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退職後の健康保険は国民健康保険か任意継続どっちがお得?

  • 2023.10.10
  • 2023.10.10
退職後の健康保険は国民健康保険か任意継続どっちがお得?

退職豆知識

任意継続は会社負担分が無くなるため全額負担となるが、扶養家族がいても保険料は変わらない

国民健康保険は前年収入により保険料が決まるため2年目から安くなり、減免・軽減措置もある

個々の状況により保険料は異なるため任意継続から国民健康保険への切り替えも含めて検討が必要

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退職の際、健康保険の選択に頭を悩まされる方もいらっしゃることでしょう。健康保険は退職後も従前の制度を継続して利用できる任意継続保険と、国民健康保険との間で選ぶ必要があります。この選択に影響を与える主要な要素の一つが保険料のコストです。保険料の安さで決定を下す方も少なくありませんが、「どちらの保険料が安価なのか」その判断基準が不明確な方もいるでしょう。

退職後の健康保険選択に関して、任意継続保険と国民健康保険の保険料について、最もシンプルかつ確実に理解できる方法をご案内させていただきたいと思います。2023年最新の情報に基づいてお伝えさせていただきますので、これから退職を控え、どちらの保険を選ぶべきか悩んでいる方は是非参考にしてください。

任意継続保険は、これまで加入していた健康保険を退職後も継続して利用できる制度です。一方、国民健康保険は退職と共に新規に加入する制度となります。それぞれの保険制度にはメリットやデメリットが存在し、保険料もそれぞれ異なります。具体的には、任意継続保険は職場の社会保険から離れずに利用を続けることができ、保険料は変動ありません。

これに対して国民健康保険の保険料は所得に応じて変わりますが、明確な基準がございます。どちらの保険がご自身のライフスタイルや経済状況に適しているかを比較検討する際には、これらの要因を考慮して判断することが重要です。

下記では任意継続、国民健康保険のそれぞれについて説明させていただきますが、2022年に任意継続被保険者制度の法改正がございました。

それについて下記でまず解説いたします。

それではみていきましょう。

 

2022年1月の法改正での変更点


2022年1月に施行された健康保険法の改正によって、任意継続被保険者制度は重要な変化を遂げました。この改正は、任意継続被保険者がご自身の意思で資格を喪失し、制度を離脱することが可能になったことを意味しております。

これは、被保険者が退職後の保険選択において、以前よりも柔軟な選択をする余地が広がったということになります。

以前の任意継続制度では、基本的には2年間は資格喪失が認められず、その期間は保険料が変動しないという制約がありました。そのため、任意継続と国民健康保険(国保)の間で選択する際には、2年分の保険料を計算し比較分析する必要がありました。しかしこの任意継続の2年間の縛りがあったため、選択を困難にさせていました。

2022年の改正によって、例えば退職後に1年間は任意継続の制度を利用し、次に国保へ移行するという選択ができるようになりました。これは、退職後に一定期間の低収入が予測される場合、国保の保険料が比較的安く設定される2年目に国保に切り替えることが可能となるという点で非常に重要です。

従って、任意継続と国保の保険料を比較する際は、これまでのような長期の試算ではなく、短期間の保険料だけを比較すればよくなりました。これにより、保険料の比較がより簡便かつ明瞭に行えるようになりました。

上記では2022年の任意継続被保険者制度の法改正について詳しく説明いたしました。

下記では任意継続被保険者制度について詳しく説明させていただきたいと思います。

それではみていきましょう。

 

任意継続被保険者制度とは


日本の国民健康保険制度には退職後も安心して加入できるいくつかの選択肢がございます。これは、国民皆保険制度として知られているシステムの一環です。この制度では、全ての国民は何らかの形で健康保険に加入することが義務付けられています。以下では、これらの選択肢について理解しやすく解説いたします。

