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タクシー・バスのカスハラ客は乗車拒否できる?会社に義務づけられた内容とは

2026 11/01
ニュース
2026年11月1日
夜の路肩にタクシーを止め、落ち着いた表情で営業所に電話で報告する制服姿の運転手
谷本 祥子

この記事の著者

谷本 祥子

労働基準調査組合の執行委員長。
自身の現場経験をもとに、退職や労働問題に悩む方へ寄り添った支援を行う。

LinkedIn(谷本祥子)

💡 サクッと結論
  • カスハラをやめない乗客は、乗車拒否や途中降車の対象に。12月施行予定
  • 乗務員をカスハラから守る措置は、10月から会社の義務
  • 守ってくれない職場を離れるなら労組運営の退職代行ローキも選択肢

暴言を吐く客に「降りてください」って言っていいの?

会社が何もしてくれないなら、辞めるしかない?

後部座席からの怒鳴り声を聞きながら、ハンドルを握る手に力が入る。タクシーやバスの運転席は、乗客と同じ空間から逃げられない職場です。

国土交通省は、乗客が乗務員への暴言などのカスタマーハラスメント(カスハラ)をやめない場合に、事業者が乗車を断ったり、途中で降りてもらったりできることを、タクシーとバスの「標準運送約款」に明記する方針です。12月1日の施行が予定されています。この記事では、約款の改正で何が変わるのか、運転手がその場で乗車拒否を判断してよいのか、10月1日から会社に義務付けられた対策の中身、そして会社が守ってくれないときの相談先と辞め方を、乗務員の立場から解説します。

※この記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。

目次

何が起きた?カスハラをやめない乗客は「乗車拒否」できるように

結論から言うと、タクシー・路線バス・貸切バスの3つの標準運送約款に、乗客がカスハラを控えること、乗務員がカスハラの中止を求められること、乗客が応じなければ運送を断れることを書き加える改正です。国土交通省は10月5日から改正案への意見を募集しており、公布と施行はどちらも12月1日の予定です。

時期動き
2026年
10月1日
改正労働施策総合推進法が施行され、すべての事業主にカスハラ対策が義務付けられる
10月5日国土交通省が、タクシーとバスの標準運送約款の改正案について意見募集を始める(11月3日まで)
10月15日共同通信が、カスハラ客の乗車拒否を約款に明記する方針を報じる
12月1日改正後の標準運送約款の公布・施行の予定日

出典:国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款等の一部を改正する告示案について」、同「意見募集について」、共同通信(2026年10月15日)、TBS NEWS DIG(2026年10月16日)をもとに作成。

報道によると、今月公表された厚生労働省の過労死等防止対策白書では、2025年11月から2026年1月までの3か月の間に、バスやタクシーの運転手のおよそ4割がカスハラを経験したとされ、パワハラやセクハラより高い割合でした。

約款に加わる3つの内容

国土交通省の改正案の概要では、新しく設ける規定として、次の3点が挙げられています。1つ目は、乗客が乗務員などへのカスハラを差し控えること。2つ目は、乗務員などがカスハラの中止を求められること。3つ目は、乗客がその求めに応じない場合に、事業者が運送の引受けや継続を拒絶できることです。どんな行為を具体例として示すかは、まだ検討中だと報じられています。

この形は、いまの約款にある禁煙車両の決まりとよく似ています。現行のタクシーの標準運送約款では、禁煙車両で乗客がたばこを吸おうとしたとき、乗務員は喫煙をやめるよう求めることができ、応じなければ運送の引受けや継続を拒絶することがあると定めています。カスハラにも同じ「まず中止を求め、応じなければ断る」という順序が入るとみられます。

なぜ約款を変える必要があるのか

タクシーや路線バスの会社は、法律で「運送引受義務」を負っています。道路運送法13条は、認可を受けた運送約款によらない申込みや、法令や公序良俗に反する運送など、決められた場合を除いて、運送の引受けを拒絶してはならないとしています。現行の約款も、泥酔して行き先を告げられない乗客や、刃物などを持ち込む乗客などを拒絶の対象として挙げていますが、カスハラという言葉は入っていませんでした。

