退職代行で退職したら保険証はどうする?返却方法と退職後の保険の切り替えガイド
- 2025.04.23
- 2025.04.23

退職豆知識
退職後は速やかに健康保険証を返却し新たな保険に加入する。
保険切替は任意継続・国保・被扶養者から選べる。
社会保険の空白期間を作らず医療費リスクを回避する。
1. 従来の健康保険証は退職後すみやかに返却
2. マイナ保険証(マイナンバーカード利用)の場合の手続き
3. 退職後に選べる健康保険の種類と切り替え手続き
4. 社会保険の空白期間を作らないためのポイント
5. 新しい保険証が届くまでの医療費はどうする?
6. よくある質問(FAQ)
7. 退職代行ローキについて
はじめに結論を伝えると、退職後は健康保険証の返却を忘れずに行い、速やかに新しい健康保険への加入手続きを行うことが肝心です。
従来の健康保険証であれマイナンバーカードを健康保険証として利用している場合であれ、退職後は現在の保険が使えなくなるため、任意継続や国民健康保険などへの切り替えを早めに進めましょう。
そうすることで、退職後の空白期間も安心して医療機関を受診でき、高額な医療費を全額自己負担するリスクを避けられます。
従来の健康保険証は退職後すみやかに返却

会社員として勤務している間は、会社を通じて健康保険に加入しており、健康保険証(保険証)はその証明として交付されています。
基本的に退職日の翌日からは会社の健康保険証は無効となるため、会社から支給されていた保険証は会社へ返却しなければなりません。
返却の方法は会社の指示に従います。
通常、退職時に会社の担当者へ直接返却するか、退職後に郵送で会社へ送り返す形になります。
退職代行サービスを利用している場合でも、保険証の返却自体は本人が行う必要があります。
退職代行業者から会社への連絡時に「健康保険証を後日郵送する」旨を伝えてもらえるので、その指示に従い会社の担当部署宛に簡易書留などで郵送すると良いでしょう。
なお、自分の保険証だけでなく家族(被扶養者)の保険証も交付されていた場合は、退職後すべて返却する必要があります。
家族分も含めて忘れずに会社に返送してください。
万一、保険証の返却を忘れてしまった場合でも、退職後はその保険証は既に無効です。
誤って退職後にその保険証を使うと、後日その医療費の保険給付分(7割〜9割)を返金請求される可能性があります。
法律上も退職後に元の保険証を使用することは不適切となるため、使わずに早めに返却することが大切です。
もし手元に保険証が残ってしまっている場合は、会社に連絡して指示を仰ぎ、速やかに返送するか破棄するようにしましょう。
2024年末からは新規の健康保険証の発行が原則停止され、現在お持ちの保険証も有効期限が切れ次第、順次マイナンバーカード(マイナ保険証)へ移行していきます。
詳しくはこちら
そのため、退職するタイミングによっては物理的な保険証の返却が不要になるケースも今後出てきます(有効期限切れの保険証は各自で破棄)。
とはいえ、現時点(2025年)で有効な保険証をお持ちの場合は必ず返却するようにしてください。
制度移行期で不明な点があれば、会社の担当者や健康保険組合に確認すると安心です。
マイナ保険証(マイナンバーカード利用)の場合の手続き

近年ではマイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の普及が進んでいます。
マイナンバーカード自体は本人のものなので、退職してもカード本体を返却する必要はありません。
マイナ保険証の利用登録を一度行っていれば、転職や退職に伴って改めてマイナポータル等で手続きをし直す必要は基本的にありません。
会社を退職すると、会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)は資格喪失の処理を行います。
その情報が関連機関に連携されるため、退職後しばらくするとマイナンバーカードを医療機関で提示しても「保険情報なし」となるでしょう。
新たに国民健康保険や任意継続など別の保険に加入すれば、その保険者であなたのマイナンバーを登録することでマイナ保険証に切り替わります。
