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急な退職で損害賠償請求されませんか?

  • 2023.04.28
  • 2023.04.28
急な退職で損害賠償請求されませんか?

退職豆知識

代行利用時、適切な手続きで損害賠償請求のリスクは低いが、万が一の場合は弁護士に相談しよう

「法的に支払う必要がない」ということを、相手方の納得がいくように説明することが重要

損害賠償請求があった場合、反論や交渉が重要、ローキなら追加料金なしで対応可能

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退職代行を利用して退職することによって会社から損害賠償請求をされるのではないかと不安に思われている方から、当組合に数多くのご相談をいただいております。では、退職代行を利用して退職することで実際に会社から損害賠償請求は行われるのでしょうか。

 

結論から申し上げますと退職代行を利用したことを理由に損害賠償を請求されることはほとんどございません。

 

この記事では、退職代行を利用して退職する際に損害賠償請求のリスクを避けるための注意点や万が一実際に損害賠償請求をされた場合の対処法について詳しく解説していきます。退職代行サービスをご検討されていて損害賠償請求について心配されている方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

退職代行の利用によって損害賠償請求されることはほとんどない

 

退職代行サービスを利用したことが原因で損害賠償請求に遭う事例はごくまれです。実際に、損害賠償請求を行うにはコストや時間がかかり、企業にとって大きな利益はありません。しかしながら、損害賠償請求の可能性が全くないわけではありません。

 

企業が損害賠償請求を行うケースも存在します。退職の過程で会社に損害を与える行為を行った場合には、損害賠償請求される可能性があります。

例えば、故意に損害を与えたり機密情報の漏洩や業務上横領などがあれば、損害賠償請求を起こされる可能性はありますが、通常退職代行を使って退職することだけで損害賠償請求を起こされる可能性はほとんどありません。 

 

ではどういった場合に損害賠償請求を起こされるリスクがあるのでしょうか。以下で具体的な事例をみていきましょう。

 

 

損害賠償リスクの事例

 

以下のような「損害賠償請求権」が発生するような条件に当てはまる場合は、損害賠償請求を起こされる可能性があります。

 

無断欠勤や職務放棄

 

無期雇用の労働者が2週間前までに会社に申し出ることなく無断欠勤のまま退職すると、損害賠償請求が発生する可能性があります。また、一般的に会社では就業規則で「退職を希望する者は1カ月前に申し出る」などと定められていることが多く、就業規則に従わず無断欠勤を続けると損害賠償や懲戒解雇になるおそれもあります。

従業員が無断欠勤のまま退職して職務を放棄したことにより、会社の売上に多大な影響が出てしまった場合は、損害賠償や懲戒解雇に発展してしまう可能性があります。トラブルにならないために事前に会社の就業規則を確認し、退職代行サービスを通じて、退職日まで体調不良などにより欠勤するという旨を会社に連絡してもらうようにしておきましょう。

 

契約期間中に一方的な理由で退職

 

仕事の契約期間に定めがある有期雇用の契約社員やパートの方が一方的な理由により退職すると、損害賠償請求されるおそれがあります。契約期間は会社との約束であることから、基本的にはその決められた契約期間中は職務を全うしなければならないことが理由です。

ただし、けがや病気、親の介護などのやむを得ない事由がある場合は、退職しても損害賠償になる可能性はほとんどないでしょう。

 

退職が原因で多大な損害を与える行為

 

退職代行を利用して退職することで、会社に多大な損害を与えた場合には損害賠償請求をされる可能性があります。

たとえば、重要なプロジェクトの責任者としてそのプロジェクトを任されていた状態での突如の退職や、それについての引き継ぎを完全に放棄することにより職務放棄とみなされた場合などです。任された業務を放棄することによって会社の事業が上手く回らず、それによって売上の低下や取引数の減少につながり実際に会社に損害が生じてしまうと損害賠償請求をされるおそれがございます。

退職代行を利用して退職する際に損害賠償を請求されないためには、自分にしかできない特殊な業務を終わらせたり、最低限の引き継ぎメモを残しておくなどの対策が必要です。

 

退職時の過剰な勧誘や引き抜き

 

退職代行を利用して退職する際に過剰な勧誘や引き抜きを行った場合は損害賠償請求される可能性があります。社内で一斉に社員を引き抜いたことにより従業員が退職すると、業務を回せなくなり会社に多大な損害を与えてしまうからです。