国土交通省は、カスハラが容認されないことを利用者に明確にするために改正すると説明しています。標準運送約款は国が定めるひな形で、会社がこれと同じ約款を使えば、国の認可を受けたものとみなされます(道路運送法11条3項)。報道によると、国土交通省には、すでに多くのタクシー会社やバス会社から、カスハラに関する条項を入れたいという申請があったとされています。

※改正案の内容は国土交通省の告示案の概要、現行の約款は一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款、運送引受義務は道路運送法13条で確認できます。意見募集は11月3日までです。

谷本 祥子

「お客様だから我慢する」から、「やめないなら乗せない」へ。約款に書かれることで、現場の判断に裏付けができます。

カスハラ客は本当に乗車拒否できる?乗務員が知っておきたい法的な整理

乗車を断れるのは「事業者」、つまり会社です。乗務員にできるのは、まずカスハラをやめるよう求めることです。実際にどの場面で降りてもらうかは、会社が定めるルールに沿って決まります。だからこそ、乗務員一人に判断を背負わせない仕組みを会社が用意しているかが問われます。

どこからがカスハラ?正当な苦情との線引き

法律上のカスハラは、顧客などの言動のうち、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、働く人の就業環境を害するものです。厚生労働省の指針は、苦情のすべてがカスハラになるわけではなく、社会通念上許容される範囲の申入れは正当なものだと説明しています。

判断では、要求の内容が契約の内容からみて相当か、そして要求の手段や態様が相当かを見ます。どちらか一方だけが範囲を超えていても、カスハラにあたりうるとされています。たとえば、遠回りされたと感じて運賃について説明を求めるのは正当な苦情です。一方で、同じ話題でも、怒鳴り続ける、運賃の支払いを拒む、降りずに居座るといった手段になれば、範囲を超えていきます。

下の表の「カスハラ」は、カスハラにあたりうるという意味です。

乗客の言動判断の目安
経路や運賃について、落ち着いて説明を求める正当な苦情
「バカ」「降りろ」などの暴言を繰り返すカスハラ
降車を拒んで車内に長時間居座るカスハラ
車内で撮影し「SNSにさらす」と脅すカスハラ
殴る・蹴る・物を投げる犯罪の疑い
警察へ通報

兵庫県尼崎市では10月16日、停車中のタクシーにおよそ50分間居座り、「家まで運ばなかったら訴える」などと言って運転手の業務を妨げたとして、56歳の男が威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕されたと報じられています。運転手が乗車を断ったにもかかわらず、車内に居座ったとされています。居座りや脅しは、カスハラにとどまらず犯罪の疑いが持たれることもあります。

10月から会社に義務付けられた対策

2026年10月1日から、すべての事業主に、カスハラから働く人を守るための措置が義務付けられています(労働施策総合推進法33条1項)。指針は、会社が方針を決めて周知すること、相談窓口を設けること、起きたときに事実を確かめて被害者に配慮すること、特に悪質なケースへの対処方針を決めておくことなどを求めています。

現場の対処の例として、指針は、働く人がすぐに管理監督者に報告して指示を仰ぐこと、できる限り一人で対応させないこと、やり取りを録音・録画すること、暴行や脅迫などの犯罪にあたりうる言動は警察へ通報することなどを挙げています。悪質なケースへの対処としては、法令の範囲内でサービスを提供しないことも例に入っています。

ただし指針は、業法などでサービスを提供する義務が定められている場合があることにも注意するよう求めています。タクシーやバスには運送引受義務があるため、会社が「乗せない」という方針を立てるには約款の裏付けが必要でした。今回の約款改正は、その裏付けを整えるものだといえます。

約款が変わっても、その場で一人で判断する必要はありません。営業所や運行管理者に連絡し、会社の指示で対応するのが基本です。

会社には乗務員の安全を守る義務もある

会社は、働く人が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう配慮する義務を負っています(労働契約法5条)。暴力をふるう乗客がいると分かっていながら、乗務員に「何とかしろ」と任せきりにすることは、この義務との関係でも問題になりえます。また、乗客からの著しい迷惑行為は、2023年9月に改正された精神障害の労災認定基準に、心理的負荷を評価する出来事として加わっています。カスハラで心身を壊したときの労災の考え方は『パワハラで適応障害は労災になる?「一生恨む」メッセージが労災認定』も参考になります。

