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有給休暇の消化について会社に交渉してもらえますか?

  • 2023.05.09
  • 2023.05.09
有給休暇の消化について会社に交渉してもらえますか?

退職豆知識

退職代行サービスを利用し有給休暇を確実に消化

知識豊富な代行業者が有給休暇の適切な交渉をサポート

労働者の権利を守りつつ、スムーズな退職手続きを実現可能

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退職代行サービスを利用して退職する際に有給休暇の消費が可能かどうか不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、退職代行サービスを利用しても有給休暇の消化は可能です。

有休休暇がある方は通常、退職をお伝えした日から消化になる事がほとんどです。

この記事では、退職代行サービスを利用する際に有給休暇の消費がどのように行われるのか、またその際の注意点について詳しく解説致します。 

 

退職代行サービスの概要


では、まず退職代行サービスについて簡単に説明をさせていただきます。

退職代行サービスとは、退職を希望する労働者が自分で会社に退職の意思を伝える代わりに、代理人として退職代行サービス業者が会社に退職の意思を伝えるサービスのことです。

退職代行サービスを利用することで、退職の意思を通知した日から最長14日以内で退職が可能です。

また、退職代行サービスを利用することで、すぐに退職できないトラブルや退職時に起こり得るトラブルを回避することができます。

また退職代行サービスには、弁護士事務所、労働組合、民間の3種類の代行サービスがあります。

弁護士事務所の代行は価格は高額ではあるが、法的なトラブルになっても対応可能であり安全です。

労働組合の代行は価格は3万円以下であり、団結権、団体交渉権が保障されているため会社との様々な交渉が可能ですが、法的なトラブルには対応できない事がデメリットと言えるでしょう。

民間の代行(弁護士監修と記載)は価格は安いが会社との交渉は一切できません。また法的なトラブルにも対応できません。

したがって民間企業による退職代行業者は有給休暇の消化についての会社との交渉を行えません。非弁行為となるためです。

退職代行業者に有給休暇についての交渉をしてもらうには弁護士か労働組合による退職代行業者を選ぶ必要があります。

ここでは、簡単に退職代行サービスについての説明をさせていただきました。

上記でも少し触れましたが、労働者は退職の意思を通知した日から最長14日以内で退職が可能となります。

では、退職とはそもそもどのようにして定められているのでしょうか。

有給休暇を消化しての退職について理解するために、まず先に下記で退職の定義について説明させていただきます。

 

退職の定義


労働基準法における退職の定義として、退職とは労働者からの申し出によって労働契約を終了するということです。

しかし、実は労働基準法に退職に関する明確な定義というものは定められておらず、あくまで労働者の自由であるとされています。

そのため、労働者の退職は就業規則以外に、民法の規定を適用します。民法627条では下記のように定められています。


(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法第627条(e-GOV 法令検索)


従業員には会社を辞める自由があり、会社側もそれを阻止することは法律的にできないからです。

退職代行サービスを使われたら、会社側は基本的にはその意思に従うしかありません。以上のことから退職までに必要な期間は2週間になっています。

これは民法第627条によって定められている期間になりますので、就業規則にあるような、退職する場合は1か月前に伝えなければならないなどのルールは気になさらなくても大丈夫です。

雇用契約書や就業規則に書いてあっても、法律が優先されます。

しかし、民法第627条で退職までに必要な期間が2週間と決まっているのは、雇用の期限を定めがない場合に限ります。

そのため、契約社員や無期雇用派遣以外の派遣の方は例外にあたるので注意する必要があります。

有期雇用契約の場合は、以下のような規定があります。


(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用元:民法第628条(e-GOV 法令検索)


有期雇用者は、原則として契約期間が終了するまでは勤務する必要があります。

ただし、病気やケガ、親の介護などの「やむを得ない事情」があれば、契約期間終了前でも退職が認められます。

上記のように期間の定めがない労働者は退職の意思を通知してから最長2週間で退職可能であり、期間の定めがある労働者に関しても病気やケガなどのやむを得ない事情があれば退職することが可能となっております。

それでは退職代行を利用して退職する際に有給休暇を消化できるのかについてですが、退職時に有給休暇を利用することは会社が拒否できない権利です。

通常時には業務に支障がある場合、会社は有給休暇の時期を変更する権利がありますが、退職時にはこの権利は行使できないと考えられています。

したがって有休がある方は通常、退職をお伝えした日から全ての有給休暇を全消化になる事がほとんどです。

では、有給休暇を消化しての退職日はどのようにして決まるのでしょうか。以下で詳しく説明させていただきます。

 

