不当労働行為救済申立事件の解決事例
- 2025.02.06
- 2025.02.06
実行日 | 25年2月 |
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組合員 | I さん |
年齢 | 20代 |
地域 | 愛知県 |
職種 | 工場勤務 |
雇用形態 | パート |
トラブル種別 | 退職拒否、未払い |

事案の概要
工場勤務の組合員が、気温30度を超えなければエアコンの使用を禁止するという劣悪な労働環境の下で業務に従事していたところ、過酷な労働条件によりうつ病を発症しました。
組合員は治療のため退職を申し出ましたが、使用者側が一方的にこれを拒絶するという深刻な事案が発生いたしました。組合員は医師によるうつ病の診断書を会社に提出いたしましたが、使用者側はこれを正当な理由なく却下し、さらに未払い賃金の支払いも拒否するという不当な対応を続けておりました。
このような明らかな労働者の権利侵害に対し、当組合は組合員からの相談を受け、直ちに労働組合法に基づく正当な権利行使として介入することを決定いたしました。
救済申立に至る経緯
当組合は使用者に対し内容証明郵便による団体交渉申入れを行いましたが、使用者側はこれの受け取りを拒絶するという不誠実な態度を示しました。
そのため、労働組合法第7条第1号に規定する不当労働行為に該当するものとして、大阪府労働委員会への救済申立を実施いたしました。
労働委員会の調査開始により、使用者側もようやく団体交渉のテーブルにつくこととなり、労働組合法第6条に基づく団体交渉権を行使し、組合員の労働条件改善と未払い賃金の完全回収に向けて本格的な交渉を開始いたしました。
団体交渉の経過
団体交渉では、会社側が顧問弁護士を代理人として立て、3ヶ月間という長期にわたる粘り強い交渉を継続いたしました。当組合は労働基準法、労働安全衛生法、労働組合法等の関係法令に基づき、組合員の正当な権利実現のため妥協することなく交渉に臨みました。
交渉過程では、使用者側の顧問弁護士から「まだやりますか」との発言があり、当組合が「もちろん解決するまで継続いたします」と毅然とした態度で応じた際、深いため息をつかれるという場面もありました。これは使用者側が当組合の交渉継続に対する強固な意志を理解し、解決に向けた真摯な姿勢の必要性を認識した証左であったと考えております。
解決結果と今後の課題
最終的に組合員の退職については実現することができましたが、未払い賃金については組合員ご本人から「退職できただけでも感謝している」とのお申し出があり、組合員の意向を尊重し請求を取り下げることとなりました。
当組合といたしましては、完全な解決に至らなかった点について深く反省するとともに、労働者の権利擁護という組合本来の使命を果たすため、今後も同様の不当労働行為事案に対してより一層積極的かつ効果的に取り組んでまいります。