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雇用保険未加入の会社の場合、失業手当はもらえないのでしょうか?未加入が発覚した時の対処法について

  • 2023.10.05
  • 2023.10.05
雇用保険未加入の会社の場合、失業手当はもらえないのでしょうか?未加入が発覚した時の対処法について

退職豆知識

雇用保険の加入は失業手当を受給するための必須条件である

雇用保険の加入の確認は給与明細でも可能だが、ハローワークでの確認が確実である

過去に遡って雇用保険に加入することができ、未加入期間の雇用保険料を後納することが可能

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「雇用保険未加入」のブラック企業の話題はニュースでも取り上げられることが少なくありません。その背景には、雇用保険料の負担を避けたい会社側の思惑がございます。

雇用保険は失業保険の原資となる重要なもので、一定の条件を満たす全ての労働者は雇用保険に加入する必要があります。もし加入していないのであれば、失業保険を受け取ることは難しくなってしまいます。

雇用保険は失業時だけでなく、育児休業時の給付金や職業訓練など多岐にわたるサービスを提供しています。それだけに、この保険に加入していないと労働者は多大な損失を被ることになります。

もし、雇用契約を結んで働いているにもかかわらず雇用保険に加入していない場合、会社は法に違反しているといえます。例えば、育児休業を取りたい方や失業してしまった方々も、雇用保険への加入がないと、それぞれの給付金を受け取ることはできません。

本記事では、この重要な雇用保険未加入問題に対する会社の責任や労働者が知っておくべきポイントについて、詳しく解説させて頂きます。

雇用保険の加入を確認する方法、未加入が判明した際の適切な対処法についても触れますので、ぜひご一読ください。労働者の皆様の権利を守るためにも、知っておいて損はございません。

それではまず、下記では雇用保険について詳しく解説いたします。

それではみていきましょう。

 

雇用保険について


それではまず、雇用保険とは何かについて詳しく説明させていただきたいと思います。

これは失業や雇用が継続できない状況、あるいは育児休業を取得したときに労働者に一定の給付金が支払われる制度です。例えば失業時や職業訓練中にも支援が提供され、労働者を守る重要な保険と言えます。

雇用保険は、労働者が安心して働ける環境を提供するため、その特徴を理解することが大切です。第一に、会社は、労働者が雇用保険に加入を希望するかどうかに関係なく、一定の条件を満たす労働者を雇用保険に加入させる義務がございます。これは雇用保険法第7条に定めがあり、違反すると懲役6ヶ月以下もしくは罰金30万円が科せられる可能性がございます。また雇用保険は会社と労働者の両方の負担により支払われます。


参照:雇用保険法第7条(e-Gov法令検索)


さらに、雇用保険はパートやアルバイトの労働者も加入が可能で、これにより幅広い労働者がこの制度のメリットを享受できます。そして、雇用保険は、失業保険を受け取るための必須条件でもあります。これらの特徴から、雇用保険が労働者の生計を支え、安定した労働環境を築くために不可欠な制度であることをご理解いただけるかと思います。


参考:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省


ここでは、雇用保険について説明いたしました。

続いて以下では、雇用保険の加入条件について詳しく説明させていただきたいと思います。

それではみていきましょう。

 

雇用保険の加入条件


雇用保険法に従い労働者は特定の条件を満たせば雇用保険に加入することが可能で、これには正規職員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートタイム職員も含まれます。具体的には、労働者が一週間に20時間以上働いている場合、または最低でも31日以上の雇用期間が見込まれる場合、これらの労働者は雇用保険の被保険者となり得るのです。

とはいえ、一部の企業では労働者が雇用保険に加入しないように、これらの条件をわざと満たさない働き方をさせることもございます。しかし、そういった対応は実際的ではなく、その結果として雇用保険未加入で働く労働者を抱える企業も存在するのが現状です。また雇用保険の加入条件を満たしているにもかかわらず雇用保険の加入を認めない会社も存在します。

雇用保険に加入することは、労働者にとって重要な権利です。そのため、雇用保険の加入条件を理解し、ご自身の権利を守るためにも上記の加入条件を確認していただき、適切に加入しましょう。


参考:雇用保険事務手続きの手引き|厚生労働省


上記では、雇用保険の加入条件について解説いたしました。

上記の通り会社が雇用保険の加入条件を満たしているにもかかわらず、未加入の状態にしている場合が有り、現状雇用保険に加入しているかどうかわからない場合は下記の通り雇用保険に加入しているかどうかを確認できる方法がございます。

以下では雇用保険に加入しているか確認する方法について解説いたします。

それではみていきましょう。

 