退職後に国民健康保険へ加入する場合は、市区町村での手続き時にマイナンバーカードを提出し「健康保険証として利用する」旨を届ければ、後日マイナ保険証として医療機関で利用できるようになります(従来型の国民健康保険証カードが発行される自治体もありますが、今後はマイナカードへの一本化が進みます)。
任意継続の場合も、申請後に協会けんぽや健康保険組合がマイナンバーを登録してくれることでマイナ保険証として機能します。
退職前にマイナ保険証の利用登録を済ませていない場合でも、退職後に新たな保険へ加入したタイミングで登録すれば問題ありません。
マイナンバーカードを持っていない方や利用登録をしていない方は、当面は従来通り紙の保険証が発行されますので、その場合は前述の「従来の健康保険証」の手続きを踏襲してください。
ポイント
マイナ保険証を利用していると退職時の返却物が減り便利ですが、「マイナンバーカード=保険証」だからといって何もしなくても医療費がカバーされるわけではありません。
必ず退職後はいずれかの公的医療保険(任意継続・国保・被扶養者など)に加入しておくことが重要です。
マイナンバーカードはあくまで保険証の機能を持たせるツールであり、中身の保険加入が無ければ単なる身分証に過ぎない点に注意しましょう。
参考コラム:仕事を辞めたらマイナンバーカードの保険証はどうなる?空白期間の対策と手続き|労働基準調査組合
退職後に選べる健康保険の種類と切り替え手続き

退職後、次の就職先がすぐに決まっていない場合には、自分で何らかの健康保険に加入し直す必要があります。
主に選択肢は以下の三つです(いずれか一つに加入します)。
任意継続被保険者制度に加入する(それまでの会社の健康保険を継続する)
国民健康保険に加入する(市区町村が運営する地域の健康保険)
家族の健康保険の扶養に入る(配偶者など家族の勤め先の健康保険に加入する)
それぞれの制度で手続き方法や必要書類、加入条件が異なります。
以下に一つずつ、概要と進め方を解説します。
自分の状況に合ったものを選びましょう(※すでに退職後すぐに新しい会社に就職することが決まっている場合は、通常その会社で健康保険に加入するため、ここで紹介する手続きは不要です。ただし就職までに数日でも間が空く場合は、その日数をカバーするために国保等に加入することが推奨されます)。
任意継続被保険者制度で会社の健康保険を継続する
「任意継続」(正式には任意継続被保険者制度)とは、退職前に加入していた健康保険を退職後も引き続き利用できる制度です。
一定の条件を満たせば、退職後も最大2年間、同じ健康保険に個人加入することができます。
会社員としての資格は失いますが、保険者(健康保険の運営元)はそのままという形です。
加入条件: 任意継続を利用できるのは、退職日までに継続して2ヶ月以上その健康保険に加入していた人です。
たとえば入社後すぐ退職した場合など、在職期間が短いと任意継続の資格がありませんので注意してください。
逆に言えば、2ヶ月以上在籍して保険料を納めていれば、多くの方が利用可能です。
申請期限
任意継続への加入手続きは退職日の翌日から起算して20日以内に行う必要があります。
この期間を過ぎると原則として任意継続できなくなります。期限が短いため、退職後はできるだけ早く申請しましょう。
手続き先
在職時に加入していた健康保険の運営元に申請します。
多くの方は協会けんぽ(全国健康保険協会)だと思いますが、大企業などでは独自の健康保険組合の場合もあります。
健康保険組合の場合は組合ごとに手続き方法が異なるため、退職前に会社の人事や組合に連絡して確認しましょう。
必要書類
基本となる資格取得申出書のほかに、退職日や在職期間を確認できる書類(会社発行の退職証明書や離職票の写しなど)や本人確認書類(免許証やマイナンバーカードのコピー)を求められることがあります。
健康保険証の記号番号等の記入欄もあるため、手元に保険証がある場合は参考にしましょう(返却済みでも控えをメモしておくと便利です)。
必要書類は保険者によって若干異なるため、提出先の案内に従って準備してください。
保険料
任意継続では保険料は全額自己負担となります。
在職中は会社が半分を負担してくれていましたが、退職後はそれが無くなるため、単純計算で給与天引きされていた額の2倍程度を毎月支払う必要があります。