※カスハラ対策の措置義務は労働施策総合推進法33条、指針は厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」、安全配慮義務は労働契約法5条、労災の認定基準は厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」で確認できます。会社の義務の全体像は『カスハラ対策の義務化はいつから?会社の義務と守ってもらえないときの対処法』でも解説しています。

谷本 祥子

約款は「断れる根拠」、法律は「守る仕組みを作る義務」。この2つがそろって、乗務員がやっと守られる形になります。

車内でカスハラにあったら、今日からできること

いちばん大切なのは運転の安全です。安全な場所に止めて会社に連絡し、記録を残し、会社に対応を求める。この順番を覚えておいてください。

安全な場所に止めて、営業所に連絡する

暴言や威圧が続くときは、路肩など安全な場所に停車し、営業所や運行管理者に連絡して指示を受けましょう。会社の方針で途中降車をお願いする場合も、自分の判断だけで乗客を強引に降ろそうとせず、会社の指示にもとづいて対応したことが分かるようにしておくと、後のトラブルを防げます。暴力や脅迫があれば、ためらわずに警察に通報してください。

ドライブレコーダーと自分のメモで記録を残す

車内カメラやドライブレコーダーの映像は、会社が管理していることが多い証拠です。上書きで消えてしまう前に、日時と車両番号を伝えて、会社に保存を頼みましょう。あわせて、日時、場所、乗車地と降車地、言われた言葉、自分がどう対応したかを、その日のうちにメモしておきます。体調を崩したときは、受診した記録も残してください。証拠の集め方の基本は『パワハラの証拠の集め方のポイントを詳しく解説』が参考になります。

会社に報告し、対応を書面で求める

会社に報告するときは、口頭だけでなく、メールや社内の報告書など記録が残る形にします。同じ乗客から繰り返し被害を受けているなら、配車をしない、乗務を外すなど、どんな対応をしてくれるのかを確かめましょう。カスハラについて相談したことを理由に、会社が解雇や不利益な扱いをすることは、法律で禁じられています(労働施策総合推進法33条2項)。

  • 走行を続けながら乗客と言い争う
  • 会社の指示を受けずに、力ずくで乗客を降ろそうとする
  • 報告をせず、映像の保存も頼まずに一人で抱え込む

社外で相談したいときは、各都道府県の労働局などにある総合労働相談コーナーが使えます。相談は無料で、予約もいりません。

※社外の相談窓口は厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」で確認できます。

谷本 祥子

記録は、乗客を責めるためではなく、自分を守るための材料です。消える前に残しておきましょう。

労働組合の現場から。会社が守ってくれないときの選択肢

「お客様に言われたことは、我慢するのも仕事のうち」という空気が残る職場もあります。しかし10月からは、乗務員を守る措置を取らずに放置すること自体が、会社の義務違反になりえます。それでも会社が動かないときに取れる道は、大きく3つです。

選択肢向いている方主な窓口
社内で対応を求める会社に残って働き続けたい社内の窓口
行政に相談する会社が対策を取らない労働局
辞めるもう乗務を続けられない労働組合

労働局には、助言・指導や調停を求められる

会社がカスハラ対策の措置を取らない、相談したことを理由に不利な扱いをされたといったトラブルは、都道府県労働局長による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会の調停の対象になります(労働施策総合推進法36条・37条)。助言を求めたことや調停を申請したことを理由に不利益に扱うことも禁じられています。厚生労働大臣の勧告に従わない会社は、その旨を公表されることがあります(同法42条)。