雇用保険の加入を確認する方法


雇用保険に加入しているかどうかを確認する方法は下記の2つの方法がございます。

以下ではそれぞれの方法について説明させていただきたいと思います。
 

確実な方法としてハローワークで確認する

雇用保険の被保険者資格を持っているかどうかについての確認は非常に重要であり、その有無についての疑問や不安を解消するための最も確実な手段として、ハローワークに直接ご訪問していただいて専門の窓口でご自身の被保険者資格が確定しているかどうかをご確認していただくことを強く推奨いたします。

ハローワークでは来所者一人一人に対して丁寧に被保険者としての資格が有効であるか、もしくはその資格が失われていないかを確認するサービスを提供しております。これにより、あなたご自身が雇用保険に正しく加入されているかどうかの確認ができ、もしも未加入であるという事実が判明した場合でも、ご安心していただきたく思います。

なぜならば現在からでも雇用保険の加入手続きを進めることが可能であり、もし加入していなかった期間に関しても、後ほどご紹介させていただく方法を利用することで未加入の期間があったとしても、その未加入だった期間をカバーし、問題が発生しないよう対処することもできるからです。

したがって、もしも雇用保険の被保険者資格に関して少しでも不安や疑問を抱えている場合はその不安や疑問を拭うため、そして確実な確認を行うためにも、ハローワークへの直接の訪問をお考えいただければと思います。

具体的な方法としましては、「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」(ハローワークで交付またはダウンロードして印刷)に必要事項をご記入していただき、本人確認書類を添えて管轄のハローワークに提出していただくことで確認が可能となっております。またこちらは郵送で行うことでも対応してもらうことが可能です。ただし、電話でのお問い合わせは出来ませんので、ご注意ください。


参考:雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票|ハローワークインターネットサービス
 

給与明細で確認する

雇用保険料は会社だけの負担ではなく、労働者の方も一部を支払っているため、その詳細は毎月の給与明細にて確認していただくことができます。しかし、時折、給与明細に雇用保険の項目が記載されていない場合もございます。これは、あなたが雇用保険に未加入であるリスクを示している可能性がありますので、不安を感じた方はハローワークに相談に行かれることをお勧めします。

それに給与明細に雇用保険料が計上されている状態でも、実際には会社が適切に雇用保険に加入していない、しかもその保険料を不正に取り立てているという事例も残念ながら存在します。このような不正な状況を避けるため、給与明細だけではなく、ハローワークでの確認も並行して行うことが賢明です。これにより、安心して働ける環境を確保する手助けとなります。

ここでは、雇用保険の加入を確認する方法について詳しく説明させていただきました。

上記の方法でご確認いただき、問題なく加入していればよいのですが、万が一会社によって不適切に加入されていなかった場合はどのようになるのか不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。

下記では、雇用保険が未加入になっていた場合に起こり得るトラブルについて詳しく説明させていただきます。

それではみていきましょう。

 

雇用保険未加入によって起こるトラブル


雇用保険未加入により、在職中には育児休業や介護休業の給付金を受けることが出来ないというトラブルが生じます。また、在職中だけに限らず、解雇や退職により失業した場合の失業手当等の受給も受けることが出来ないといったトラブルも生じます。

以下では、雇用保険未加入による起こり得るトラブルについて詳しく解説いたします。

それではみていきましょう。


参考:雇用保険手続きのご案内|ハローワークインターネットサービス

 

育児給付金を受けることが出来ない

育児休業給付は、特定の要件をクリアした雇用保険の被保険者が、1歳、もしくは1歳2ヶ月(支給対象期間の延長を行った場合は1歳6ヶ月または2歳まで)以下のお子様をお持ちの方が育児のために休業した際に受け取れる支給金のことを指します。この給付金は、育児をしっかりと手掛けるため、そして、貴重な育児の時間を確保する支援策の一環として提供されています。

なお、「パパママ育休プラス制度」により、お父さんお母さん双方が育児休業を利用する場合は、お子様が1歳2ヶ月になる前日まで、合計で1年間の育児休業が可能となります(女性に関しては、出産後の産休期間も含まれます)。

しかし、重要な点として、雇用保険に加入していない方は、この育児休業給付を受け取ることはできません。

雇用保険への加入は、多くの労働者にとって重要な権利及び保障の一つであり、そのメリットを最大限に活用するためにも雇用保険の加入の確認は重要になってきます。
 

介護休業給付を受けることが出来ない

まず介護休業給付金という制度について簡単に説明いたします。この制度は、ある特定の条件をクリアした際に受け取れる給付金で、これを利用すると家族がケガや病気、もしくは身心の障害で介護が必要となった場合に安心して休暇をとることが可能となります。特に、介護を必要とする家族を支えるために休業を考慮している方にとって、この給付は大変重要です。

