退職代行は弁護士が安心?選び方と費用相場について
- 2023.10.19
- 2023.10.19
退職豆知識
非弁行為のリスクがあり、弁護士以外の代行業者を選ぶと法的なトラブルや損害賠償の可能性がある
弁護士による退職代行は費用が高いが、法的な知識とサポートが充実している
『退職代行ローキ』は労働組合による退職代行と弁護士による法的トラブルへのダブル対応が可能
1. 退職代行サービスについて
2. 「非弁行為」とは
3. 弁護士に退職代行を依頼するメリットとデメリットについて
4. 退職代行を弁護士に依頼する際の選び方について
5. 弁護士に退職代行を依頼する際にかかる費用
6. 『退職代行ローキ』の特徴
7. まとめ
「会社を辞めたいけど、上司が高圧的で言い出すのが怖い」
「人手不足で辞めると言い辛い」
このようなお悩みを抱えられて、ご自身で会社に退職を伝えることができず、我慢しながら仕事を続けられている方もいると思います。このようなときに、退職の意思の通知や会社とのやり取り全般を代わりに行ってくれる退職代行サービスがあります。
退職代行は民間企業、労働組合、弁護士による運営元により3つのカテゴリーに分類され、弁護士に依頼することも可能です。
本記事では、退職代行のやり方、弁護士による退職代行を利用することのメリット・デメリット、弁護士の選び方について詳しく解説します。
それではみていきましょう。
退職代行サービスについて
退職代行サービスは、近年のメディアの取り上げでその名を頻繁に聞くようになりました。このサービスは、従業員や労働者が自らの退職意向を直接会社に伝える代わりに、専門の業者がその役割を果たし、退職に関わる手続き全般をサポートしてくれるものです。
退職代行の専門家は様々で、多くの業者がこのサービスを提供しています。特に、弁護士や労働組合もこの分野でのサポートを行っており、その専門的な知識を活かして労働者の権利を守っています。
この記事では、特に弁護士による退職代行に焦点を当てて説明します。
退職代行サービスの利用を考えるときに、代行を行う業者によってはその行為自体が違法とみなされ、退職が無効になる危険性があります。
この違法行為とみなされる行為を「非弁行為」といいます。下記では退職代行を利用する前に知っておきたいこととして、「非弁行為」について詳しく解説します。
それではみていきましょう。
「非弁行為」とは
退職代行を行う際、弁護士ではない代行業者に頼むと、思わぬトラブルが生じるリスクがあります。この非弁行為と呼ばれる行為は、専門的な法的手続きを弁護士資格を持たない者が行うこととされ、これによって依頼者自身も不利益な状況に巻き込まれるリスクがあるのです。更に悪いことに、場合によっては会社から損害賠償を請求されるケースも発生しています。このような場合、弁護士以外の代行業者では法的なトラブルへの対応を行うことはできません。
実際に当組合にもご相談いただくこともありますが、会社から損害賠償請求や懲戒解雇を行うと言われ、依頼をしていた代行業者に相談したところ、これ以上の対応ができないため弁護士事務所に相談するように勧められるといったことも起こっています。
退職代行の費用を支払ったにもかかわらず、退職することができないばかりではなく、さらに追加で弁護士費用を支払う必要があるというような状況も考えられるのです。
正直な話、初めから専門の弁護士に頼んでいれば、スムーズに退職手続きを進めることができたのに、弁護士以外の業者に依頼することで余計な時間や手間がかかることもあるのです。退職代行サービスを選ぶ際は、そのリスクをよく理解して、賢明な選択をすることが大切です。実績や信頼性を重視して代行業者を選ぶことをおすすめします。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用元:弁護士法第72条(e-Gov法令検索)
非弁行為は一般的には、弁護士の資格を持たない人や業者が弁護士の仕事を実施することを指します。こういった行為は弁護士法に基づき違法とされています。この法律を破った場合、最大で2年の懲役か、300万円の罰金のリスクが伴います。(弁護士法第77条)
参照:弁護士法第77条(e-Gov法令検索)
更に、不正な手段で行われた退職代行の手続きは無効になる危険もあるのです。
例を挙げると、次のような行為が非弁行為のリスクがあるものとして考えられます。
・離職届の提出や源泉徴収票の要求
・退職日の取り決め
・有給休暇の交渉
・未払いの残業代や退職金の請求