また、保険料算定の基準となる標準報酬月額は退職時の等級に固定されます。
収入が減っても保険料は下がらない点に注意が必要です(ただし法律上の上限額が設定されています)。
保険料の納付は通常毎月10日までなど決められた期日までに、指定口座への振込や口座振替で行います。
初回納付を怠ると任意継続の資格を得られず、以降の月でも期限までに1回でも支払いが遅れると即資格喪失となるため、納付管理は厳格にしましょう。
適用期間
任意継続できる期間は退職日の翌日から最長2年間です。
2年経過すると自動的に資格喪失し、他の保険に切り替える必要があります。
また、途中で再就職して新たな健康保険の被保険者になった場合は、その日をもって任意継続の資格を失います(新しい会社の健康保険が優先されます)。
任意継続を辞めたい場合も途中解約は可能で、任意継続被保険者資格喪失申出書を提出すれば任意継続から抜けることができます。
任意継続を利用すると、これまでと同じ保険証(またはマイナ保険証)で継続して医療給付を受けられる安心感があります。
特に扶養家族がいる方などは、家族全員が一斉に国民健康保険に切り替えるよりも手続きが簡便です。
ただし前述の通り保険料負担は重くなる傾向にあります。
また、退職理由が会社都合で失業給付を受けるような場合は、後述する国民健康保険の方が保険料軽減措置があり有利なケースもあります。
任意継続にするか国民健康保険にするかは、保険料の額や今後の就職予定などを考慮して決めましょう。
国民健康保険に加入して切り替える
会社などの健康保険を抜けた人は、原則として国民健康保険(国保)に加入する義務があります(別の健康保険に入らない限り)。
国民健康保険は自営業者や無職の人などが加入する公的医療保険で、市区町村が運営しています。
退職後に無職期間がある場合、多くの方はこちらに加入することになります。
加入手続き先
お住まいの市区町村役所(役場)の国民健康保険担当窓口で手続きを行います。
市役所・区役所の保険年金課などに行き、「会社の健康保険を抜けたので国民健康保険に加入したい」旨を伝えましょう。
郵送やオンラインでの手続きを受け付けている自治体もありますが、多くは窓口での届出が必要です。
申請期限
退職日の翌日から14日以内に加入の届出をすることが法律で義務付けられています。
仮に14日を過ぎても手続きを行えば加入は可能ですが、遅れた期間の保険料も遡って支払う必要があります。
役所が閉まっている間に期間が過ぎてしまった場合でも、「退職してから時間が経ってしまったが手続きをしたい」と申し出れば対応してもらえますので、できるだけ早く手続きを行いましょう。
必要書類
国民健康保険加入の際に一般的に必要となるものは以下です
【本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、マイナンバー(通知カードやマイナンバーカード)、健康保険の資格喪失を証明する書類。】
資格喪失証明書とは、会社の健康保険を抜けたことを示す書類で、退職後に会社や協会けんぽから発行してもらえます(離職票でも代用可能な場合があります)。
これらを持参し、役所で国民健康保険被保険者資格取得届に所定事項を記入して提出します。
扶養家族も一緒に国保に加入する場合は、その家族の分のマイナンバーや身分証明書類も必要になります。
詳しくは市区町村の案内に従ってください。
保険料
国民健康保険の保険料(正式には保険税と呼ぶ自治体もあり)は、加入者の世帯の前年所得に基づいて算定されます。
特に高収入で退職した翌年などは、国保保険料が高額になるケースがあります。
ただし、会社都合の退職など「非自発的失業者」の場合は特例があります。
ハローワークで交付される離職票(離職理由コードが特定のもの)を提出すると、失業期間中は前職の給与所得を30%として計算する特例措置が適用され、保険料が大幅に軽減されます。
これは失業者の負担を減らすための制度で、対象となる場合は国保の方が任意継続より保険料が安くなることも多いです。
自分が特例に該当するかどうか、役所で確認してみましょう。
保険証の発行
国民健康保険に加入すると、保険証が発行されます。