退職後の健康保険の選択肢は主に4つあります。まず、新しい職場が見つかった場合、その職場の健康保険プランに加入することができます。次に、退職前に所属していた健康保険プランへの任意継続加入がございます。これは、「任意継続」とも呼ばれ、退職後も元の保険に加入し続ける選択肢となります。

さらに、国民健康保険に加入することも可能です。最後に、家族がすでに加入している健康保険プランに被扶養者として加入するという選択肢もございます。これは特に経済的なメリットがあります。なぜなら、被扶養者として加入すると、保険料が発生しないためです。

扶養者として加入する場合、年収が130万円以下(60歳以上や障害者の場合は180万円以下)であり、また、保険に加入している家族の収入の半分以下でなければなりません。失業中はこの条件を満たしやすいですが、失業保険を受け取る場合は注意が必要です。失業保険も収入として計算され、一日あたりの失業保険が3611円を超えると、年間で130万円を超えるとみなされ、扶養者としての条件を満たさなくなります。

従って、失業保険を受け取りながら健康保険に加入する場合は、退職前の健康保険への任意継続加入や国民健康保険への加入を検討することになります。

上記では任意継続被保険者制度について詳しく説明させていただきました。

それでは任意継続被保険者制度の加入期間や保険料はどのようになるのでしょうか。気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

下記では、任意継続被保険者制度の期間、保険料について詳しく説明させていただきます。

ではみていきましょう。

 

任意継続被保険者制度の期間、保険料について


2023年時点で任意継続保険は加入期間が最大2年で、好きな時期に脱退可能です。ただし、任意継続を希望する場合は、退職の翌日から20日以内に手続きをしなければならない制約がございます。さらに、一度脱退手続きを完了すると再加入は許可されません。対照的に、国民健康保険への加入手続きは退職後14日以内に実施する必要があります。

興味深い事実として、2022年9月末まで任意継続保険に加入した場合、特定の理由(例:転職)がない限り2年間はその保険から脱退することができませんでした。この期間中、保険料は一定の金額が設定されていました。この点で注意すべきなのは、任意継続保険の保険料と国民健康保険料との間に生じる金額差です。

国民健康保険の保険料は前年度の所得に基づいて計算されます。その結果、退職年度は高収入に基づく保険料が設定され、退職後の収入が減少すると翌年度の保険料は大幅に低下します。一方で、旧制度では1年目に任意継続保険に加入した人は2年目に国民健康保険に切り替えることができませんでした。

過去には保険料を意図的に未納にして任意継続保険を脱退し、その後国民健康保険に加入するというケースが見受けられたという実情がございました。これらのケースを考慮に入れ2022年10月からは、任意継続保険の加入者が国民健康保険に切り替えたいと思った時に、任意のタイミングで脱退届を提出できるようになりました。

保険料に関する話について給与所得者が利用可能な健康保険は複数ありますが、協会けんぽが最も一般的です。それに加えて、大企業が独立して運営する健康保険組合や公務員が加入する共済組合などもございます。

任意継続保険の保険料は退職時の標準報酬月額を基準にして、定められた保険料率を適用して計算されます。保険料率は各都道府県で異なり、40歳以上の方は介護保険料が追加され、それに伴い保険料率が増加します。

ここでは任意継続被保険者制度の期間、保険料について説明いたしました。

それでは続いて、以下では国民健康保険、任意継続の保険料の正確な把握の仕方について解説させていただきたいと思います。

それではみていきましょう。

 

国民健康保険、任意継続の保険料の把握の仕方


結論から申し上げますと、国民健康保険については各市区町村役場の国民健康保険担当窓口で正確な保険料の試算を依頼されることを強くお勧めいたします。これは最も簡便で確実な方法でございます。

国民健康保険の保険料試算を個人で実施することはおすすめいたしません。その理由としましては、保険料率が各自治体ごとに異なりますし、扶養家族の有無など個別の状況により試算方法が非常に複雑化することがございます。したがって誤った計算をしてしまうと、意図した結果を得られないことが考えられます。

