- 公務員は退職を規定している法律が異なるため、民間や労働組合による退職代行の利用は難しい
- 弁護士は公務員の法律事務を代行することが可能な為、公務員でも弁護士による退職代行を利用可能
- 公務員が無断欠勤をすると懲戒処分や懲戒免職のリスクがあるため注意が必要

公務員だけど、退職代行って使えるの…?



職場に言い出せないまま時間が過ぎている…
現在、退職を考えられている公務員の方の中で、様々な事情からご自身で退職手続きを進めることが出来ない、退職代行サービスを利用したいという方もいらっしゃることでしょう。
退職代行サービスは運営元により「民間業者による退職代行」「労働組合による退職代行」「弁護士による退職代行」と3つに分類されております。一般的に多くの民間業者、労働組合による退職代行業者については公務員の方の退職代行をサービス対象外にしております。
また、国や自治体等も民間業者や労働組合のような第三者による退職申請を原則受け付けないというのが通常です。
では、公務員の方は退職代行を利用することは出来ないのでしょうか。
結論から申し上げますと、弁護士による退職代行サービスを利用していただくことは可能です。弁護士であれば民間企業でも公務員でも代理人として退職手続きを行うことが可能です。
公務員の退職代行に対応できるのは弁護士だけです。労働組合や民間業者では扱えません。
この記事では、公務員の方が当組合を含む労働組合による退職代行や民間業者による退職代行を利用していただくことが難しい理由と、公務員の方が退職代行サービスを利用される際の依頼先について、公務員と民間企業の退職手続きに関する違いや法律の違いについて詳しく解説させていただきたいと思います。
それではみていきましょう。
公務員の方の退職代行について
一般的に公務員のメリットとして安定性があると言われております。しかし、逆に言えば安定しているということは職場の風通しが悪くなる傾向がございます。
つまり、「人事の入れ替えがほとんどない」「部署移動が少ない」「転勤が少ない」ということになります。
そのような状況下ですと、何十年も同じ人たちと同じ職場で働き続けるということが起こりうることになります。職場の方々との人間関係が円滑に保たれていれば問題はないかと思いますが、職場で働く仲間として全く問題が起こらないということは現実問題として厳しいかと思われます。
そうなりますと、人間関係に歪が出てきます。これを上手く解消することが出来れば問題はないでしょう。
しかし、それを解消できずに悩んでいる方も多くいらっしゃることでしょう。
ここで公務員の退職代行についての特徴としまして、公務員と一般的な民間企業との退職の違いは規定されている法律が異なるということがございます。民間企業ですと民法で規定されています。ところが公務員の場合は国家公務員の方は国家公務員法、地方公務員の方は地方公務員法、自衛官の方は特殊な公務員ということになり自衛隊法という、それぞれ特別な法律が存在します。
その法律によって退職のルールが定められております。そのルールとしまして公務員が退職する際には辞令の交付が必要となります。つまり退職するにあたって許可を貰う必要がございます。その交渉を雇い主の国や地方公共団体に対して行う必要がございます。
上記では公務員の退職代行について詳しく説明させていただきました。
退職の許可を貰う必要があるということが分かりましたが、その許可を貰う交渉は前述でも述べましたが、「民間業者による退職代行」「労働組合による退職代行」「弁護士による退職代行」のいずれの退職代行業者でも行うことは可能なのでしょうか。
以下で詳しく解説させていただきたいと思います。
それではみていきましょう。
- 公務員には労働基準法が直接適用されません
- 退職は各法令や条例の定めによります
- 任命権者の承認を要する場合があります



公務員の方は、民間の労働者と適用される法律が異なります。
公務員は基本的に民間、労働組合による退職代行の利用が出来ない
公務員として働く多くの方々、例えば教員や消防士、市役所の職員、さらに一部の警察官や自衛隊員などが考える退職は、民間企業とは異なります。なぜなら、公務員の退職は労働基準法という民間の労働者のための法律ではなく、「地方公務員法」や「国家公務員法」という特別な法律のもとで行われるためです。このため、原則として第三者が関与する退職手続きは許可されていません。
また、労働組合による退職代行業者も公務員の退職代行を扱うことは出来ません。
なぜならば、公務員は労働組合を結成することが出来ないためです。
もちろん、公務員の方でも退職に際して悩みや困難を感じることはあるでしょう。しかし、公務員の場合、基本的に退職手続きは国や自治体を通じて、本人からの申請を基に行われる流れとなっています。これは、公務員という特性上、他者が代わりに退職の手続きをすることが難しく、実際に国や自治体側からそのような第三者の対応を受け入れてもらうのは難しい場合が多いのです。
このような背景から、一般的な民間業者や労働組合による退職代行サービスの多くは公務員の方々をサービス対象としていません。しかし、それでも公務員の方が退職に関するアドバイスやサポートを求める場合はその特性を理解し、適切に対応できる専門家を探すことが大切です。
上記のような理由から公務員の退職代行は弁護士しか扱うことが出来ないということになります。
下記ではその理由や公務員と民間企業との違いについてさらに詳しく解説させていただきたいと思います。
それではみていきましょう。