職業選択の自由が法律で認められている以上、退職の自由は誰にでもあるのですが、引き抜かれた社員の地位や人数、経営への影響力によっては会社に大きな損害を与える行為となり違法行為に該当する可能性もございます。会社の経営状態に大きな影響を及ぼすほどの引き抜きや勧誘は避けるべきでしょう。

 

名誉毀損

 

会社の名誉を傷つけることは損害賠償請求の対象になる可能性があります。会社の名誉を傷つけることによって売上の低下や取引数の減少につながる可能性があるためです。

退職代行を利用する際にSNSなどに会社の名誉を傷つけるような書き込みをすると、損害賠償を請求されるおそれがあります。不特定多数の人に書き込みが閲覧されることにより会社のイメージが損なわれたり、売上の低下につながる可能性があるためです。

会社に対しての愚痴・不満をネットに掲載することによって、それが誹謗中傷と判断されて名誉毀損による損害賠償請求が認められたという事例もございます。たとえ非公開の鍵付きのSNSアカウントであったとしても他の誰かが投稿を拡散する可能性も全く無いとは言い切れません。

そのため、退職代行を利用する際にSNSに会社に関する否定的な内容を投稿するのは避けるべきでしょう。

 

研修・留学直後の早期の退職

 

会社の研修支援制度や留学制度などを利用したことがあるという方は、利用後から退職までの期間にも注意しておくべきです。

研修や留学直後に退職すると、経費としてかかった会社が支援した費用の返還を求められる可能性があります。会社から強制で参加を求められている研修や留学ではなく、会社の経費で行っている自由参加の研修や留学の場合は特に注意が必要となります。

とはいいましても労働基準法第16条で定められているように、違約金や損害賠償額を予定するというような契約を結ぶことは禁じられています。

 

参照:労働基準法16条(e-GOV 法令検索)

 

しかしながら、会社によっては研修費用の貸付制度がある場合もございます。研修に参加する前に「研修後何ヶ月以内に退職した場合は研修費用を全額返還する、もしくは何か月~何か月以内の退職の場合は次のような割合で返還する」というような内容の誓約書を書いている場合は注意が必要です。

このように研修や留学を自分の意思で行った場合は、期間を空けてから退職することも検討する必要があるでしょう。

 

会社の機密情報の持ち出し

 

退職代行を使って会社を辞める際に、機密情報を持ち出し会社に多大な被害をもたらせば、損害賠償請求される可能性があります。

会社の顧客情報や仕入れ先リストなどの社外秘の情報が競合他社に漏洩することにより、会社の売上減少につながるだけではなく、会社自体が損害賠償請求を受けたり社会的信用を失ったりするリスクがあります。また、従業員の住所や連絡先が漏洩すれば、個人情報保護法にも抵触する可能性もあります。

入社時に秘密保持に関する誓約書を求める会社も多くなってきております。そのため、退職代行による退職で損害賠償請求トラブルが起きないようにするためにも会社や取引先に関する資料はもちろん、仕事で受け取った取引先の名刺や仕事のメモに使ったノートなども重要な情報にあたるため、退社時には機密情報を持ち出さず郵送して返却しましょう。

 

会社からの貸与品の紛失・破損

 

退職代行を利用して退職する際、会社からの貸与品を返却する必要があります。もし貸与品の紛失や破損などがあれば損害賠償を請求される可能性があります。

また会社に貸与品を意図的に返さないということにより個人の不正利用や情報漏洩の疑いをかけられるおそれもあります。そのため退職代行を利用する際は、貸与品は会社に郵送で返却しましょう。郵送で返却することによって出社することなく会社の上司や同僚と会うことなく返却が可能です。

 

 

ここでは、損害賠償請求を起こされる可能性がある具体的な事例についてご理解していただけたかと思います。上記のような事例に当てはまる場合は会社から損害賠償請求を起こされる可能性があります。

しかし、仮に損害賠償請求が可能な状況であっても、企業から労働者への請求が違法である場合が存在します。会社は労働者に対して強い立場を持っているため、企業が労働者に対して行う損害賠償請求には、禁止される行為があるのです。労働基準法により、企業による違法な行為が禁止されています。

 

ここで、企業による損害賠償請求自体が違法となるケースについて説明させていただきます。

 

 

会社からの損害賠償請求自体が違法となるケース

 

損害賠償で退職を妨げることの禁止

 