従来は紙やプラスチックの国民健康保険証が交付されていましたが、マイナンバーカードの健康保険証利用を申し込んでいる場合は、そちらが保険証として機能します。
自治体によりますが、加入手続きのその日に保険証を発行してくれるところもあれば、後日簡易書留で郵送となる場合もあります。
手続き完了まで保険証が手元にない期間はありますが、必要に応じて「被保険者資格証明書」などの仮の証明書を発行してもらえることがあります(希望すればその場で交付してくれるケースも)。
医療機関を受診する予定がある場合は、窓口で申し出てみると良いでしょう。
脱退手続き
国民健康保険に加入した後、就職して新たな会社の健康保険に入った場合は、国保を脱退する届出をする必要があります。
就職先で社会保険に加入すると二重加入になるため、会社から発行される健康保険加入証明書などを持参して、役所で国民健康保険の脱退手続きを行ってください(この手続きを怠ると、国保の保険料請求が止まらなくなるので注意)。
国民健康保険は公的なセーフティネットとして、誰もが最終的に加入する制度です。
任意継続を選ばない場合や扶養に入れない場合は、必ず国保の手続きをしましょう。
保険料負担は前年所得に依存するため、人によっては任意継続より高くなる場合もありますが、保険給付の内容(医療費の自己負担3割など)は他の健康保険と同等です。
収入が大きく減った翌年には保険料も下がりますし、減額が難しい場合でも自治体によって分割払いや減免制度がありますので、支払いが困難な場合は役所に相談してみてください。
家族の健康保険の扶養に入る(被扶養者になる)
退職後に配偶者や親など家族が勤め先で健康保険に加入している場合、その家族の被扶養者として健康保険に入ることができます。
被扶養者になると、自分自身で保険料を支払う必要がなく、扶養者(家族)の健康保険の一員として医療保障を受けられます。
結婚している方で配偶者が会社員の場合などは、有力な選択肢になります。
加入条件
被扶養者と認められるには一定の収入要件があります。
一般的には年間収入130万円未満(月収に換算して約108,000円以下)が一つの基準です(60歳以上や障害がある方の場合は180万円未満)。
退職後無収入であればこの収入要件は満たすでしょう。
ただしアルバイトなどで収入を得る場合は注意が必要です。
また、扶養に入る相手との関係性も条件になります。配偶者や子、父母などは扶養対象になり得ますが、兄弟姉妹だと同居の有無など追加条件があります。
具体的な条件は加入先の健康保険(協会けんぽなのか組合なのか)によって細かな規定があります。
手続き
扶養してくれる家族の勤務先を通じて手続きを行います。
会社の人事・総務担当に「家族を扶養に入れたい」旨を伝えると、所定の書類を案内してもらえます。
【被扶養者(異動)届】や【健康保険被扶養者資格取得届】といった名称の書類に、あなたの氏名・マイナンバー・退職日・収入見込みなどを記入します。
併せて、退職日が確認できる書類(離職票、退職証明書、雇用保険の資格喪失通知など)や収入に関する申告書の提出が求められます。
扶養に入る家族が配偶者の場合は、婚姻関係を示す書類や住民票の提出が必要なケースもあります。
会社によって必要書類リストが異なるため、案内に沿って準備しましょう。
必要書類が揃ったら、扶養者(ご家族)の勤務先が取りまとめて健康保険組合や協会けんぽに申請し、審査を経て認定されます。
適用開始
扶養認定されると、通常は申請書に記載した希望日(退職日の翌日までさかのぼることも可)で被扶養者資格が取得されます。
つまり退職後すぐに扶養に入る手続きをすれば、退職翌日から家族の健康保険が適用されます。
国民健康保険と重複して加入することはできませんので、扶養に入る場合は国保への届出は不要です(すでに国保に加入していた場合は脱退します)。
扶養に入る手続きに時間がかかる場合、一時的に国保に加入し、扶養認定後に国保を脱退するケースもあります。
この場合でも二重には保険料は請求されませんので、手続き上必要であれば一時的な国保加入も検討します。
メリット
被扶養者となる最大のメリットは保険料負担がないことです。
ご家族の健康保険の枠内で医療を受けられるため、収入が無い退職直後には経済的に助かります。