ここは正直にお伝えしておきたいところです。
民間、労働組合の退職代行業者が公務員の対応をできない理由
- 労働組合法にもとづく団体交渉の枠組みが当てはまりません
- 民間業者は交渉自体ができません
- 手続きの根拠となる法令が異なります
民間企業による雇用につきましては、民法や労働法などで定められております。
退職に関しては期間の定めのない雇用契約の場合は退職の意思を通知することでいつでも退職が認められております(下記民法第627条参照)。
したがって、退職代行業者としては依頼者の退職の意思を事務的に会社へ伝えるだけでよいため、特に難しい問題はございません。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
引用元:民法627条(e-Gov法令検索)しかし公務員の雇用に関するルールや慣行は、民法や国家公務員法、地方公務員法、および関連する人事規則によって厳格に定められています。公務員としての退職については、独自の手続きを経る必要があります。
具体的には、任命権者の許可を取得するなどの手続きが必要です。しかし、これらの手続きをきちんと遵守すれば、公務員であっても自分の意志で退職することは十分に可能です。
言い換えれば、公務員だからといって、退職の意志を持ちながら許可が下りないという事態は存在しません。
(休職、復職、退職及び免職)第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
引用元:国家公務員法第61条上記の通り、公務員による退職は民間企業の退職とは異なる法律や制度に基づいた手続きが必要になるため、民間の退職代行業者や労働組合による退職代行業者では対応が難しいということになります。また、国や自治体等も弁護士以外の退職代行業者から退職の連絡を受けた場合に得体のしれない第三者からの連絡に関しては対応できないと拒否をされる可能性もございます。
弁護士の場合は公務員でも民間企業でも、依頼者の方の法律事務を代行することが可能です。
国や自治体も弁護士を通して退職の手続きの申請があった場合は基本的に拒否することはないかと思われます。
また、公務員と民間企業の退職時期の違いについてですが、当組合も含めて多くの退職代行サービスが退職の意思を通知後2週間経過で退職可能とお伝えさせていただいております。前述でも述べましたがこれは、民法に基づく退職の手続きを前提としたケースになるため、公務員の方には該当いたしません。
公務員の方の退職時期に関しましては、所属する国や自治体の手続きによって、それぞれのケースにより異なります。ルールとしては、担当部署と協議、調整を行いながら進めることになるでしょう。
例えば、公務員の中でも自衛隊員の場合ですと、さらに追加で規律が定められている職種もございます。自衛隊員の場合は以下のような決まりがございます。
(退職の承認)第四十条 第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
引用元:自衛隊法第40条上記はつまり、自衛隊員の退職について任務に支障をきたすような場合に必要最低限の範囲内で退職の時期を後ろ倒しにすることが可能だということです。どういった場合に上記の決まりが適用されるかは一概には判断が難しいですが、担当任務の内容によっては希望されている退職時期に退職を認められない場合もあるということは念頭に置かれていた方が良いでしょう。
ここでは民間、労働組合の退職代行業者が公務員の対応をできない理由について詳しく説明させていただき、弁護士による退職代行サービスであれば弁護士による交渉を行い、公務員の方でも利用することが出来ることが分かりました。
では交渉を行うということは、退職が決まらない可能性もあるのでしょうか。不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。
結論から申し上げますと、弁護士が交渉することにより公務員の方でも退職は必ず決まります。
以下では、その理由について説明させていただきたいと思います。
それではみていきましょう。



労働基準法が直接は適用されないためです。
弁護士による退職代行を利用することで公務員でも退職が決まる
- 代理人として手続きを進められます
- 費用は5万円から10万円ほどが目安です
- 任命権者とのやり取りも任せられます
公務員の場合、退職の申し入れが有ったら基本的には受け入れるようという通達がございます。基本的にはそれぞれの通達の内容は異なりますが、引き留めを行わないようにとまでは言わないまでも退職希望者の意向に従いなさいという通達がございますので、原則としてはその通達に従っていただけます。
従って公務員の方の場合、弁護士による退職代行を利用することで、弁護士から適切に退職の申し入れをしていただき、伝えるべきことを適切に伝えていただくことで、粛々と手続きがスムーズに進んでいくケースがほとんどかと思われます。
ただし、特殊なケースは除きます。例えば懲戒免職や懲戒処分待ちの状況で退職したいという場合はスムーズに許可が下りないケースはございます。このような特殊なケースを除いて、弁護士による退職代行を利用して弁護士を代理人として立て、正式に申し入れを行い適切な手続きを代理してもらうことで、公務員の方でも退職代行を利用して退職することは可能です。
では最後に、公務員の方が退職代行を利用される際の注意点について下記で説明させていただきます。
それではみていきましょう。