・会社からの損害賠償要求に対する対応
もちろん、これらは一例に過ぎません。実際には他の退職に関連する手続きも、非弁行為と見なされる可能性があります。
こうした背景から退職代行のサポートを受ける際は、弁護士や、その専門知識を持つ労働組合の退職代行業者に相談することがおすすめです。
労働組合は団体交渉権を行使して、会社との退職についての交渉を行うことが法律で認められています。ただし、損害賠償請求や懲戒解雇といった法的なトラブルの対応は行えません。
しかし、当組合が運営している「退職代行ローキ」は退職することが原因での損害賠償請求、懲戒解雇に対して、追加費用なく顧問弁護士が対応可能なプランがあります。こちらについては、後程詳しく説明します。
上記では、非弁行為について詳しく解説しました。
では、実際に弁護士に退職代行を依頼するにあたってメリットとデメリットはどのようになっているのでしょうか。気になっている方もいるでしょう。
下記では、弁護士に退職代行を依頼するメリットとデメリットについて詳しく説明します。
それではみていきましょう。
弁護士に退職代行を依頼するメリットとデメリットについて
退職は人生において大きな決断の一つです。その際に自らが会社と直接交渉することは精神的な負担が大きいと感じる方も多いことでしょう。このような場面で弁護士に退職代行を依頼すると、多くの面でのサポートを受けることが可能です。
まず、退職に関する一連の手続きを弁護士が代行します。これには、退職の意向の通知から、実際の退職手続き、残務の引継ぎ、個人の私物の返却や管理に至るまでの様々な業務が含まれます。また、一部の法律事務所では、退職後の会社からの連絡に対するフォローアップサービスも提供しています。そのため、サービス内容については、事前に十分に確認しておくことをお勧めします。
退職の際には、意外と知られていないトラブルやリスクが潜んでいます。例えば、会社が退職を認めてくれない、あるいは適切な退職金を支払ってくれないといったケースが考えられます。しかし、弁護士を通じての退職代行サービスを利用することで、法的な知識を背景に適切な交渉を行ってもらえます。その結果、会社側も弁護士からの法的な要求に対しては大半の場合で応じることになります。
さらに、退職の際には、給与や残業代、退職金などの未払い請求が考えられる場合があります。弁護士はこれらの請求に関しても、適切に代行してくれます。ただし、これらのサービスに関しては、退職代行の基本料金とは別に着手金や成功報酬が発生する場合がほとんどですので、ホームページを入念にご確認するなどの注意が必要です。
また、特にセクハラやパワハラの被害者であれば、慰謝料請求を考えている方もいらっしゃると思います。弁護士だと、会社に対しての訴訟や損害賠償請求の対応も可能です。ただしこれらの内容は、退職代行とは別の問題になりますので通常の弁護士費用が追加で生じることがほとんどです。慰謝料請求を検討している方は、弁護士に相談されるとよいでしょう。
さらに業務中の事故や病気を理由に退職する場合は、弁護士に依頼して労災の申請代行をすることも可能です。労災申請は複雑な手続きを伴うため、経験豊富な弁護士にサポートしてもらうことで、適切かつ迅速に手続きを進めることができます。こちらについても、退職代行とは別の問題になりますので通常の弁護士費用が追加で発生します。労災の申請を考えられている方は弁護士への相談を検討してみましょう。
結論として、退職を考えている方やすでに退職を決意している方は、弁護士による退職代行サービスを利用することで、多くのメリットを享受できることを理解していただければと思います。自らの権利をしっかりと守るため、そして円満に退職を果たすための強力なサポートを得ることができるのです。
デメリットとしては、弁護士というその専門性から退職代行費用は民間企業や労働組合の運営による退職代行サービスに比べると高額に設定されていることがほとんどです。
退職代行を弁護士に依頼する際の選び方について
退職代行を依頼する際に、どの弁護士に依頼するかは非常に重要です。退職代行を弁護士に依頼する場面で、誰もが「どの弁護士を選べば良いのか」という迷いを抱くことは自然なことです。ただし、全ての弁護士が退職代行の専門家であるわけではありません。
特に退職代行、労働問題に精通した弁護士を選ぶことはスムーズな退職手続きのためには不可欠です。そこで以下では、適切な弁護士の選び方を詳しく解説していきます。労働問題に詳しく、退職に関する具体的な経験が豊富な弁護士を選ぶことで、安心して退職代行を進めることができます。