企業が損害賠償を理由に労働者の退職を妨げることは違法です。民法第627条により労働者は自由に退職する権利を持っており、企業はその権利を侵害してはなりません。損害賠償を用いて退職を阻止しようとする企業は、労働者の権利を侵害しているとみなされます。

 

参照:民法第627条(e-GOV 法令検索)

 

損害賠償額の予定は禁止

 

退職することにより多大な損害が出たなら、損害賠償請求をおこされる可能性もございます。しかし、このときにも、あらかじめ損害賠償額を決めておくことは禁じられています。労働者の「退職の自由」を守るため、損害賠償額の予定は、下記のように労働基準法第16条で禁止されます。

 

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

引用元:労働基準法16条(e-GOV 法令検索)

 

損害賠償は、その事柄が起こってから初めて会社は請求できます。あらかじめ「〇〇のような事例が起こった場合○○万円を賠償する」などのように就業規則や雇用契約書に定めるのは違法です。

 

損害賠償の給料からの天引きは禁止

 

労働基準法では以下のように賃金について定められております。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

 

引用元:労働基準法24条(e-GOV 法令検索)

 

また労働基準法24条には、賃金支払について以下のように4つの原則が定められております。

 

賃金通貨払いの原則・・・賃金は法定通貨で払わなければならず、物納などは許されない。

賃金全額払いの原則・・・賃金は決められた全額を払わなければならず、相殺や中抜きは許されない。

賃金直接払いの原則・・・賃金は、労働者に直接払わなければならない。

毎月定期払いの原則・・・賃金は、毎月、決められた期限に定期的に払わなければならない。

 

このうち賃金全額払いの原則により、損害賠償請求が可能な場合でも労働者の同意なく給料から天引きすることは禁止されています。労働者の生活にとって重要な収入源である賃金は、確保する必要があるためです。損害賠償を天引きするのは禁止されているため、即座に異議を申し立てることが大切です。

 

上記のような場合には、損害賠償請求自体が違法とみなされる可能性もございます。しかしそれでも、法律的に認められるか否かは別としてワンマンな経営者による損害賠償請求や単なる嫌がらせでの損害賠償請求は実際にあります。ほとんど無いとは分かっていても、いざ実際にことが起きればどうすればよいのか不安になるものです。

 

では、実際に損害賠償請求を起こされた場合はどのようなリスクがあるのでしょうか。まず、どういったリスクが生じる可能性があるのかしっかりと理解しておく必要があります。以下で実際に損害賠償請求を起こされた場合のリスクについて詳しくみていきましょう。

 

 

実際に損害賠償請求を起こされた場合のリスク

 

通常では故意に会社に損害を与えたり、機密情報を漏らしたり、業務上の横領がない限り退職することだけで損害賠償請求が起こることはほとんどありません。しかし当組合の事例から、損害賠償請求は経営者の気質によって起こることが多いです。

 

法的に認められるかどうかは別として、突然辞めたことによる損害や就業規則違反による損害を主張する会社もあります。また、労働法に詳しくない顧問弁護士がいる会社では、嫌がらせ目的で損害賠償請求を弁護士から内容証明で送られてくることもあるのは事実です。

 

実際に損害賠償請求をされると、その金額を支払う義務が発生する可能性があります。

また、裁判に発展する可能性もあり、その場合は弁護士費用や時間的な負担がかかることがあります。さらに、損害賠償請求があったことが将来の雇用に影響する可能性もあります。これらのリスクを避けるためには、退職する際には会社との契約内容や法律を確認し、適切な手続きを踏むことが重要です。

 

それでは、実際に損害賠償請求を起こされた場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

 

損害賠償請求をされる可能性はほとんどないといっても、万が一損害賠償請求を起こされてしまった場合にどうすればよいのか不安に思われることでしょう。以下では、実際に損害賠償請求をされた場合の対策と相談先について詳しく説明させていただきます。

 

 

損害賠償請求対策と相談先

 

万が一、損害賠償請求された場合は、1人で悩まず弁護士に相談しましょう。

また弁護士に依頼すると費用が高いと考える方は多いかと思いますが「退職代行 ローキ」の場合、【弁護士保障プラン】をお申し込みいただければ、仮に会社から上記のような損害賠償請求の通知が来たとしても、弁護士費用は当組合が保障し、会社に弁護士から対応いたします。もちろん追加料金は一切かかりません。 

