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の事情などに照らして、合理的であること
  2. 周知の要件。変更後の就業規則が従業員に周知されていること

ただし、労働契約において従業員および会社が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、就業規則の変更により労働条件が下回る場合を除きこの限りではありません(労働契約法第10条、第12条)。

罰則

作成・届出・周知義務違反は30万円以下の罰金(労働基準法第120条)。

関連する法律条文

労働基準法第18条、第24条、第32条の2、第32条の3、第32条の4、第32条の5、第34条、第36条、第37条の3、第38条の2、第38条の3、第38条の4、第39条、第41条の2、第89条、第90条、第106条、第120条。労働契約法第7条、第8条、第9条、第10条、第12条

詳細について

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/syugyo_06.pdf

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