- 労基署の不支給決定は終わりではない。審査請求→再審査請求→取消訴訟の3段階で争える
- 残業73時間でも、暴行・16日連続勤務との総合評価で「業務が原因」と裁判所が認めた
- 覆した決め手は本人が残した暴行の画像と勤怠の記録。記録は在職中の今しか残せない

労基署に労災を認めてもらえなかった。もう打つ手はない?



残業80時間に届いていないと、労災は無理なの?
労働基準監督署からの封筒を開けて、「不支給」の3文字が目に入った瞬間に息が浅くなる。国が業務との関係を認めなかったのだから、もう自分たちの訴えは通らないのではないか。そう思って諦めてしまう遺族や本人は少なくありません。
2026年9月16日の報道によると、名古屋市のポーカー店で店長を務めていた男性(当時25)が2020年11月に亡くなったことをめぐり、遺族補償給付を不支給とした名古屋東労働基準監督署の処分の取り消しを遺族が求めた訴訟で、名古屋地方裁判所は、月73時間超の残業と16日連続勤務、上司からの暴行による強い心理的負荷で適応障害を発病し自殺に至ったと認め、不支給処分を取り消しました。労災請求から5年5か月、不支給決定から4年11か月を経ての逆転です。この記事では、労基署に労災を認めてもらえなかったときにどう争えるのか、今回の判決は何を認めたのか、そして「認められなかった」を覆すために何が効いたのかを、労働組合の立場から解説します。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。判決に対して国側が控訴するかどうかは報道されておらず、確定したかは確認できていません。続報があり次第、本記事を更新します。
何が起きた?労災不支給から4年11か月、名古屋地裁が「過労と暴行による適応障害が原因」と認定
結論から言うと、労基署が「業務が原因とは言えない」とした判断を、裁判所が証拠にもとづいて覆した事案です。東海テレビ、朝日新聞、中日新聞、共同通信の報道をまとめると、経過は次のとおりです。
| 時期 | 報道された経過 |
|---|---|
| 2019年10月〜 | 男性が名古屋市千種区のポーカー店(現在は閉業)の店長として勤務 |
| 2020年10月 | 9月末から16日連続勤務。10月の時間外労働は73時間超。同月、運営会社の代表から1分弱で7回以上蹴られたり叩かれたりする暴行を受ける。適応障害を発病 |
| 2020年11月 | 男性が亡くなる。スマートフォンには暴行の様子を写した画像や動画が残されていた |
| 2021年10月 | 4月に遺族が名古屋東労基署に遺族補償給付を請求。10月に不支給決定 |
| 2024年3月 | 遺族が国を相手に不支給処分の取消訴訟を提起 |
| 2026年3月 | 別の訴訟で名古屋地裁が3月18日、運営会社と代表に約1億160万円の損害賠償を命令(会社側が控訴し名古屋高裁で審理中) |
| 2026年9月 | 名古屋地裁が9月16日、不支給処分を取り消す判決。労基署は「関係機関と協議し対応を判断したい」 |
出典:朝日新聞(Yahoo!ニュース・2026年9月16日)、東京新聞(共同通信・2026年9月16日)、中日新聞(2026年9月16日)の報道をもとに作成。
判決は「長時間労働や暴行による強い心理的負荷によって適応障害を発病し、自殺に至った」と結論づけ、「判断能力が著しく阻害され、自死に至ったとみるのが相当」として、不支給処分を違法と判断したと報じられています。判決後に会見した母親は「大切な息子が亡くなって約6年。労災と認められず、苦しい時間だった」「息子は社長から暴行された画像を残していた。労基署は生きている人の証言を信じて認めなかった」と話し、「会社や国は安全な労働環境を整備してほしい」と訴えたとされています。
なお、遺族は運営会社と代表を相手にした損害賠償訴訟も起こしており、名古屋地裁は2026年3月に約1億160万円の支払いを命じています。会社側は「長時間の残業はなく、暴行も傷害を負わせるものではない」と因果関係を争い、控訴しています。労災の認定と会社への賠償請求は別の手続きで、今回の判決は前者、国の判断を覆したものです。



