- まずやることは記録。日時・場所・相手・内容を、その日のうちに残します
- 社内の窓口で変わらなければ、労働局の総合労働相談コーナーなど社外の窓口へ。いずれも無料です
- 心身がつらい段階なら退職も正当な選択。会社と話さずに辞める方法もあります

相談したら、かえって自分の立場が悪くならない?



もう限界。でも「辞めます」と言い出せない…
ここでは職場でモラハラ(モラルハラスメント)を受けてしまった場合の対処方法を説明します。
モラハラとは
モラハラとはモラルハラスメントの略語で、相手に精神的ダメージを与えるために行われる嫌がらせやいじめのことです。
ちなみにモラルとは「道徳」や「倫理」の意味です。モラルハラスメントとは社会的な道徳や倫理に反する行為ということになります。
パワハラもモラハラと同様に、暴言を浴びせたり無視をするなどの行為が特徴です。
モラハラとパワハラとの違いは、加害者の立場の違いにあります。
自分の上司や雇用者のように、立場の人間が加害者の場合はパワハラになります。
一方、モラハラでは加害者の立場が自分よりも上かどうかに関係なく、同等の立場の人間が加害者の場合も含みます。
また、パワハラには暴力など肉体的にダメージを与える行為も含まれますが、モラハラには暴力は含まれず、精神的な苦痛を伴う行為のみが対象となります。
モラハラは、はっきりとした定義がなく、何がモラハラに該当するのか曖昧な部分もあります。
ただし、社会的常識に照らし合わせ、人の尊厳を傷つけるような言動はモラハラになる可能性が高いでしょう。
職場で行われるモラハラの具体例には、次のようなものがあります。
- 皆の前でわざと叱責をしたり暴言を浴びせる
- わざと仕事を与えない
- 業務に必要な連絡をしない
- 飲み会の参加を強要する
- 容姿や人格について否定的なことを言う
- プライベートな事柄について過剰に干渉する
- 家族や配偶者の悪口を言う
- 無視をする
- 周囲に悪口やネガティブな噂話を流す
- 本人に聞こえるように悪口を言う
- 相手の自尊心が損なわれるような見下した態度
これらのように、職場での業務を進めるにあたり必要な範囲を逸脱した行為を繰り返し続けることは、モラハラになりえます。
- あいさつを無視する
- 人前で繰り返し否定する
- 不必要に仕事を与えない、または過大に与える



どこからがモラハラに当たるのか、線引きを知っておくと動きやすくなります。
モラハラの証拠を集める
- 録音や録画
- メールやチャットの記録
- 日時と内容を書いたメモ
- 受診の記録や診断書
モラハラを受けてしまった場合はまず、モラハラを受けた場所、時間、モラハラをした人物、その内容を記録しましょう。
記録は、出来事のあった日に書いたもののほうが信用されます。
さらに、後々の事実確認で大切になるので、モラハラを受けた客観的な証拠を集めておきます。
具体的には、
- メールやメッセンジャーアプリなどの文章
- 録音されたデータ
- 業務命令などの通達
- 日記などの記録
- 他者の証言
- 医師による診断書
などになります。
詳しくは「モラハラの証拠の集め方のポイントを詳しく解説」をご覧ください。



証拠は、記憶が新しいうちに形にしておいてください。
相談先の選び方|費用とできることの早見表
相談先はいくつもありますが、できることの範囲がそれぞれ違います。「とりあえず相談したい」のか「会社に動いてほしい」のか「お金を請求したい」のかで、選ぶ先が変わります。
→ 横にスクロールできます
| 相談先 | 費用 | できること | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 社内の人事・コンプライアンス窓口 | 無料 | 加害者への注意、配置転換 | 会社にコンプライアンス体制がある |
| 総合労働相談コーナー(労働局) | 無料 | 助言・指導、あっせんの案内 | 会社が動かない/まず公的な意見がほしい |
| みんなの人権110番(法務省) | 無料 | 人権侵害の観点からの助言・調査 | 人格を否定される言動が続いている |
| 労働組合 | 組合により異なる | 団体交渉で会社と直接やり取り | 自分で会社と話したくない/退職も視野にある |
| 弁護士 | 有料(相談は30分5,000円程度が目安) | 慰謝料請求、訴訟の代理 | 損害賠償を求めたい/訴訟を考えている |
モラハラの相談先の比較



無料の窓口は助言やあっせんが中心で、会社に従わせる強制力まではありません。そこが「相談したのに何も変わらない」と感じる原因になりやすい部分です。
上司や会社の窓口に相談する
会社の上司や人事・労務など窓口になるところに相談します。
コンプライアンスを遵守するような会社であれば、社員が受けているモラハラへの問題解決に前向きになるはずです。
モラハラをしている人物に注意してもらったり、何らかの処分を課してもらえる可能性もあります。
モラハラ加害者もしくは自分の配置転換も可能かもしれません。