守ってもらえない職場を辞めるとき

正社員など期間の定めのない雇用であれば、退職を申し入れてから2週間がたてば、会社の同意がなくても雇用は終わります(民法627条1項)。運転の仕事では、契約社員や定年後の嘱託として期間を決めて働く方も多くいます。期間の定めがある場合は、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除できます(民法628条)。1年を超える契約期間で働いていて、契約の初日から1年が過ぎていれば、いつでも退職を申し出られます(労働基準法137条。60歳以上の方と結んだ契約など、一部の契約は対象外です)。

辞めるときには、残っている有給休暇の消化と、二種免許の取得費用の返還を求められていないかを確かめておきましょう。二種免許の費用や、事故の修理代を給料から引かれる問題は『タクシー運転手を辞めたい…オーナーのパワハラは誰に相談する?会社と話さず辞める方法』で、運転が怖くなったときの考え方は『事故後の運転が怖いドライバーへ|診断書があっても運転を強要する会社の責任と、契約期間中でも辞める方法』で解説しています。

辞める前に確かめておきたいこと
  • 雇用契約書で、期間の定めがあるかどうか
  • 残っている有給休暇の日数
  • 二種免許の費用の返還など、辞めるときのお金の約束

「急に辞めたら損害賠償」と言われたら

人手不足を理由に「代わりがいないのに辞めたら損害賠償だ」と言われることがあります。しかし、辞めたことだけを理由に賠償が認められることはまれで、あらかじめ違約金や損害賠償の額を決めておく契約は、労働基準法16条で禁じられています。

ただ、損害賠償請求は仮にあなたが100%正しくとも、会社側は損害賠償請求すること自体は可能なのです。その場合の会社側の狙いとしては下記のようにいくつかあります。・単なる嫌がらせ。・経営者が法的な知識に乏しい。・訴訟が認められないと分かっていても、次の退職者を出さないために、『損害賠償請求した』と他の社員に威嚇するため。特に他の社員への脅しのためが多いようにおもいます。その事から、『この内容でも損害賠償請求されますか?』という質問に対しての回答は、お勤め先の経営者次第となるため、その経営者の性格などで判断し、私たちのような急な退職する事による損害賠償請求や懲戒解雇処分に無料で弁護士が対応する労働組合か弁護士運営の退職代行をおすすめします。

谷本 祥子

乗務員を守る仕組みは、会社が作るものです。仕組みのない職場で、自分だけが耐え続ける必要はありません。

乗務を続けられないときは、労働基準調査組合が運営する退職代行ローキに相談する

退職代行の広告でよく見る「即日退職」という言葉は、明日から乗務しなくて済むことと、その日に雇用契約が終わることを、同じ意味のように読ませてしまいがちです。実際には、正社員なら申し入れから2週間で雇用が終わり、その間を有給休暇の消化や欠勤でつなぐという組み立てになります。退職代行ローキでは、こうした退職日の組み立てを、乗務のシフトや契約期間に合わせて会社と交渉します。

退職代行ローキが向かないケース

退職代行ローキが向かないケース
  • 裁判をすることを前提に考えている方
  • 公務員・自衛官・業務委託・個人事業主・役員の方
  • 会社に借金があり、代行時に一括で完済できない方

公務員・自衛官・業務委託・個人事業主・役員の方は、労働組合に加入できないためお引き受けできません。退職代行ローキは、労働基準調査組合が運営する労働組合です。当組合は団体交渉権にもとづいて会社と交渉できますが、裁判で代理人になることはできません。カスハラをした乗客に損害賠償を求める場合や、会社の安全配慮義務違反を理由に裁判で賠償を求める場合は、弁護士に依頼する必要があります。

辞めるときの交渉を、労働組合に任せる

そのうえで、会社と直接やり取りせずに辞めたい、退職日や有給休暇の消化について話し合ってほしいという方には、退職代行ローキが使えます。退職代行ローキは労働委員会の資格審査を経た合同労働組合なので、退職の意思を伝えるだけでなく、退職日や有給休暇の消化、未払いの給与について会社と交渉できます。当組合が会社に退職をお伝えした日から、ご本人が出社することも、上司と直接話すこともありません。