労基署の「不支給」は最終回答ではありません。国の判断を裁判所が覆すことは、実際に起きています。
残業73時間で労災が認められた理由。「過労死ライン未満」でも総合評価で「強」になる
答えは「残業時間は一つの要素にすぎず、暴行や連続勤務と合わせた総合評価で心理的負荷が『強』と判断されたから」です。月73時間の残業は、脳・心臓疾患でいう「過労死ライン」の月80時間にも、精神障害の認定基準で長時間労働だけで「強」とされる水準(発病直前の2か月連続で月120時間以上、3か月連続で月100時間以上など)にも届いていません。数字だけを見て「うちは労災にならない」と諦める人が多いのは、この点です。
精神障害の労災は「出来事」を積み上げて評価する
精神障害の労災認定基準は、発病前おおむね6か月の間に業務でどんな出来事があったかを一つずつ拾い、それぞれの心理的負荷を「弱」「中」「強」で評価し、複数あれば全体として評価します。上司からの暴行は、それ自体が「強」と評価されうる出来事です。恒常的な長時間労働は、他の出来事の評価を引き上げる要素になります。今回は、暴行と16日連続勤務、73時間の残業が同じ月に重なっており、裁判所はこれらを総合して強い心理的負荷があったと認めました。
| 今回の事案の出来事 | 認定基準での位置づけ |
|---|---|
| 代表から1分弱で7回以上蹴られる・叩かれる | 上司等からの身体的攻撃(パワーハラスメント)。それ自体で「強」となりうる |
| 16日連続勤務 | 2週間以上の連続勤務は独立した出来事として評価される |
| 月73時間超の時間外労働 | 単独では「強」に届かないが、他の出来事と重なると評価を引き上げる |
| 発病後に自殺 | 業務による精神障害で正常な判断ができない状態での自殺は、原則として業務上と扱う |
出典:厚生労働省「業務上疾病の認定等(心理的負荷による精神障害の認定基準)」を参考に、報道された事実を当てはめて作成。
「自殺は本人の意思」という扱いにはならない
労災保険には、本人が故意に事故を起こした場合は給付しないという原則があります。しかし、業務が原因で精神障害を発病し、正常な認識や判断ができない状態で自殺した場合は、故意には当たらないと扱われます。今回の判決が「判断能力が著しく阻害され、自死に至ったとみるのが相当」と述べたのは、まさにこの点です。「自分で選んだことだから労災ではない」という考え方は、認定基準の上では否定されています。



「残業80時間に届いていないから無理」ではありません。暴行や連続勤務が重なれば、数字は超えていなくても認められます。
労基署に不支給とされたらどうする?審査請求・再審査請求・取消訴訟の3段階
結論は「不支給の通知を受け取った日の翌日から3か月以内に審査請求をすれば、争いは続けられる」です。労災の不支給に対しては、行政の中で2回、裁判所で1回、合計3段階の争い方が用意されています。今回の遺族は2021年10月の不支給決定から、審査を経て2024年3月に提訴し、2026年9月に判決を得ました。
| 段階 | 申し立て先と期限 | 特徴 |
|---|---|---|
| ①審査請求 | 都道府県労働局の労災保険審査官。決定通知の翌日から3か月以内 | 文書か口頭で請求できる。費用はかからない。労基署経由でも出せる |
| ②再審査請求 | 労働保険審査会(厚生労働省)。審査官の決定書が届いた翌日から2か月以内 | 文書で行う(口頭は不可)。審査請求から3か月たっても決定が出なければ、決定を待たずに請求できる |
| ③取消訴訟 | 地方裁判所。審査官の決定を知った日から6か月以内 | 審査官の決定を経れば、再審査請求をせずに提訴できる。裁判所が証拠を独自に評価する |
出典:福島労働局「労災保険給付決定に不服がある場合」、法テラス「労災認定の結果に対する不服は、どこに申し立てればよいのですか」をもとに作成。
覆すために効いたのは「本人が残した記録」
労基署の調査は、会社や同僚への聞き取りに大きく依存します。会社が「暴行はなかった」「残業は少なかった」と説明し、在職中の同僚がそれに沿った証言をすれば、亡くなった本人の側の事実は残りにくくなります。今回、母親は「息子は社長から暴行された画像を残していた」と語っています。本人のスマートフォンに残っていた暴行の画像や動画、勤怠の記録が、会社側の説明と食い違う客観的な証拠として裁判所に評価されたと考えられます。争いを続けるには、この種の記録が要ります。
- 労働時間の客観記録(タイムカード・入退室・PCログ・LINEの送受信時刻・店の売上締め時刻)
- 暴行や暴言の記録(画像・動画・録音・その日のメモ・受診記録と診断書)
- 労基署が集めた資料の開示請求(不支給の理由と、どの証言に依拠したかを確認する)



