職場トラブル解決ガイド
21. パートタイム労働者の税金
法律上の重要なポイント
詳しい解説
所得税がかからない年収の上限について
パート収入は、給与所得となります。給与をもらっている人の場合、税金がかかる所得は、年収から給与所得控除(最低55万円)と基礎控除(48万円)を差し引いた金額になります。
計算方法
年収103万円 - 給与所得控除55万円 - 基礎控除48万円 = 0円
そのため、年収103万円までは所得税がかかりません。
さらに個人の事情(扶養家族の人数や医療費、社会保険料、生命保険料などの支払い等)に応じて税負担が調整されます。
年収120万円の場合の例
所得控除が基礎控除だけの場合。
年収120万円 - 給与所得控除55万円 - 基礎控除48万円 = 税金がかかる所得17万円
個人住民税がかからない年収の上限について
前年の所得金額が自治体が定める住民税の課税基準を下回る場合は、個人住民税がかかりません(自治体によって基準は異なります)。
東京23区の例
年収100万円以下の場合。
- 給与所得控除55万円を差し引いた後の金額が45万円以下
- 個人住民税の課税基準(東京23区。45万円)以下になるため非課税
そのため、東京23区では年収100万円以下であれば個人住民税は非課税となります。
配偶者控除と配偶者特別控除について
配偶者控除
配偶者の年収が103万円以下であれば、もう一方の配偶者は所得税・個人住民税の配偶者控除を適用することができます。
注意点。
控除を受ける納税者本人の年間所得金額の合計が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられません。
配偶者特別控除
配偶者の年収が103万円を超え201万6千円未満であれば配偶者特別控除を適用することができます。
控除額について。
控除額は、もう一方の配偶者の年収額によって異なります。
注意点。
年間所得金額の合計が1,000万円を超える年には適用できません。
まとめ
- 所得税。年収103万円以下なら非課税
- 個人住民税。自治体により異なる(東京23区は年収100万円以下で非課税)
- 配偶者控除。配偶者の年収103万円以下で適用可能
- 配偶者特別控除。配偶者の年収103万円超201万6千円未満で適用可能
詳細について
以下のURLを参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/file/06Seisakujouhou-11900000-Koyoukintou/part/pamphlet/0000143955.pdf
職場トラブル解決ガイド一覧
- 1.退職の権利
- 2.労働基準法上の管理・監督者
- 3.労災保険
- 4.変形労働時間制
- 5.妊産婦保護、妊娠に伴う不利益取扱い
- 6.就業規則
- 7.労働者派遣と派遣会社・派遣先会社の責任
- 8.倒産と未払い賃金の立替払い
- 9.健康診断
- 10.休憩時間
- 11.有期労働契約から無期労働契約への転換
- 12.休業中の賃金
- 13.社会保険
- 14.妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメント
- 15.セクシュアル・ハラスメント
- 16.いじめ、パワー・ハラスメント
- 17.高齢者雇用(定年後の継続雇用制度)
- 18.ストレスチェック
- 19.育児休業・介護休業
- 20.育児・介護休業取得に伴う不利益取扱い
- 21.パートタイム労働者の税金
- 22.求職者支援制度
- 23.雇用保険
- 24.一時金・退職金
- 25.業務上のミスに対する損害賠償責任
- 26.賃金支払と一部控除
- 27.最低賃金
- 28.割増賃金・固定残業代
- 29.みなし労働時間制(職場外)
- 30.みなし労働時間制(裁量労働制)
- 31.高度プロフェッショナル制度
- 32.年次有給休暇
- 33.解雇
- 34.雇用形態の違いによる不合理な待遇差禁止
- 35.有期労働契約の雇い止め
- 36.有期労働契約の中途解除
- 37.労働者代表選出と労使協定
- 38.求人票・求人広告と労働条件の明示
- 39.採用内定の取り消し・延期について
- 40.36協定と特別条項付き協定について