退職書類が届かないといった退職後のトラブルにも、加入日から1年間対応します。退職の支援が終わった後も、加入日から1年間は、ハラスメントや未払い賃金など退職代行以外の労働問題について、追加の費用なしで相談できます。退職することに対して会社から損害賠償請求や懲戒解雇処分を受けた場合に限り、顧問弁護士が追加料金なしで会社に対応します。

※弁護士の対応は、退職することに対する損害賠償請求・懲戒解雇処分に限ります。故意による損害や横領など退職と無関係な請求、お申し込み時にお伝えいただいていないトラブルは対象外です。

確認したいこと退職代行ローキの場合
運営労働基準調査組合(合同労働組合・労働委員会の資格審査済み)
料金19,800円(税込)。組合加入費2,800円と組合費17,000円。相談は無料
支払い方法カード・振込のほか、退職日から2週間以内に支払うあと払い(手数料4,000円・審査あり)、申込時9,900円と30日以内9,900円の分割払い(手数料なし・審査あり)
交渉退職日・有給消化・未払い給与について、労働組合として交渉できる
対応の早さ最短即日対応。LINEの相談は24時間受付(※会社への連絡は8時から18時。会社の状況により異なります)
返金当組合の対応で退職に至らなかった場合は組合費を全額返金(※適用条件あり)
退職後退職書類が届くまで加入日から1年間サポート

※料金・条件は2026年10月時点。最新の内容は退職代行ローキ公式サイトをご確認ください。

返金の条件は利用規約に書いています。当組合の受任案件で、退職に至らなかった事例はこれまでありません(2026年9月末時点・当組合受任案件の集計)。比較検証サイトのmybestでは、退職代行のおすすめ人気ランキングで2024年12月から2026年9月まで1年10か月連続の1位に選ばれています(mybest社調べ)。次の働き先を探すときは、国家資格キャリアコンサルタントによる相談サービスのキャリアバディと連携しています。

退職代行ローキの場合、相談はLINEか電話でできます。※LINEの相談は24時間受け付けていますが、会社への連絡は年中無休8時から18時までです。会社への退職連絡を18時に定めている理由としては、終業時間間際や社内の総務、人事の方が帰社されている場合がほとんどです。その場合、他の方が電話に出られ翌日掛けなおしてほしいと言われることがほとんどです。また電話に出られた方が退職代行から連絡があったことを社内の人に言ってしまい、あなたの電話やLINEなどに上司や代表者から翌日までに連絡してくる可能性が非常に高いことから、終業時間が近い時間はおすすめしておりません。

有給休暇の消化の交渉については、『有給休暇の消化について会社に交渉してもらえますか?』で詳しく紹介しています。

谷本 祥子

乗客にも会社にも、もう向き合う気力がないときは、間に入る人を使ってください。

よくある質問(FAQ)

タクシー運転手は、カスハラをする乗客を乗車拒否できますか?

12月1日に施行が予定されている改正後の標準運送約款では、乗務員が乗客にカスハラの中止を求め、乗客が応じない場合には、事業者が運送の引受けや継続を断れることが明確になる見込みです。断るかどうかは事業者の判断で、実際には会社が定めるルールに沿って対応します。その場で一人で決めず、営業所や運行管理者に連絡して指示を受けることが大切です。

乗客から受けたカスハラを会社に相談したら、不利に扱われませんか?

法律で禁じられています。事業主は、働く人がカスハラについて相談したことや、会社の調査に協力して事実を述べたことを理由に、解雇やその他の不利益な取扱いをしてはならないと決められています(労働施策総合推進法33条2項)。相談した日時と相手は、記録に残しておきましょう。

会社がカスハラ対策をしてくれない場合、どこに相談できますか?

都道府県労働局に相談できます。カスハラ対策の措置をめぐる会社とのトラブルは、労働局長による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会の調停の対象です(労働施策総合推進法36条・37条)。厚生労働大臣の勧告に会社が従わない場合は、その旨が公表されることがあります(同法42条)。まずは各地の総合労働相談コーナーに問い合わせてください。

カスハラが原因でタクシー会社やバス会社を辞めたいです。契約期間の途中でも辞められますか?