また、扶養者本人と同じ健康保険に入る形なので、高額療養費制度や付加給付(健康保険組合独自の給付)がある場合も等しく利用できます。
デメリットとしては、収入が増えると扶養から外れてしまう点です。
例えば再就職して収入を得たり、アルバイトで一定以上の収入を得た場合には速やかに扶養から外れて自分で保険に加入し直す必要があります。
また、扶養に入れるかどうかの審査は健康保険組合等が行うため、場合によっては認められないケースもあります(退職はしたが年収ベースで130万円を超える見込みがある等)。
不明な場合はご家族の会社に事前に相談してみましょう。
以上、退職後に選択できる主な健康保険の種類と手続きについて説明しました。
任意継続にせよ国民健康保険にせよ、あるいは扶養に入る場合でも、「自分は退職後どの医療保険に属するのか」を明確にしておくことが大切です。
次の就職までの期間に応じて最適な方法を選び、忘れずに加入手続きを完了させましょう。
社会保険の空白期間を作らないためのポイント

退職に際しては、健康保険の空白期間(無保険期間)をできる限り作らないことが重要です。
公的医療保険は国民皆保険制度として常にいずれかに加入していることが前提となっていますし、何より無保険でいる間に病気やケガをすると医療費が全額自己負担になってしまいます。
以下に空白期間を生じさせないためのポイントをまとめます。
退職日のタイミングに注意
退職日がいつであれ、退職日の翌日から前の健康保険は使えなくなります。
例えば月末に退職した場合、その翌日(翌月1日)から保険が切れるため、翌日付で新しい保険(国保や任意継続)に入る手続きが必要です。
また、月の途中で退職した場合は、その翌日から月末までの期間をカバーする保険に加入しなければなりません。
「月末まで在職していないとその月は保険証が使えない」というケースもあるため、自分の退職日以降の保険を途切れさせないよう計画を立てましょう。
手続きはできるだけ早めに
任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内という具合に、退職後の手続きには期限があります。
退職前から必要書類を揃えておき、退職したらすぐにでも動けるよう準備しましょう。
例えば、退職日が決まった段階で市区町村役所の開庁日を確認し、早めに行ける日を押さえておくと空白期間を短くできます。
郵送手続きの場合も、書類の取り寄せや送付に時間がかかるため、猶予期間に余裕は持たせないようにしましょう。
週末・祝日を挟む場合の対処
金曜日が退職日で翌週月曜日が役所営業日、といった場合は、その週末に国保の手続きができず数日空いてしまいます。
このように役所の休みで手続きがすぐできない場合でも、翌営業日に手続きを行えば問題ありません。
その間に医療機関にかかる必要が出た場合は、ひとまず後述する方法(いったん全額自己負担し後日請求)で対処可能です。
重要なのは、「手続きできないからまあいいか」と放置しないことです。
休み明けには早急に手続きをしましょう。
健康保険証の返却を忘れずに
前述の通り、退職時には会社支給の健康保険証を必ず返却します。
保険証を持ったままだと安心感があるかもしれませんが、退職後は使えないため手元に置いておく意味はありません。
万一、「家族に保険証を提示して医療機関を受診させてしまった」などのトラブルを避けるためにも、退職後は速やかに会社に返却するか、自分で裁断処分しておきましょう。
年金の切り替えも忘れずに
社会保険の空白期間という点では、年金の方も注意が必要です。
会社員であれば厚生年金に加入していましたが、退職と同時に厚生年金の資格も喪失します。
国民健康保険の手続きと合わせて国民年金の加入(第1号被保険者への種別変更)手続きも市区町村役所で行いましょう。
年金についても未加入の期間があると将来の年金額に影響します。
健康保険と年金、両方の社会保険手続きを漏れなく済ませることが大切です。
以上のポイントを押さえておけば、退職後の社会保険の切れ目をなくし、安心して生活することができます。
特に健康保険は日常の安心に直結しますので、「少しの間だから大丈夫」という油断は禁物です。
万が一に備えて常に何らかの公的医療保険に入っている状態を保ちましょう。
新しい保険証が届くまでの医療費はどうする?