一方で任意継続保険料については、個人で容易に調査可能です。任意継続保険料の確認方法については後ほど詳しく解説いたします。

ここからは、国民健康保険料と任意継続保険料の試算について続けて説明させていただきたいと思います。

それではみていきましょう。

 

国民健康保険料の試算について


国民健康保険に関するお問い合わせは、ご居住地の市区町村役場の国民健康保険窓口までお願い申し上げます。近年では個人情報保護の観点から、電話によるお問い合わせへの回答は限定されておりますが、窓口に直接お越しいただくことでご自身の保険料の正確な試算を受けることが可能となっております。試算を受ける際には、運転免許証等の身分証明書をお持ちいただくことをお勧めします。

また、会社都合退職(倒産やリストラが原因)や、正当な理由のある自己都合退職の場合には、国民健康保険の減免制度の利用が可能であるケースがあります。

仮に減免制度が利用できる場合は、減免後の国民健康保険料の試算を出してもらい、その保険料と任意継続保険料とを比較していただければと思います。

続いて、任意継続保険料について下記でみていきましょう。

 

任意継続保険料の試算について

 

中小企業に勤められている方

中小企業のお勤めされていて、健康保険が協会けんぽに加入されている方は退職時の標準報酬月額が分からない場合も含めて、ご自身のお住いの都道府県の全国健康保険協会支部に電話問い合わせしていただくことで保険料の確認をしていただくことが可能です。

ご本人様から電話していただき、健康保険証の記号番号をお伝えしていただくことにより電話で保険料を教えていただくことが可能です。ただし、管轄の全国健康保険協会支部により対応が異なる場合も考えられますので、念のために下記をご参考にしていただき、お住いの都道府県の全国健康保険協会支部に電話でご確認をよろしくお願いいたします。


参考:全国健康保険協会支部お問い合わせ先

 

大企業に勤められている方

大企業にお勤めされている方は、その会社ごとの健康保険組合に加入されているかと思いますので、ご自身が加入されている健康保険組合に電話で保険料をご確認していただければと思います。

お問い合わせ先は、お勤めの健康保険組合になるかと思いますので、お勤め先にてご確認をよろしくお願いいたします。

もし、ご自身の加入されている健康保険が分からない場合は会社から発行されている保険証をご確認ください。保険証の下部の方に記載されている保険者名称の箇所に発行元が記載されております。そちらをご確認していただき、発行元の名称を検索していただくことで連絡先が分かるかと思いますので、そちらにお電話していただき保険料の算出をしてもらいましょう。

上記では国民健康保険料と任意継続保険料の試算について説明させていただきました。それでは、任意継続保険料と国民健康保険料とでは実際にどちらの方が良いのでしょうか。

気になっている方もいらっしゃるかと思います。

これはあなたの状況(扶養の有無など)によっても異なりますので、下記で詳しくメリット、デメリットについて解説いたします。

それではみていきましょう。

 

任意継続と国民健康保険それぞれのメリット、デメリットについて


ここでは、「任意継続」と「国民健康保険」についてその特徴、及びそれぞれの長所と短所について明示しております。

任意継続保険と国民健康保険は保障の内容が異なります。任意継続保険は公法人である協会けんぽによって運営されており、被保険者として主に中小企業の従業員及びその家族が加入可能です。医療費の三割負担や出産手当金、傷病手当金など、労働者に対する保障が充実しています。

それに対して国民健康保険には、出産や傷病に対する手当は基本的に付帯されていません。これらの条件から見ると協会けんぽの保障は魅力的に思えますが、任意継続保険ではこれらの手当が付かない点では、国民健康保険と差異はありません。

国民健康保険は市区町村が運営しており、加入者の前年度の所得に基づいて保険料が設定されます。退職後の所得が減少すれば、2年目以降の保険料が軽減される可能性があります。また、自己都合退職ではなく失業した者や収入が途絶えた方は、保険料の軽減や減免を受けられる場合もあります。