期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れてから2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。契約社員や定年後の嘱託など期間の定めがある場合は、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除できます(民法628条)。1年を超える契約期間で働いていて、契約の初日から1年が過ぎていれば、いつでも退職を申し出られます(労働基準法137条。60歳以上の方と結んだ契約など、一部の契約は対象外です)。

まとめ|「やめないなら断れる」仕組みを、会社が整える番

この記事の要点
  • カスハラをやめない乗客は、事業者が運送を断れることが約款に明記される見込み
  • 公布・施行は12月1日の予定。意見募集は11月3日まで
  • 乗務員を守る措置は、10月1日からすべての会社の義務
  • 守ってくれない会社には、労働局への相談や退職という道もある

今回の約款改正で、カスハラをやめない乗客の運送を断る根拠がはっきりします。ただし断るのは会社で、乗務員一人に判断を任せてよいという意味ではありません。その場で一人で決めず、会社に報告して記録を残す。それでも会社が動かないなら、労働局に相談するか、職場を離れるかを選べます。

もう乗務を続けられず、会社と直接やり取りせずに辞めたいという方は、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。退職日の組み立てから有給休暇の消化まで、労働組合として会社と交渉します。相談は無料です。

谷本 祥子

怖い思いをした車内に、また一人で戻る必要はありません。まずは、話せる相手を一人つくりましょう。

「乗客のカスハラがつらくて辞めたい」「契約期間の途中でも辞められるか」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。

LINEでまずは無料相談!退職代行ローキ

退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。

参考情報・出典

・共同通信「【独自】カスハラ客は「乗車拒否」可能 タクシー、バス約款明記へ」(2026年10月15日)
・TBS NEWS DIG「タクシーやバスでカスハラ客の「乗車拒否」可能明記へ」(2026年10月16日)
・産経新聞「「家まで運ばないと訴える」 タクシー50分間居座り56歳男逮捕、威力業務妨害容疑」(2026年10月16日)
・FNNプライムオンライン「カスハラ客に乗車拒否や降車を要求できるように タクシーやバス業界の約款に明記」(2026年10月16日)
・国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款等の一部を改正する告示案について」(2026年10月)
・国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款等の一部を改正する告示案に関する意見募集について」
・国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」
・e-Gov法令検索「道路運送法」(11条・13条)
・e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(33条・36条・37条・42条)
・厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
・e-Gov法令検索「労働契約法」(5条)
・e-Gov法令検索「民法」(627条・628条)
・e-Gov法令検索「労働基準法」(16条・137条)
・厚生労働省「令和8年版 過労死等防止対策白書〔概要版〕」
・厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

執筆者

谷本 祥子(労働基準調査組合 執行委員長)

労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子

私はこれまでアパレル業界やエステサロン業界で勤務してきました。華やかに見える業界ですが、現場では長時間労働や人手不足、過度な売上目標によるプレッシャーが当たり前で、同僚や後輩、先輩までもが心身ともに疲弊し、ある日突然職場に来られなくなる姿を何度も目の当たりにしてきました。

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退職を申し出ても「人が足りない」「後任が見つかるまで待ってほしい」と引き止められ、なかなか辞められずに苦しむ人も少なくありませんでした。私自身も退職を願い出た際に会社から強い引き止めに遭い、労働者として当然の権利を訴えても一切取り合ってもらえず、深い無力感と悔しさを味わいました。

この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。「一人で苦しむ労働者をなくしたい」という思いから、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。

同じように悩み苦しむ方々が孤立しないよう、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、労働法に則った実効性のある支援を行ってまいります。

▶ 谷本 祥子プロフィールページはこちら

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谷本 祥子のアバター 谷本 祥子

執行委員長の谷本祥子です。アパレル・エステ業界での勤務を経て、自身も理不尽な退職引き止めや労働軽視の現実に直面し、強い危機感を抱いたことが活動の原点です。「一人で苦しむ労働者をなくしたい」という一心で、退職代行やハラスメント相談、未払い賃金の交渉など、労働問題に真摯に向き合い、労働法に基づいた実効性のある支援で働く人を守ります。

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