しかしこの制度には、注意点が一つございます。それは、「雇用保険に加入していないと介護休業給付金は受けられない」という点です。したがって、ご自身が雇用保険に加入しているかどうかを事前に確認しておくことが非常に重要になります。

介護休業を取得する場合、要介護状態にある家族を介護する目的で休業することが認められ、特定の要件を満たしていれば介護休業給付金を受けることが可能です。この制度を上手く利用することで、家族の介護をしっかりと行いながら、経済的な負担を軽減することができますので、ぜひともご利用ください。


参照:育児介護休業法第11条(e-Gov法令検索)

 

失業手当(基本手当)の給付を受けることが出来ない

失業手当(基本手当)は、仕事を失った方々が新しい職に就くまでの期間に安定した生活を送ることができるように支援される手当のことを指します。この基本手当は雇用保険に加入していないと受け取ることはできません。

失業手当は、失業者が焦らず、安心して次の仕事を探すための一助となります。通常、支給される期間は最短90日から最長360日とされていますが、離職理由(自己都合退職か会社都合退職かなど)や雇用保険の加入期間等の条件によって変わってきます。

もし失業手当を受け取れない場合、失業期間中の生計が厳しくなり、再就職までに多くの経済的なストレスを感じることとなるでしょう。これが失業手当の重要性を示しています。失業した際、失業手当を受け取ることで負担が軽減され、より集中して新しい職を見つけ出せるというメリットがございます。
 

就職促進給付を受けることが出来ない

雇用保険に未加入の場合には、再就職にかかわる下記の給付を受けることが出来ません。


・再就職手当
再就職手当とは、いわば安定職業へ早期就職した際に受け取ることが出来る手当を指します。この安定職業というのは、雇用保険の被保険者になる場合、または自らが事業主となり雇用保険加入者を採用する場合のことを意味します。

再就職手当の受給には、基本手当の残っている支給日数が規定された給付日数の3分の1以上残っていることが必須条件となります。この制度は、安定した職業に転職した方が特定の要件を満たすと、この手当を受け取ることができるという制度です。

従いまして、再就職手当は早期に安定職業に復帰する労働者を金銭的に支援するための制度であり、これにより労働者は雇用の安定を得られるとともに、金銭的な手助けを受けることが可能となっております。


・就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職して6ヶ月以上継続して勤務している方向けの支援金です。この手当を受け取る主な条件は、「再就職後の日給が、前職の日給(雇用保険の給付基礎となる賃金日額)と比較して低下している」ということです。

この手当は、前職と比べて給与が減ったとしても新しい転職先で継続して働き続けている方を経済的にバックアップするための制度です。例えば、雇用保険の再就職手当を受け取った後に新しい職場で6ヶ月以上働いていても、以前の職場の給与に比べて低い給与しかもらえていない場合はこの制度の受給条件を満たします。

再就職先での6ヶ月間の賃金が、前職の賃金に比べて1日あたりの金額が低いと判断された際に、就業促進定着手当が支給されるということになります。そのため、再就職を果たしても給与が以前と比べて低下してしまった方々にとっては、この手当が大いに役立つでしょう。


・就業手当
就業手当というのは、基本手当をもらえる資格を持つ方が再就職手当がもらえない種類の仕事(短期のパートやアルバイトなど)についた場合に受け取れる補助金のことです。この手当を得るためには、基本手当の残り支給日数が「規定された支給日数の3分の1以上であり、かつ45日以上」残っていなければなりません。さらに、受け取るためには他にもいくつか条件をクリアしなければなりません。

つまり就業手当とは、短期のパートやアルバイトなどの仕事に就いた方でも、一定の条件下で支援を受けられる制度になります。


・常用就職支度手当
常用就職支度手当とは、一定の受給資格を持つ方々の中で障害等の理由から就職活動が難しい方々が、安定した就職に成功して、一定の基準を満たした際に受け取ることのできる経済的支援のことです。

この支援金は就業のハードルが高いとされる方々が、社会にスムーズに参加できるよう補助する狙いがあります。例として、障害をお持ちの方などが対象となります。その方々が雇用の機会を得るためには、特別なサポートや職場環境の調整が必要とされることが多く、これに伴うコストを軽減し、雇用の動機を高めるための制度といえます。