有給休暇を消化しての退職日はどのようにして決まるのか


退職代行を利用して、実質的な即日退職を実現するためには有給休暇を利用する必要があります。

退職を申し入れた時点で10日以上の有給休暇が残っていれば退職の効力が生じるまで出社しないことが可能です。

有給休暇はあくまでも労働義務のある日に消化となり公休日には消化できません。
例えば、土日が休みの会社であれば、10日間の有給休暇が残っていれば月曜日~金曜日と次の月曜日~金曜日を有給休暇消化で休めるのでまとめて使うと最長14日間休むことが可能になります。

丁度この14日間は退職するまでの2週間の期間となります。

この期間をそのまま使うことにより、退職することが可能となるため有給休暇が10日以上あれば問題なく会社に出社することなく有給休暇を消化したうえで、会社を辞めることが出来るということになるのです。

ただし、入社後すぐで有給がない場合や有給休暇が十分に残っていない場合はこの方法は使えません。

しかし、そのような場合でも当組合が職場に連絡した日から本人様は会社に出社することはありません。

退職日に関してはまず本人様が指定された日に当組合が職場に退職をお伝えして有給がなければその日の即日退職を、十分ではないが有給が残っている場合は有給を全て消化した日の即日退職を求めます。

仮にその承諾が職場に得られない場合には当組合が職場に退職をお伝えした日から有給をすべて消化したその日が即日退職日、もしくは最長14日以内のいずれかの日が退職日となり本人様にはその間は体調不良などにより欠勤していただきます。

法律上は14日間は会社に拘束力が一応ありますが退職希望者に日当を付与してまで退職日まで出社させる会社はまずありませんので、出勤不要で即日退職もしくは全有給消化後の即日退職となることがほとんどです。

よって退職日は上記の通り会社との交渉になるため現時点で退職日の確定をさせる事はできませんが、どちらにせよ当組合が職場に退職をお伝えした日から会社に行く事や直接会社とお話をする事は一切ございません。


参考:年次有給休暇とは

参考:年次有給休暇付与日数


上記のように10日以上の有給休暇がある場合は、退職代行により会社へ退職の意思を伝えた日から有給休暇を全て消化したその日の退職になることがほとんどです。

また有給休暇が全くない場合は退職代行により会社へ退職の意思を伝えた日の即日退職、十分ではないが有給が残っている場合は有給を全て消化した日の即日退職となることがほとんどであり、仮に会社の承諾が得られない場合は最長14日以内のいずれかの日が退職日になります。

しかし、わざわざ退職希望者に日当を付与してまで退職日まで出社させる会社はまず考えられませんので、出勤不要で即日退職もしくは全有給消化後の即日退職となるという流れにほとんどなるのです。

それでは退職代行を利用しないことによって有給休暇が消化できないなどのリスクはないのでしょうか。不安に思われている方もいらっしゃるかもしれません。

以下では、退職代行を利用しないことによるリスクについて説明させていただきます。

 

退職代行を利用しないと有給休暇を消化できない可能性がある


退職代行サポートを利用しなくても有給休暇取得を利用して退職をすることはできますが、実質的な即日退職は非常に難しいと思われます。

というのも、会社は本来は有給休暇取得を拒否できないはずですが、自分で申し出ると有休取得を拒否されることもございます。

高圧的な態度で退職時に有給は取得することはできないと言われればどう対応すればよいのか分からないこともあるかと思います。

自分で退職を申し出た場合、退職が無事2週間後に認められても有給休暇取得や欠勤ができないとその間出社をすることになってしまいます。

休めないといわれて連絡をせずに休むと無断欠勤となり、懲戒解雇などのトラブルにつながるおそれがありますのでやめましょう。

ご本人が会社と直接連絡をとって退職の意思を伝えることで激しい説得や引き止めにあうおそれがあります。

特に人手不足の会社ですと上司以外にも同僚などからも引き止められる可能性が考えられます。

さらに会社から直接説得の電話がかかってくる、家まで引き止めをするために上司が訪問してくる、家族にまで連絡がいくなどの行為があれば退職が難しくなります。

そこで当組合による退職代行サービスを利用していただくことで当組合が代理人となり、本人様とその家族への連絡は直接の連絡はしないように会社にはきつく電話と書面でお伝え致します。