経験や実績が豊富かどうか
退職代行を依頼する弁護士を選ぶ際に、ホームページをご確認ください。その際に、注目したいポイントがいくつかあります。まず、ホームページには弁護士が関与した労働トラブルの解決実績や経験年数が掲載されていることが多いです。この情報から、弁護士が労働問題にどれだけの経験や知識を持っているか、またその問題に対する解決の意欲や専門性について伺うことができます。実績の件数が豊富であれば、その弁護士は労働問題に対応する際の経験が豊富であり、適切なアドバイスやサポートを受けることが期待できるでしょう。また、自己紹介ページに「労働問題に特化している」などの記述があれば、その弁護士は労働問題に深い知識や情熱を持っていることがわかります。
また、実務経験の年数も大切な指標となります。経験年数が長ければ様々なケースに対応してきた可能性が高いため、ご自身の問題も適切に対応してもらえる可能性が上がります。
総じて、弁護士を選ぶ際はホームページの情報を十分に活用し、その中から労働問題に詳しく経験が豊富な弁護士を選択することをおすすめします。
労働問題に力を注いでいる弁護士かどうか
弁護士は様々な法的問題を取り扱いますが、それぞれの弁護士には得意分野があります。例えば、一部の弁護士は民事関連、如何に離婚や相続の専門家であり、他の弁護士は刑事事件、たとえば殺人や詐欺の専門家かもしれません。この中で、労働問題を得意とする弁護士は、その問題に関するノウハウ、知識、経験が豊富です。これにより、その弁護士は労働問題に関するトラブルの解決を迅速に進めることができます。しかしながら、労働問題に詳しくない弁護士に頼むとその問題の解決には時間がかかったり、望む結果が得られないことも考えられます。さらに退職代行サービスを提供していない弁護士も多数存在するため、まずはそのサービスを提供しているかを確認し、労働問題に熱心な弁護士を選ぶことが大切です。
労働問題に関して悩んでいる方は、専門知識を持った弁護士を選ぶことで、より迅速かつ確実に問題を解決できるでしょう。
弁護士に実際に相談をし、信頼できるかどうか判断
近年、ネットを通じて弁護士を探すケースが増えています。しかし、ホームページだけを頼りにするだけでは、本当に良い弁護士を選ぶことはできません。実際に弁護士と面会してその人柄や対応を確かめることが重要です。信頼のおける弁護士は、ただ明るく物腰が柔らかいだけでなく、話しやすく、また説明が分かりやすい特徴を持っています。最初の面談でその弁護士のアプローチが心地よく、「この人に任せて問題ない」と感じられるかどうかは大切な判断基準となるでしょう。弁護士の専門的な実績も大事ですが、信頼関係を築けるかどうかはそれ以上に重要です。
さらに、コスト面も考慮するべきポイントです。初回の段階で料金の詳細を透明にしてくれる事務所は信頼性が高いと言えます。
ここでは、退職代行を弁護士に依頼する際の選び方のポイントについて解説しました。
それでは、実際に退職代行を弁護士に依頼するとなると、具体的な費用はどれくらいでしょうか。気になっている方もいることでしょう。
下記では、弁護士に退職代行を依頼する際にかかる費用について説明します。
それではみていきましょう。
弁護士に退職代行を依頼する際にかかる費用
退職代行を弁護士に依頼する際の費用についての知識は、多くの労働者にとって非常に重要です。退職を考えている方々の中で、信頼性や専門性を持つ弁護士に相談したいと考える人は少なくありません。特に、アプローチが明るく、物腰の柔らかな弁護士に対する需要は高いと言えます。
法律に関する初回相談の際、一部の弁護士や法律事務所では無料で対応している場合がありますが、一般的な相談料の相場としては、30分につき5,500円程度が設定されているのが通常です。しかし、それぞれの事務所や弁護士によって料金体系は異なるため、具体的な費用については直接確認することが推奨されます。
退職代行サービスの費用に関しては、大体の相場として5万〜10万円前後を見ておくと良いでしょう。さらに注目すべきは、一部の弁護士が取り扱っている成功報酬型の料金体系です。弁護士の代行は通常有給消化、残業代請求、退職金請求した場合には成功報酬を取られること、その事が分かりにくく表記されている為、弁護士事務所に直接お問合せのうえ確認は必須となります。このような報酬体系を採用している弁護士も増えてきていますので、詳細な情報や条件について確認することが大切です。