上記では、雇用保険未加入によって起こるトラブルについて解説いたしました。

では、万が一雇用保険の未加入が発覚した場合にはどのようにすればよいのでしょうか。泣き寝入りをするしかないのでしょうか。

不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。

結論から申し上げますと、対処法はいくつかございます。それでは、下記ではその対処法についてご紹介させていただきたいと思います。

それではみていきましょう。

 

雇用保険未加入の場合の対処法


ここでは、雇用保険の加入の条件に該当しているにもかかわらず、雇用保険未加入だった場合にどのように対処するべきかについて説明いたします。

雇用保険未加入に対しての対処法は以下の方法がございます。
 

雇用保険の加入を会社に要求する

万が一雇用保険に未加入であることが判明した場合、すぐに雇用者に対して加入手続きを求めることが重要です。会社側が雇用保険加入の手続きを単純に見逃しているケースもありますので、必ずしもブラック企業と断定できるわけではありません。一般的には、雇用保険への加入を要求すればそれに応じてくれる会社がほとんどかと思われます。

加入が義務付けられている雇用保険は、従業員にとって重要な安全ネットです。これを念頭におき、雇用保険未加入であれば積極的に加入手続きを進めてもらうように要請しましょう。
 

雇用保険の後納を行う

雇用保険の適用対象であるかの確認は、ハローワークにおいて確認が可能です。対象であった際に遡って加入し、雇用保険料の後納を検討されることが重要です。これは、失業手当の受給条件や期間が、被保険者期間によるためです。

雇用保険に遡って加入して後納を行っても、失業手当の金額がそれに見合わない場合、後納のメリットは乏しいかもしれません。被保険者期間が失業手当の受給条件に直結していることに注意する必要がございます。通常、失業手当を受けるには、退職日の前の2年間で、被保険者期間が12ヶ月以上必要です。特定受給資格者や特定理由離職者は、前の1年間で6ヶ月以上の被保険者期間が求められます。

退職が近い時点で雇用保険への未加入が判明した場合、失業手当を受けることが困難となる可能性がありますが、後納により受給が可能になることも考えられます。さらに、被保険者期間は失業手当の受給期間にも影響を与えます。その期間を理解しておくことが肝要です。

遡って雇用保険に加入する期間にも注意が必要です。2010年10月1日以降は、給与明細や源泉徴収票などで保険料の天引きが確認できる場合、遡って2年以上前からの加入も認められるようになりました。

遡っての加入時の雇用保険料や加入することのメリットを正確に把握するためにも、ハローワークや専門家にご相談されることを推奨いたします。これらの専門家は、雇用保険の詳細に精通しており、ご自身の状況に最も適したアドバイスを提供してもらえるでしょう。

 

まとめ


一般的に、企業は従業員を雇用保険に加入させる法的責任がございます。この加入は、フルタイム従業員だけでなく、一定条件を満たすパートやアルバイトの従業員にも適用されます。そして失業保険を受け取るためには、この雇用保険への加入が必要不可欠となります。

従業員自身が雇用保険に加入しているかどうかを確認する手段として、給与明細の確認がありますが、より確実な方法としてはハローワークでの直接確認をおすすめさせていただきます。もし加入していることが確認できたら、雇用保険料を正しく支払うことで、失業保険を受け取る資格を確保できます。

万が一雇用保険への未加入が発覚した場合でも、対処法がございます。ハローワークに相談して未加入期間の雇用保険料を支払うことから始めましょう。これにより、未加入期間も加入と認められ、失業保険の支給を受けることが可能となります。

遡っての後納を行う際の雇用保険料と後納することにより得られる失業保険の受給額を把握した上で検討していただくためにもハローワーク、専門家への確認、ご相談をおすすめいたします。

本記事が皆様の雇用保険への理解と、万が一の未加入発覚時の対処法の一助となれば幸いです。
 
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退職代行コラム編集者

コラム編集者

労働基準調査組合執行委員長
徳野 雄一

私自身、離職率が非常に高い同族経営の会社に11年勤務し役職者でした。
私の目の届かないところで普段から自身の部下に経営陣からハラスメントが横行しており、育ては部下が退職する繰り返しの会社でした。

入社して11年目に私宛の部下の辞表に経営陣からの酷いパワハラとも取れる内容が赤裸々に綴られており、今までその事に気づかなかった自分に腹が立ちそして、会社の将来を見据え、その事を経営陣に指摘した途端に私は懲戒解雇を言い渡されました。
その後、懲戒解雇の事を調べ上げ簡単には認められない事を知り、会社側に撤回させ自主退職し今に至ります。

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