弁護士であれば、公務員の方の退職にも対応できます。
公務員の方が退職代行を利用する際の注意点
- 公務員に対応しているか
- 費用の総額
- 手続きにかかる期間
公務員の方が無断欠勤をすると懲戒処分の対象になり、懲戒免職になるということも十分に起こり得るため、必ず弁護士を代理人に立てていただくことをおすすめさせていただきます。
- 退職の承認を得ないまま、無断欠勤を続ける
- 公務員に対応できない業者に依頼してしまう
- 懲戒処分の手続き中に、自分だけで退職を進めようとする
公務員の方が出社拒否やバックレることは非常に危険です。
欠勤については、例えば国家公務員の方は人事院の懲戒処分の指針で下記のように定められております。
(1) 欠勤ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
引用元:人事院「懲戒処分の指針」より21日以上の間欠勤をすると、免職や停職の処分を受けることを理解されている方は多いかと思われますが、1日でも正当な理由なく欠勤すれば処分の対象になることを理解されていない方も少なくありません。
公務員にとって無断欠勤を行うことは非常にリスクが高い行為となりますのでご注意ください。
また前述でも述べましたが、公務員の方は退職の辞令を受け取る必要がございます。通常辞令の交付は辞令交付式で行われますが、出席を必ずしなければならないというものではございません。欠席される場合は後日郵送で送付していただくよう対応してもらうか、職場に取りに行かれることで辞令の受け取りは可能です。ご依頼される弁護士による退職代行サービスにその旨も伝えておかれるとよいでしょう。



依頼する前に、対応範囲を必ず確かめてください。
公務員は退職代行を使える?結論と理由
- 民間業者・労働組合では対応できません
- 弁護士であれば対応できます
- まず自分の身分と適用される規程を確認してください
結論として、公務員の方は退職代行ローキではお引き受けできません。公務員の身分関係は国家公務員法・地方公務員法で定められており、民間企業の労働者を対象とする労働組合法の団体交渉の枠組みが適用されないためです。
→ 横にスクロールできます
| 対象 | ローキで対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 正社員・契約社員・派遣・パート | ○ | 労働組合法の対象となるため |
| 公務員・自衛官 | × | 国家公務員法・地方公務員法の適用対象のため |
| 業務委託・個人事業主 | × | 雇用契約ではないため |
| 会社役員 | × | 委任契約であり労働者にあたらないため |
雇用形態別・退職代行の利用可否



公務員の方はお力になれず申し訳ありません。所属先の人事担当か、公務員に対応した弁護士へご相談ください。
よくある質問(FAQ)
公務員の方はお引き受けできませんが、民間企業にお勤めの方はご相談いただけます。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接やり取りします。
※公務員の方は弁護士へのご相談をおすすめします。
公務員は退職代行を使えますか?
退職代行ローキではお引き受けできません。公務員の身分関係は国家公務員法・地方公務員法で定められており、労働組合法にもとづく団体交渉の枠組みが適用されないためです。
みなし公務員の場合はどうですか?
みなし公務員とされる立場の方も、根拠となる法令や雇用契約の内容によって扱いが変わります。ご自身の雇用形態が分かる書類をご確認のうえ、専門家へご相談ください。
公務員が退職するにはどうすればいいですか?
所属する機関の人事担当部署へ退職願を提出する手続きが基本です。任命権者の承認が必要になる点が民間企業と異なります。
公務員でも辞められない場合はどこに相談できますか?
公務員法に詳しい弁護士へのご相談が適切です。パワハラなどが背景にある場合は、各自治体・省庁の相談窓口も利用できます。
ローキで対応できないのはどんな方ですか?
公務員・自衛官のほか、業務委託・個人事業主・会社役員の方はお引き受けできません。裁判を前提とする方も、訴訟の代理は弁護士の範囲となります。
退職後に民間企業へ転職した場合は使えますか?
使えます。民間企業の労働者であれば、雇用形態にかかわらずご依頼いただけます。
まとめ
公務員の方の退職について定められている法律は一般的な民間企業と異なっており、
民法や労働法での規定ではなく「地方公務員法」「国家公務員法」「自衛隊法」などの特別な法律で規定されています。また公務員は労働組合を結成できません。
そのため、当組合を含めて労働組合による退職代行、民間企業による退職代行サービスは公務員の方の退職代行を対応範囲外としていることがほとんどです。
ただし、弁護士による退職代行を利用することは公務員の方でも可能です。労働組合や民間企業による退職代行サービスに比べると費用はかさみますが、より確実に退職手続きを進めてもらいたいという場合は弁護士による退職代行を利用されることをおすすめさせていただいております。
参考情報・出典
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。