ですがごく稀に連絡をしてくる場合がございます。その時は着信拒否していただいた上で当組合までご連絡お願いします。

会社に厳重注意させていただきます。

仮に家に突然来た場合には警察を呼んで頂いて構いません。その後、当組合にご連絡頂きましたら私たちが警察へ事情を説明する事も可能です。

そして会社に厳重注意致します。

また2週間後に退職をしたい、その間は有給休暇・欠勤をすると直接伝えるとお互い感情的になってもめてしまうおそれもあります。
2週間後に退職をするのは、非常識という価値観の方もいらっしゃいます。

退職者本人様と人事担当者の間に退職代行サポートである第3者を挟むことにより、お互いが感情的にならずに冷静な対応が可能です。

退職代行サービスを利用すると、退職に関する交渉の一環として、有給休暇の消化についても代行業者が対応してくれることがあります。

労働基準法では、退職時に有給休暇の消化が可能であり、会社は従業員が希望する有給日数を拒否することはできません。代行業者は労働者の権利を保護し、有給休暇の消費を可能な限り確保するように働きかけます。

上記のように退職代行を利用しないことにより有給休暇の取得を拒否されるなどのおそれもありますが、退職代行を利用することにより会社との有給休暇消化についての交渉もスムーズに進めていくことが可能となります。

それでは以下では退職時に有給休暇を消化する際の、退職代行を利用することによるメリットについて説明させていただきます。

 

退職代行サービスを活用した有給休暇の消化

 
退職代行サービスを利用することで、退職前に有給休暇の消化に関する交渉を代行業者が行ってくれます。

これにより、労働者は自分で会社と直接交渉することなく、適切な有給休暇の消化が可能となります。

代行業者は労働法や労働者の権利に関する知識を持っているため、適切な消化方法や有給休暇に関する規定を把握して交渉に臨むことができます。
また、代行業者が交渉することで、労働者は退職に関するストレスを軽減し、円滑な退職手続きが期待できます。 

ただし、退職代行を利用しても有給休暇を消化できないトラブルが発生する可能性もゼロではないので、以下のポイントには注意しましょう。

 

退職代行サービスを利用して有給休暇を消化する際の注意点


以下のような場合は退職代行業者を利用しても、有給消化が出来ない可能性があるので退職代行業者を選ぶ際には注意しましょう。
 

有給取得の条件を満たしていない

退職代行サービスの利用に関係なく、そもそも有給の取得条件を満たしていない場合は有給消化できません。

有給の具体的な取得条件として、会社に雇用された日から起算して6か月以上継続して勤務しているということと、所定労働日数の8割以上出勤しているということが必要条件になります。

したがって、従業員が働いた期間が6か月未満の場合や出勤率が8割に満たない場合は有給消化が認められないでしょう。
 

会社に有給取得を拒否される

退職代行を利用して突然会社を辞めると、勤め先がブラック企業などの場合には不当な理由で拒否される可能性があります。

実績・経験や知識のある退職代行サービスであれば、会社に退職を通知後もサポートを受けられるため有給取得の交渉が可能です。

ただ、悪徳業者に依頼してしまうと、会社に退職の意思を通知後のアフターケアがされない場合があり、結果的に有給消化の交渉ができずに泣き寝入りせざるを得ない可能性があるので注意しましょう。
 

退職代行業者の非弁行為により交渉自体が無効である

退職代行サービスによっては会社と有給消化に関する交渉を行うことが出来ずに、非弁行為として無効となる可能性があります。

非弁行為とは弁護士資格のない者が、報酬の対価として法的手続きを行う違法行為です。

民間企業による退職代行では、会社との交渉は非弁行為となるため行うことが出来ません。民間企業による退職代行業者が有給休暇の消化の交渉を行うことにより、それ自体が無効となる可能性がありますので注意しましょう。

退職代行業者は、「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3種類に分類されます。

3種類の退職代行サービスのうち、依頼者の代理人として退職に関する会社との交渉ができる退職代行業者は弁護士と労働組合です。

会社から反論されて協議や交渉を求められた場合に弁護士か労働組合による代行業者でなければ、交渉によって話をまとめることができません。

もし交渉するようなことがあれば、退職代行業者の非弁行為になり違法です。
会社に退職代行業者が違法行為を行っていると認識されると、余計な争いごとの火種にもなり得ます。