目的によって、向いている相談先が変わります。
外部の窓口に相談・通報する
- 労働基準監督署
- 総合労働相談コーナー
- 労働組合
- 弁護士
会社内での解決が難しい場合、次のような外部の相談窓口に相談あるいは通報することができます。
- 受けた言動を記録せず、記憶だけに頼る
- 社内の窓口だけに相談し、対応されないまま我慢する
- 証拠を集める前に退職し、社内資料を取れなくする
- 労働基準監督署
- 総合労働相談コーナー
- 労働相談ホットライン
- 働く人の「こころの耳電話相談」
- 労働組合
- 弁護士
ほとんどの窓口が無料で相談できるので、気軽に連絡をするとよいでしょう。
詳しくは「労働法違反についての相談・通報先6選」をご覧ください。
記録は「その日のうちに」残す
あとからまとめて書いた記録より、出来事のあった日に書かれた記録のほうが信用されやすくなります。次の項目がそろっていれば十分です。
- いつ(日付と時刻)
- どこで(会議室、フロア、チャット上など)
- 誰が(発言した人と、その場にいた人)
- 何を言われた/されたか(できるだけ発言そのまま)
- そのとき自分がどう感じ、業務にどう支障が出たか
スマートフォンのメモアプリでも、送信済みのメールでも構いません。会社のパソコンではなく、自分の端末に残すことが大切です。



社内で解決しないときは、外部の窓口を使ってください。
退職を検討する
会社内部や外部の相談窓口を利用してもモラハラの問題が解決しなかったり、心身が疲れて対応が困難な状況になってしまった場合は、退職も検討しましょう。
自身で退職の手続きを取ることが難しい場合には、労働組合などを通じて会社に退職を伝えることも考えられます。
ただし、たとえ退職をするとしても、後で法的な手続きをすることも考え、モラハラの証拠や記録はしっかりと保存しておきましょう。
退職を選ぶ前に確認しておきたいこと
- 有給の残日数
- 離職理由がどう記載されるか
- 未払い分がないか
退職を決めた場合でも、あとで手続きに必要になるものがあります。会社を離れると集めにくくなるため、先に確認しておくと安心です。
- ハラスメントの記録と証拠(自分の端末に保存する)
- 雇用契約書・労働条件通知書の控え
- 給与明細(未払いがある場合の根拠になる)
- 有給休暇の残日数
- 離職票の受け取り方法
上司や同僚から著しい冷遇や嫌がらせを受けて離職した場合、「特定受給資格者」に該当し、失業給付を自己都合退職より早く受けられる可能性があります。判断はハローワークが行うため、記録を持って相談してください。



辞めると決めた場合も、必要な確認は先に済ませてください。
会社と直接やり取りせずに辞めたいときは
- 退職の意思を伝える
- 有給消化や退職日の交渉
- 離職票など必要書類の請求
相談窓口を回っても状況が変わらず、心身が限界に近いのであれば、退職は逃げではなく身を守る手段です。ただ、ハラスメントを受けている相手に「辞めます」と伝えるのは、想像以上に負担が大きいものです。
退職代行ローキは労働組合が運営しているため、団体交渉権にもとづいて会社と直接やり取りができます。あなたが会社へ行ったり、上司と話したりする必要はありません。
料金は19,800円(税込)で、内訳は組合加入費2,800円+組合費17,000円です。追加料金は原則不要です(※振込手数料やコンビニ後払いの手数料4,000円などを除きます)。相談はLINEか電話でできます。※LINEの相談は24時間受け付けていますが、会社への連絡は年中無休8時から18時までです。終業時間間際は担当者が不在のことが多く、翌日に折り返しとなる場合があるためです。
これ以上、我慢して働き続ける必要はありません。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接やり取りします。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。



退職の連絡だけでなく、有給休暇の消化や離職票などの書類のやり取りも、私たちが会社との間に入ってお伝えします。あなたが上司と話す必要はありません。
よくある質問(FAQ)
相談したことが会社に知られて、不利益な扱いを受けませんか?
ハラスメントの相談をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは、パワハラ防止法で禁止されています。公的な窓口も、本人の同意なく会社へ相談内容を伝えることはありません。
証拠が何もありません。それでも動けますか?
動けます。まずは記憶が新しいうちに、日時・場所・内容をメモに残してください。無料の相談窓口は証拠がそろっていない段階でも相談を受け付けています。
加害者が同僚で、上司ではありません。それでも会社は対応すべきですか?
対応すべきです。パワハラ防止法上の措置義務は、加害者が上司かどうかにかかわらず、職場でのハラスメント全般を対象としています。会社には相談を受け、事実確認をする義務があります。
診断書はもらったほうがいいですか?
心身の不調が出ているなら、早めに受診して診断書をもらってください。職場の状況を医師に具体的に伝えておくと、あとで因果関係を説明しやすくなります。
会社を辞めたら、モラハラについて争えなくなりますか?
いいえ。退職後でも慰謝料の請求や労働審判の申立ては可能です。ただし時間が経つほど証拠が集めにくくなるため、記録は退職前にそろえておいてください。
退職を伝えるのがつらい場合はどうすればいいですか?
労働組合が運営する退職代行であれば、団体交渉権にもとづいて会社と直接やり取りができます。退職の意思の伝達だけでなく、有給休暇の消化や書類の受け取りについても間に入ってもらえます。
参考情報・出典
- e-Gov法令検索|労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
- e-Gov法令検索|男女雇用機会均等法
- e-Gov法令検索|民法(第627条ほか)
- 厚生労働省|あかるい職場応援団(ハラスメント対策の総合情報サイト)
- 厚生労働省|総合労働相談コーナーのご案内
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。