退職後に保険を切り替えても、新しい保険証(またはマイナ保険証への登録情報)が手元で有効になるまでに時間差が生じることがあります。
例えば、国民健康保険証が郵送で届くまでや、任意継続の保険証が発行されるまでの間です。
この期間中に病院に行く必要が出た場合、以下のような対処法で医療費をまかなうことができます。
一旦全額自己負担し、後日払い戻しを受ける
新しい保険への加入手続き自体が完了していれば、その適用開始日以降の医療費は遡って保障を受けられます。
したがって、保険証不所持の状態で受診する場合は、窓口でいったん10割(全額)自己負担で支払い、領収書を受け取っておきます。
後日、保険証が手元に届いたら、その領収書を添えて保険者に療養費の支給申請を行います。
これにより、本来保険が負担するはずだった分(7割分等)が払い戻されます。
申請書は市区町村役所や協会けんぽ支部にあり、領収書原本の添付が必要です。
なお、この請求には2年の時効がありますので早めに手続きしましょう。
仮の証明書を発行してもらう
先述したように、役所や保険組合によっては「資格証明書」や「被保険者証交付予定証明」などといった仮証明を発行してくれる場合があります。
これを発行してもらえれば、それを医療機関に提示することで保険適用で受診することが可能です。
例えば国民健康保険では資格取得の届出をすると即日で資格証明書がもらえる場合があります(保険証が届くまでの臨時措置)。
加入手続きの際に「すぐ病院に行く予定がある」などと相談すれば対応してもらえることがあります。
高額療養費制度の活用
空白期間中にやむを得ず高額な医療費(手術や入院など)を全額自己負担した場合でも、後から保険加入が認められれば高額療養費制度による払い戻しが受けられる可能性があります。
高額療養費制度とは、1ヶ月の自己負担額が一定の上限額を超えた場合にその超過分が戻ってくる制度です。
例えば加入手続きが遅れて保険証がなく、高額な医療費を払った場合でも、後日保険者に相談して申請すれば大部分が戻るケースがあります。
金額が大きい場合は泣き寝入りせず、新しい保険者に問い合わせてみましょう。
無保険のまま受診するリスク
この場合、当然ですが医療費は全額自己負担で、その後に遡って補填を受けることはできません。
例えば退職後何も手続きをせず無保険で過ごしていた期間に事故に遭ったりすると、数十万円〜数百万円の医療費がそのまま請求される可能性があります。
そうしたリスクを考えても、やはり退職後は何らかの保険に加入しておくことが重要と言えます。
以上のように、新しい保険証が手元にない間でも適切に対処すれば大丈夫です。
そうすれば万一の受診時にも迅速に払い戻し手続きができますし、仮証明の発行などサポートを受けられる可能性も高まります。
退職後は不安も多い時期ですが、医療費の面で困らないよう、保険の準備だけは抜かりなく行いましょう。
よくある質問(FAQ)

Q: 退職後、会社の健康保険証はいつまで使えますか?
A: 会社の健康保険証は退職日まで有効で、退職日の翌日から使用できなくなります。
在職中であれば月末でなくとも保険証は有効ですが、退職した翌日以降は無効となるため注意してください。
退職時に会社から返却を求められるのはそのためです。
Q: 退職代行を利用した場合、健康保険証はどのように返却するのですか?
A: 退職代行サービスを利用して退職する場合でも、健康保険証の返却は自分自身で行います。
退職代行業者が会社に退職の連絡をする際に「健康保険証を後日郵送します」と伝えてくれるので、多くの場合は会社宛に郵送で返却します。
退職代行業者によっては、保険証の郵送方法についてアドバイスしてくれることもありますが、基本的には自身で封筒に入れ、簡易書留など記録が残る方法で会社の指定先へ送付します。
Q: 退職後に健康保険証を返却し忘れたらどうなりますか?