したがって適切な退職代行業者を選ぶことが重要です。

また当組合では、有給休暇の消化の交渉は対応可能ですが、有給休暇の買取り交渉は対応しておりません。

ここでは選ぶ退職代行業者によって有給休暇の消化が出来ないおそれがあるリスクについて説明いたしました。

それでは、最後に有給休暇の付与日数や消化の義務についてなどの有給休暇についての基礎的な知識について詳しく説明いたします。それではみていきましょう。

 

有給休暇についての基礎知識


有給休暇は正社員、アルバイト・パートタイムなどの雇用形態にかかわらず法令上の要件を満たせば付与されます。

働き始めて半年で法律上発生するのが原則です。(その間に出勤予定日の8割以上出勤していることが条件です)

そのため、あなたが出勤予定日の2割以上休んでいるということがなければ、有給休暇が法律上発生します。

6ヶ月後に10日、1年6ヶ月後に11日、2年6ヶ月に12日、3年6カ月に14日、というように有給休暇が与えられます。有給休暇は2年間有効です。

既に使用されている分に関しては消化は不可ですが残っている有給については法的に消化できない根拠がない限り会社は拒否する事はできません。


参考:年次有給休暇付与日数


また2019年4月1日から「働き方改革関連法案」により、年10日以上の有給休暇保有者は有給が付与されて1年以内に5日の有給を消化しなければなりません。

フルタイムで働く労働者が対象で、正社員やパートに関係なく80%以上の出勤実績がある場合に適用されます。

また、週に4日勤務している人は3年6ヶ月以上継続して勤務し80%以上の出勤実績がある場合に、週に3日勤務している場合は5年6ヶ月以上継続して勤務し80%以上の出勤実績がある場合に適用されます。
しかし、週に2日勤務している場合は6年6ヶ月以上勤務しても有給日の最大日数が7日となるため有給取得の義務化の対象となりません。


上記の対象者は以下の通りで、一定の対象者が有給休暇の消化を義務付けられています。 
 
所定労働日数:週5日または週30時間以上/勤続年数:6ヶ月以上 
所定労働日数:週4日/勤続年数:3年半以上 
所定労働日数:週3日/勤続年数:5年半以上

このように対象者に関して義務付けられた有給休暇の消化数がクリアできなければ、会社に対して以下のように罰金が発生します。

 

労働基準法違反による罰金

 
労働基準法で定められた有給休暇の消化数をクリアできなければ、企業に対して対象となる従業員1人あたりにつき30万円以下の罰金が科されます。

つまり有給休暇が取得できていない従業員の人数×30万円の罰金となります。

退職代行サービスを利用しない場合にもこういった情報を知っておくことにより、有給休暇の取得を交渉する際に優位に進めることが出来るかもしれません。
 

まとめ


退職代行サービスを利用することで、労働者は有給休暇の消化に関する交渉を代行業者に任せることができます。

その結果、適切な有給休暇の消化が可能となり、労働者の権利が保護されます。  

ただし、退職代行サービスを利用する際は、会社と交渉できる業者(弁護士、労働組合)を選ぶことが重要です。

業者選びには十分注意し、実績を確認してから依頼されることが望ましいです。 

退職代行サービスを利用することで、労働者は有給休暇の消化に関する悩みや不安を軽減でき、円滑な退職を実現できます。

ただし価格だけで選ぶのではなく、自分の状況に合った代行業者を選択することが大切です。

民間企業による退職代行業者は会社との交渉が非弁行為にあたるため有給休暇の消化が無効になるおそれもございます。

適切な退職代行業者を選ぶことによってトラブルを回避して、会社との交渉により有給休暇を消化した上で退職することが可能となります。
 
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退職代行コラム編集者

コラム編集者

労働基準調査組合執行委員長
徳野 雄一

私自身、離職率が非常に高い同族経営の会社に11年勤務し役職者でした。
私の目の届かないところで普段から自身の部下に経営陣からハラスメントが横行しており、育ては部下が退職する繰り返しの会社でした。

入社して11年目に私宛の部下の辞表に経営陣からの酷いパワハラとも取れる内容が赤裸々に綴られており、今までその事に気づかなかった自分に腹が立ちそして、会社の将来を見据え、その事を経営陣に指摘した途端に私は懲戒解雇を言い渡されました。
その後、懲戒解雇の事を調べ上げ簡単には認められない事を知り、会社側に撤回させ自主退職し今に至ります。

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