任意継続保険のメリットは、扶養家族がいても保険料が変動しないことや、退職時に簡便な手続きで保険の継続が可能であることです。しかしながら、デメリットとしては、従来は会社が半分負担していた保険料を全額自己負担する必要があり、保険料の負担が増大します。また、保険料は2年間固定で、軽減措置は一切受けられません。

国民健康保険のメリットとしては、所得に応じた保険料の設定や、特定の条件下での保険料の軽減措置が挙げられます。一方で、任意継続保険にある「扶養」の概念はなく、家族全員が個別に加入し保険料を支払う必要があります。そして、加入手続きには自ら市区町村に足を運ぶ必要があります。

以上が、任意継続保険と国民健康保険の主な特徴と、各保険のメリット及びデメリットとなります。

では実際に任意継続保険と国民健康保険のどちらが安いのでしょうか。それはあなたの年齢、収入の金額や扶養の有無など、状況によって異なります。

個々の状況によってそれぞれ異なるため、一概にどちらがお得で安いかどうかは決めることはできません。賞与の有無や金額によっても変わってきますし、またそれ以外の収入で例えば賃貸収入があるような場合は、それも所得となるため国民健康保険に影響がございます。

したがって、個々のそれぞれの状況や要因によりどちらがお得か異なってくるため、これまででお伝えさせていただいた通り任意継続は管轄の全国健康保険協会支部に、国民健康保険はお住いの市町村役場の健康保険窓口にお問い合わせいただき個々の状況をお伝えしていただいた上で正確な保険料の試算をそれぞれ出してもらうことが重要です。それにより個々の状況に対しての正確な保険料を試算してもらった上で比較検討していただくことが可能となります。

 

まとめ


退職後の保険選択には、転職先の社会保険への加入と家族の扶養に入ることを除くと、任意継続保険と国民健康保険の2つの選択肢があり、どちらが適切であるかは個々の状況によります。任意継続保険とは、前職の健康保険に最長2年間加入し続けることができる制度で、このオプションを選ぶと、今までの会社の負担がなくなるため保険料がこれまでの2倍に跳ね上がります。

一方で、国民健康保険は家族全員の保険料が必要となり、しかしながら2年目からは保険料が下がり、さらに一定の減免や軽減措置が適用されることもございます。どちらの保険が費用的に有利であるかは、個々の家庭の状況によるため、慎重な計算と比較が不可欠です。

特に、退職直後の1年目には任意継続保険と国民健康保険の保険料をきちんと比較し、任意継続保険が割安である場合には2年目も再比較を行い、必要に応じて保険を切り替えることをお勧めいたします。

ここで注意すべきは、任意継続保険と国民健康保険の手続き期間です。任意継続保険の加入手続きは退職の翌日から20日以内に行う必要があり、この期間を過ぎてしまうと原則として加入はできません。一方、国民健康保険の手続き期間は退職の翌日から14日以内です。

退職後の保険選択は重要な決断ですので、各保険の特徴と手続き期間を理解して適切な選択を行うことが重要です。
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退職代行コラム編集者

コラム編集者

労働基準調査組合執行委員長
徳野 雄一

私自身、離職率が非常に高い同族経営の会社に11年勤務し役職者でした。
私の目の届かないところで普段から自身の部下に経営陣からハラスメントが横行しており、育ては部下が退職する繰り返しの会社でした。

入社して11年目に私宛の部下の辞表に経営陣からの酷いパワハラとも取れる内容が赤裸々に綴られており、今までその事に気づかなかった自分に腹が立ちそして、会社の将来を見据え、その事を経営陣に指摘した途端に私は懲戒解雇を言い渡されました。
その後、懲戒解雇の事を調べ上げ簡単には認められない事を知り、会社側に撤回させ自主退職し今に至ります。

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