A: 保険証は会社や保険者の所有物であり、退職後は速やかに返却することが法律で定められています。
返却し忘れたとしても退職翌日以降その保険証は無効なので、使っても医療費は全額自己負担扱いになります。
万一誤って使用し保険給付を受けてしまった場合、後日その分を返還するよう求められる可能性があります。
返却を忘れていたことに気付いたら、速やかに元の勤務先に連絡し、指示に従って返送または破棄してください。
Q: 任意継続と国民健康保険、どちらを選ぶべきでしょうか?
A: 一概には言えませんが、保険料の負担額と今後の予定で判断すると良いでしょう。
参考:退職後の健康保険は国民健康保険か任意継続どっちがお得?|労働基準調査組合
任意継続は在職時と同じ保険に最長2年間入れますが、保険料は全額自己負担で割高になる傾向があります。
一方、国民健康保険は前年所得に応じた保険料で、退職直後は高めになることもあります。
しかし会社都合退職で失業中の場合は国保の保険料が軽減される特例があり、その場合国保の方が安くなることが多いです。
短期で再就職予定なら任意継続でつなぐ手もありますが、失業期間が長引く場合や収入状況によっては国保の方が適しているでしょう。
それぞれの保険料試算をしてもらい、負担が少ない方を選ぶのがおすすめです。
Q: 配偶者の扶養に入るにはどうすればいいですか?
A: 配偶者の勤務先の健康保険に扶養として加入するには、配偶者の会社に扶養申請を行う必要があります。
まずは配偶者の会社の担当部署(人事・総務など)に連絡し、「退職したので扶養に入れたい」と申し出ます。
会社から指示された被扶養者届等の書類に必要事項を記入し、退職日がわかる書類(離職票や退職証明書)や収入見込み申告書などを添えて提出します。
健康保険組合や協会けんぽで審査が行われ、あなたの年間収入見込みが130万円未満等の条件を満たせば被扶養者として認定されます。認定後は退職翌日から配偶者の健康保険が適用されます。
Q: 次の就職先が決まっている場合、国民健康保険に加入する必要がありますか?
A: 就職までに1日でも空白期間がある場合は、原則としてその期間を埋めるために何らかの保険に加入する必要があります。
例えば退職日から次の会社の入社日までに1週間空くなら、その間は国民健康保険に加入するのが望ましいです。
実際には「数日だけだから」と国保に加入せず過ごす人もいますが、その数日で事故や病気に見舞われるリスクもゼロではありません。
万一に備え、たとえ短期間でも空白期間は作らないことが理想です。
次の就職先で社会保険に入ったら国保はすぐ脱退できますし、保険料も日割り計算ではありません(1ヶ月分かかります)が安心料と考え加入をおすすめします。
Q: 退職後、新しい保険証が手元にない期間はどうすればいいですか?
A: 新しい保険証が届くまでの間に病院に行く場合は、ひとまず全額自己負担で支払い、後日保険者に請求して払い戻しを受けることができます。
その際は領収書が必要なので必ず受け取り保管してください。
加入手続きを済ませていれば、保険証が手元になくても資格自体は得ていますから、役所で仮の「資格証明書」を発行してもらうことも可能です。
それを病院に提出すれば、自己負担3割で受診できる場合もあります。
高額な治療になった場合でも、高額療養費制度によって後から自己負担限度額以上は戻ってきますので、まずは落ち着いて医療を受け、後日忘れずに申請するようにしましょう。
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退職代行コラム編集者
労働基準調査組合執行委員長
後藤 星未
「医療関係の職場に長年勤務していました。その職場では、様々なハラスメントが横行しており、経営者をはじめ役職者も従業員に心ない言葉を浴びせ、非常に離職率が高く、入社直後に退職してしまう、まさに典型的なブラック企業でした。
私は新人研修や教育を任されていましたが、せっかく育てた新人は経営者や上司からのハラスメントを受けて心を病み、退職を繰り返す状況が続きました。
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