 

「退職代行 ローキ」では、日本初となる弁護士と労働組合のダブル対応を行う退職代行サービスです。 

 

万一のトラブル時には、弁護士が依頼者の代理人となり企業と交渉し、損害賠償の法的トラブルにも追加料金なしで対応します。

 

それでは、実際に損害賠償をされた場合はどのような流れになるのでしょうか。以下で詳しく説明させていただきます。

 

 

「損害賠償請求」された場合の流れ

 

内容証明郵便にて賠償金請求書が届く 

本人に組合が確認 

弁護士と本人の事実確認 

法的に認められない内容での損害賠償の場合、弁護士が会社との話合いにより撤回を求めます。 

※ほとんどのケースは撤回で終了しますが、会社が聞き入れない場合には以下の流れになります。 

本人に確認の上、示談交渉もしくは調停や裁判 

 

急に退職をしたことで内容はどうであれ損害賠償請求をされた場合、反論することなく無視してしまうことで、債権額が確定してしまうこともあります。そのためにも法的に支払う必要のないものであれば、支払わない旨を伝えることになりますが、「法的に支払う必要がない」ということを、相手方の納得がいくように説明することが重要です。 

 

「弁護士保障プラン」を利用すれば、追加料金なしで、会社との損害賠償請求の撤回を求める交渉や、仮に会社側の請求が法的に認められる内容であったとしても示談交渉まで弁護士があなたの代理人として行います。本人はその期間に再就職活動をすることも可能です。 

 

ただし、ローキと弁護士が対応できるのは、退職したことによる損害賠償請求に限ります。在職中に実際に会社に与えた故意による損害や横領での損害賠償請求については、サービス対象外となります。 

 

ここまでご説明させていただいた通り、万が一実際に損害賠償請求を起こされた場合のリスクや対処法についてもご理解していただけたかと思います。それでは、退職代行の利用をご検討されている方は以下のポイントに注意して退職代行業者をお選びください。

 

 

退職代行サービス選びのポイント

 

損害賠償請求への対応が可能な退職代行サービスを選ぶことが重要です。

 

「損害賠償請求が起こされる可能性は少ない。」

 

「当社では一度もない」

 

などと言ってくる業者は避けるべきです。なぜなら対応出来ないと言ってる事と同じだからです。

 

仮に損害賠償請求された場合には、労働組合では対応出来ない。弁護士に相談してほしいと伝えられ、退職代行費用と弁護士費用が必要になることになります。 

 

 

まとめ

 

退職代行を利用して退職しただけでは、損害賠償請求されるケースはほとんどありません。

 

ただし、特定の状況下では損害賠償請求されるおそれがあります。企業が損害賠償を理由に労働者の退職を妨げることは違法であり損害賠償額の予定の禁止、損害賠償の給料からの天引きも禁止とされてはいますが、ワンマンな経営者による損害賠償請求、嫌がらせでの損害賠償請求は実際にあります。

 

万が一実際に損害賠償請求があった場合、反論や交渉が重要になってきます。弁護士対応可能な労働組合や弁護士に相談することによって会社に対して、損害賠償請求についての反論や交渉を行ってもらうことが可能です。

また、信頼できる退職代行サービスを選ぶことで、リスクを最小限に排除することができます。損害賠償請求に対処する場合は、弁護士対応可能な労働組合や弁護士に相談しましょう。

 

「退職代行 ローキ」の場合、【弁護士保障プラン】をお申し込みいただければ、弁護士費用は当組合が保障し、会社に対して弁護士から対応いたします。追加費用は一切ございません。ご安心くださいませ。

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退職代行コラム編集者

コラム編集者

労働基準調査組合執行委員長
徳野 雄一

私自身、離職率が非常に高い同族経営の会社に11年勤務し役職者でした。
私の目の届かないところで普段から自身の部下に経営陣からハラスメントが横行しており、育ては部下が退職する繰り返しの会社でした。

入社して11年目に私宛の部下の辞表に経営陣からの酷いパワハラとも取れる内容が赤裸々に綴られており、今までその事に気づかなかった自分に腹が立ちそして、会社の将来を見据え、その事を経営陣に指摘した途端に私は懲戒解雇を言い渡されました。
その後、懲戒解雇の事を調べ上げ簡単には認められない事を知り、会社側に撤回させ自主退職し今に至ります。

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