また、退職手続きの際には、実際の手続きに関連する実費も考慮する必要があります。これには、文書の送付や移動に伴う交通費、そして裁判を進める場合の日当などが考えられます。そして、通常の退職代行のサービス範囲を超えた、例えば損害賠償請求や懲戒解雇と言った法的なトラブルの解決、未払い残業代や慰謝料請求、労災の申請などの追加のサービスを希望する場合には、その都度追加の料金が発生する可能性があります。したがって、契約を結ぶ前に、サービス内容や料金について詳細に確認し、把握することが非常に重要です。
弁護士事務所運営の退職代行サービスは、その事務所や弁護士ごとに基本料金での対応可能範囲が決められていて、その範囲外の内容に対して依頼される場合は別途費用が発生することが多いです。詳細については直接ご確認ください。
ここまでで、弁護士運営の退職代行について詳しく解説しましたが、退職を考えている方々にとって、費用や法的リスクは大きな懸念事項です。特に次の転職先が未定で収入が不安定な場面では、出費をできるだけ抑えたいというのは自然な考えです。このような背景を踏まえ、私たち労働基準調査組合は『退職代行ローキ』を設立しました。このサービスは、一般的な弁護士費用よりも手頃な価格で、しかも弁護士と労働組合のダブルサポートを提供します。
下記では『退職代行ローキ』の特徴について説明します。
それではみていきましょう。
『退職代行ローキ』の特徴
『退職代行ローキ』では、過去に他の退職代行業者を利用して問題が発生した方々からの相談を受け、その経験を活かしています。例えば、会社から損害賠償請求や懲戒解雇の通知が来た場合、一般的な民間企業運営の退職代行業者では適切な対応が難しいケースがあります。しかし、『退職代行ローキ』では、そのような法的トラブルにもしっかりと対応します。
損害賠償請求と懲戒解雇についてさらに詳しく解説している記事があるので、こちらをご参考ください。
退職代行を利用して損害賠償請求⁈|労働基準調査組合 (rouki.help)
退職代行を利用しても懲戒解雇にならないの?|労働基準調査組合 (rouki.help)
特に注目すべきは「弁護士保障プラン」です。このプランでは、万が一法的トラブルが発生した場合でも、追加費用なしで対応します。裁判になったとしても、その費用は組合費から捻出されるため、顧客は追加費用を気にする必要がありません。
『退職代行ローキ』は、費用と安全性、そして法的リスクへの対応力をバランスよく提供する新しい形の退職代行サービスです。これにより、退職を考えている方々が安心して、そして経済的にも負担少なく退職手続きを進められるようになります。
まとめ
退職代行サービスは、多くの従業員が退職手続きの際に利用する便利なオプションですが、その選び方と費用には注意が必要です。一方で、弁護士による退職代行は法的な安全性が高く、専門的な知識と経験を持っています。しかし、その費用は一般的に高く、特に次の転職先が未定の場合など、費用が重大な懸念となることもあります。
このような背景から、新しい形の退職代行サービス『退職代行ローキ』を立ち上げました。このサービスは、弁護士と労働組合のダブルサポートを提供し、法的トラブルにもしっかり対応します。特に「弁護士保障プラン」では、万が一法的トラブルが発生した場合でも追加費用は発生しないため、費用と安全性のバランスが取れています。
要するに、退職代行を選ぶ際は、費用と法的安全性をしっかりと比較検討することが重要です。弁護士によるサービスが高額であれば、その代わりに法的な安全性が高いというメリットがあります。一方で、『退職代行ローキ』のような新しい形のサービスも登場しており、費用と安全性、法的リスクへの対応力をバランスよく提供しています。これにより、退職を考えている方々がより安心して、経済的にも負担少なく退職手続きを進められる選択肢が広がっています。
退職代行コラム編集者
労働基準調査組合執行委員長
後藤 星未
「医療関係の職場に長年勤務していました。その職場では、様々なハラスメントが横行しており、経営者をはじめ役職者も従業員に心ない言葉を浴びせ、非常に離職率が高く、入社直後に退職してしまう、まさに典型的なブラック企業でした。
私は新人研修や教育を任されていましたが、せっかく育てた新人は経営者や上司からのハラスメントを受けて心を病み、退職を繰り返す状況が続きました。
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