不支給の封筒が届いた日から3か月。この期限だけは、悲しみの中でも過ぎさせないでください。
「認められない」は「業務が原因ではない」と同じではない。精神障害の労災は請求の約2割しか認定されない
結論は「精神障害の労災は、請求しても8割近くが認められておらず、不支給は珍しいことではない」です。厚生労働省が2026年7月に公表した令和7年度の集計では、精神障害の労災請求は4,958件、支給決定は1,082件でした。自殺(未遂を含む)に限ると、請求215件に対して支給決定は76件です。出来事別では、上司等からのパワーハラスメントが222件で最多でした。
- 請求4,958件(前年度比1,178件増)、支給決定1,082件(同26件増)
- 自殺(未遂含む)は請求215件、支給決定76件
- 出来事別の最多は上司等からのパワーハラスメント222件
認定率が低い理由は、業務が原因ではないからではなく、業務が原因だと証明する材料が本人や遺族の側に残っていないことが多いからです。労基署の調査で会社側の説明が通れば、そのまま不支給になります。今回の判決は、その構造を証拠の力で覆した例です。同時に、亡くなってから覆すまでに6年近くかかった事実は、生きているうちに記録を残し、限界の前に離れることの重さを示しています。
不支給の通知は「業務が原因ではない」という証明ではありません。「今ある材料では認められなかった」という意味であり、材料を足せば結論は変わりえます。



4,958件の請求のうち認められたのは1,082件。認められなかった人の多くは、材料が足りなかっただけです。
労働組合の現場から。店長・少人数店舗で限界が見えにくい人が、今日できること
私たちの相談窓口で、飲食店や小売店、娯楽施設の店長からの相談に共通するのは、「自分が休んだら店が回らない」「社長と店に自分しかいない」という状況です。店長という肩書きがつくと、残業も休日出勤も「自分の裁量」として処理され、会社も本人も労働時間を数えなくなります。上司が社長本人であれば、暴行や暴言を訴える先は社内にありません。今回の事案で16日連続勤務が発生したのも、代表から店長への暴行が起きたのも、この構造の中です。
記録は「労災のため」ではなく「自分が今どこにいるか」を知るために残す
出勤と退勤の時刻、休みなく働いた日数、暴言や暴行があった日時と内容を、その日のうちにスマートフォンに残してください。店の締め作業の時刻や売上報告のLINEは、そのまま労働時間の証拠になります。記録を1週間分並べると、自分が月に何時間働き、何日連続で出ているかが客観的に見えます。「まだ大丈夫」と思っている人ほど、数字を見て初めて限界に気づきます。証拠の残し方の詳細はパワハラの証拠の集め方のポイントを詳しく解説に、残業の法律上の上限は『【完全解説】労働時間・残業の法律知識 〜残業から身を守るために知っておくべきこと〜』にまとめています。
眠れない・食べられないが2週間続いたら受診。診断書は労災にも退職にも使える
眠れない、食欲がない、朝に体が動かない、理由なく涙が出る。こうした状態が2週間以上続いたら、店のことより先に心療内科か精神科を受診してください。発病の時期と業務との関係を後から証明するうえで、受診の記録は最も客観的な材料です。診断書は、休職にも、退職の理由を示すにも、労災の請求にも使えます。労災の請求は会社の承認がなくても本人や遺族が労基署に直接できます。手順は看護師のうつ・適応障害は労災になる?「上司とのトラブル」の落とし穴で解説しています。
限界の前に、社長と話さずに離れる
「自分が抜けたら店が潰れる」と感じている人ほど、辞めると言い出せません。労働組合が運営する退職代行を使えば、組合が会社に退職を通知した日から、本人が出社することも、社長と直接話すこともありません。退職代行ローキでは、退職の通知と同時に、有給休暇の消化や退職日、離職票などの書類の発行を組合が会社と交渉します。タイムカードのコピーなど証拠がそろっていてご本人が金額を計算できる場合は、未払い残業代の請求も退職連絡の際に追加料金なしで行います。退職後に傷病手当金の受給を考える方には傷病手当サポートもあります。
※ローキが扱うのは退職に関する交渉です。労災の請求や審査請求、取消訴訟、会社への損害賠償請求の代理は行っておらず、労災事件を扱う弁護士が適しています。ただし、退職したことを理由に会社から損害賠償請求や懲戒解雇処分を受けた場合は、追加料金なしで顧問弁護士が撤回交渉を行います。故意による損害や横領など、退職とは無関係な請求は対象外です。
- 「店長だから残業は自己責任」と思い込み、労働時間を数えるのをやめる
- 殴られた・蹴られたのに「自分が悪かった」と受診も記録もしない
- 不支給の通知を受け取ったまま、3か月の期限を確認せずに諦める
うつ状態で辞めるべきか迷っているときの判断基準と、退職後に使えるお金の制度はうつで仕事を辞めたいのは甘え?辞める前の判断基準とお金の制度・会社と話さず辞める方法で解説しています。



店は代わりが見つかります。あなたの代わりは見つかりません。順番を間違えないでください。
よくある質問(FAQ)
労基署から労災の不支給決定が届きました。いつまでに何をすればいいですか?
決定の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、都道府県労働局の労災保険審査官に審査請求をします。費用はかからず、文書でも口頭でも請求できます。それでも認められなければ2か月以内に労働保険審査会へ再審査請求をするか、審査官の決定を知った日から6か月以内に裁判所へ取消訴訟を起こせます。
残業が月80時間に届いていません。それでも精神障害の労災は認められますか?
認められる可能性があります。精神障害の認定は残業時間だけで決まらず、暴行やパワハラ、連続勤務などの出来事を合わせて総合的に評価します。今回の判決では、月73時間の残業と16日連続勤務、上司からの暴行が重なったことで強い心理的負荷があったと認められました。
自殺は本人の意思だから労災にならないと言われました。本当ですか?
本当ではありません。業務が原因で精神障害を発病し、正常な認識や判断ができない状態で自殺した場合は、労災保険でいう「故意」には当たらず、業務上の死亡として遺族補償給付の対象になります。今回の判決も「判断能力が著しく阻害され、自死に至ったとみるのが相当」と述べています。
労災の不支給を争うのと、会社に損害賠償を請求するのは同じ手続きですか?
別の手続きです。労災は国(労基署)に対する請求で、不支給なら審査請求や取消訴訟で国の判断を争います。会社への損害賠償は、安全配慮義務違反や不法行為を理由に会社や加害者本人を相手に請求するものです。今回の遺族は両方を起こし、損害賠償訴訟では2026年3月に約1億160万円の支払いが命じられています(会社側が控訴中)。
店長で残業が多く、社長から暴力も受けています。辞めたいのですが店が回りません。
店を回すのは会社の責任で、あなたの健康を犠牲にして回すものではありません。まず暴力の日時と内容、労働時間をその日のうちに記録し、体調に変化があれば受診してください。辞める意思は労働組合の退職代行を通じて伝えれば、社長と直接話す必要はなく、通知した日から出社せずに済みます。
まとめ|「不支給」で止まらない。ただし、記録は生きているうちにしか残せない
- 名古屋地裁は月73時間残業・16日連続勤務・代表の暴行による適応障害が自殺の原因と認め、労災不支給を取り消した
- 不支給は審査請求(3か月以内)→再審査請求(2か月以内)→取消訴訟(6か月以内)で争える
- 精神障害の労災は請求4,958件に対し認定1,082件。認められないのは材料不足のことが多い
- 覆した決め手は本人が残した暴行の画像と勤怠記録。記録を残し、限界の前に離れる
「労基署が認めなかった」という事実は重く、多くの人がそこで立ち止まります。しかし今回の判決は、国の判断であっても証拠にもとづいて覆せることを示しました。残業の数字が基準に届いていなくても、暴行や連続勤務との総合評価で認められることも示しました。不支給の封筒を受け取った人に伝えたいのは、期限は3か月、争う手段は3段階あるということです。
そして、いま渦中にいる人に伝えたいのは、覆すまでに6年近くかかったという事実のほうです。判断の軸は「証明できるか」より前に「今の自分が持つか」です。記録を残し、体が出しているサインに従い、社長や店と直接向き合わずに離れる。その順番で自分を守ってください。争うための証拠は、離れた後からでも整理できます。
店長として抜けられずに限界が近い、社長に辞めると言えない、辞めた後の残業代や有給が心配という方は、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。組合が会社に通知した日から、あなたが出社することも、社長と話すこともありません。相談は無料で、LINEなら24時間受け付けています。



争う権利は残ります。でも、あなた自身は今しか守れません。先に離れて、それから整えましょう。
「店長でも辞められる?」「残業と暴力、どう記録すればいい?」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。
参考情報・出典
・朝日新聞「長時間労働、上司からの暴行 男性店長自殺、遺族補償認める 名古屋」(Yahoo!ニュース・2026年9月16日)
・東海テレビ「認めなかった労基署の決定は取り消しに…ポーカー店店長の過労による自殺は『労災』国に給付金の支払い命じる判決」(Yahoo!ニュース・2026年9月16日)
・東京新聞(共同通信)「店長自死は過労と暴行原因 遺族が勝訴、名古屋地裁」(2026年9月16日)
・中日新聞「ポーカー店元店長の自殺で労基署の処分取り消し 名古屋地裁、暴行や連続勤務との関連認める」(2026年9月16日)
・時事通信「店長自殺、過労と暴行が原因 運営側に1億円賠償命じる 名古屋地裁」(2026年3月18日)
・厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」(2026年7月15日)
・厚生労働省「業務上疾病の認定等(心理的負荷による精神障害の認定基準)」
・福島労働局「労災保険給付決定に不服がある場合」
・厚生労働省「労働保険審査会」
・法テラス「労災認定の結果に対する不服は、どこに申し立てればよいのですか」
・e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
・e-Gov法令検索「労働保険審査官及び労働保険審査会法」
・e-Gov法令検索「行政事件訴訟法」(14条)
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。









