- 年10日以上の有給が付く人には、会社が年5日を取らせる義務がある
- 取らせないと1人につき30万円以下の罰金。高松では社長が書類送検
- 取れない職場は労基署に申告できる。辞めるなら残日数を消化して退職

有給を申請しても「人が足りない」と断られる



1年で5日も休めていないのは違法じゃないの?
シフト表の自分の欄に、休みの印が一度も付かないまま一年が過ぎていく。有給休暇は付与されているはずなのに、申請すると「今は人が足りない」と言われ、結局一日も使えていない。そんな職場で働く方に知っておいてほしいのが、有給の年5日取得義務です。
2026年9月25日、読売新聞オンラインは、高松労働基準監督署が、従業員に年5日の有給休暇を取得させなかった疑いで、高松市の小売会社の社長を書類送検したと報じました。この記事では、報道された事案を整理したうえで、有給の年5日取得義務とは何か、誰が対象で、取らせない会社にはどんな罰則があるのかを法律の側から解説し、有給を取らせてもらえないときに今日できること、辞めるときに残った有給を使い切る方法までをまとめます。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
何が起きた?年5日の有給を取らせなかった疑いで社長が書類送検
結論から言うと、法律で定められた「年5日の有給を取らせる義務」を2年続けて果たさなかった疑いで、会社の社長が刑事手続に付されました。報道されている内容を整理します。
| 項目 | 報道されている内容 |
|---|---|
| 送検した機関 | 高松労働基準監督署(2026年9月24日、高松地検へ書類送検) |
| 送検された人 | 高松市の小売会社の社長(65歳) |
| 疑われている内容 | 従業員1人に、2024年7月からの1年間と、2025年7月から会社の破産手続が始まった2026年1月までの間、それぞれ年5日の有給休暇を取得させなかった疑い |
| 問われている義務 | 2019年4月に始まった、会社が労働者に年5日の有給を取得させる義務 |
出典:読売新聞オンライン「年次有給休暇を1年7か月間取得させなかった疑い、社長の男を書類送検…高松労働基準監督署」(2026年9月25日配信)をもとに作成。
書類送検は、労働基準監督署が捜査した結果を検察に送る手続きで、この時点で有罪が決まったわけではありません。起訴するかどうかは今後、検察が判断します。今後の続報があり次第、本記事を更新します。
注目したいのは、送検の対象が「従業員1人」だという点です。年5日の義務は労働者一人ひとりについて会社に課されるもので、一人でも取らせていなければ違反になります。厚生労働省は、違反があっても監督指導ではまず是正に向けて丁寧に指導するという方針を示しており、そのうえで送検に至った今回の事案は、取らせないことが刑事罰の対象になりうることを示した例と言えます。



たった一人の、年5日の有給です。それでも法律は、会社の責任として問う仕組みになっています。
有給の年5日取得義務とは?対象になる人と会社がやるべきこと
有給の年5日取得義務とは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者について、そのうち5日を、付与された日から1年以内に会社が取得させなければならないというルールです。働き方改革の一環で2019年4月から全ての会社に義務づけられました。労働者が自分から休みを申し出るのを待つのではなく、取れていない人には会社が時期を指定してでも休ませる責任がある、という点が以前との大きな違いです。
| 項目 | ルールの内容 |
|---|---|
| 対象者 | 1年に10日以上の有給が付与される人。正社員だけでなく、管理職、契約社員、10日以上付与されるパートも含む |
| 期限 | 有給が付与された日から1年以内に5日 |
| 数え方 | 自分で申請して取った日や、会社全体の計画年休で取った日も5日に含まれる |
| 会社の手順 | 取れていない人には、本人の意見を聞いたうえで会社が取得日を指定する |
| 記録の義務 | 労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作り、3年間保存する |
出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」をもとに作成。
自分は年5日の対象?パートやアルバイトも入る?
対象になるかどうかは、雇用形態ではなく「1年に付与される有給が10日以上あるか」で決まります。フルタイムで働く人は、入社から6か月が経って出勤率が8割以上あれば10日が付与されるため、その時点で対象です。週の所定労働日数が少ないパートやアルバイトは日数に応じて比例した日数が付与され、勤続年数が長くなって10日以上になれば対象に入ります。たとえば週4日勤務なら、勤続3年6か月で付与日数が10日に達します。
- 入社日と、有給が付与される日(基準日)
- 直近の付与日に付いた有給の日数(10日以上なら対象)
- その付与日から今日までに実際に取れた日数



「うちはパートだから関係ない」と思っている方ほど、付与日数を一度確かめてみてください。
有給を取らせてくれないのは違法?会社への罰則は30万円以下の罰金
違法です。年5日を取らせなかった場合、会社には30万円以下の罰金が科されることがあり、その違反は対象の労働者1人につき1罪として扱われます。10人に取らせていなければ10件の違反になるということです。また、年5日の義務とは別に、労働者が申請した有給を正当な理由なく取らせないことも違法で、こちらは6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
| 会社の違反 | 罰則 |
|---|---|
| 年5日を取得させなかった | 30万円以下の罰金(労働者1人につき1罪) |
| 申請された有給を正当な理由なく与えなかった | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 時季指定のルールを就業規則に書いていない | 30万円以下の罰金 |
労働基準法119条・120条と、厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」をもとに作成。
年5日の義務があるので、会社は「申請がなかったから」とも言えません。取れていない人には、会社のほうから時期を指定して休ませる責任があります。
「人が足りないから」は有給を断る理由になる?
それだけでは断る理由になりません。有給は会社の許可をもらって取るものではなく、労働者が時期を指定して取得する権利です。会社にできるのは、その日に休まれると事業の正常な運営が妨げられる場合に、別の日に変えてもらうことだけです。最高裁は、この判断にあたって代わりの人を手配できるかどうかが重要な要素になるとし、会社が通常の配慮をすれば代わりの人を配置できたのに、それをしないまま時期を変えることは許されないという立場を示しています。慢性的な人手不足は会社が解決すべき問題で、休ませない理由として毎回使えるものではありません。
有給の申請に理由は必要?理由しだいで断られることはある?
理由を書く必要はなく、会社が理由しだいで断ることも原則としてできません。有給を何に使うかは労働者の自由で、会社が「その理由なら認めない」と取得を拒むことはできないとされています。申請書に理由の欄がある職場でも、「私用のため」と書けば足ります。会社が時期を変えてほしいと頼めるのは、その日に休まれると事業の運営が妨げられる場合だけで、休む目的は判断の材料になりません。
有給を取ったら、評価や手当を下げられた。これは許される?
法律は、有給を取った労働者に対して、賃金の減額その他の不利益な扱いをしないよう会社に求めています。有給を取った月に皆勤手当を外される、有給の取得回数を理由に賞与の査定を下げられるといった扱いは、この定めに反する可能性があります。どの程度の不利益なら違法になるかは個別に判断されるため、手当の規定や査定の説明を書面で残しておいてください。有給を取らせてもらえない職場の特徴については『ブラック企業の特徴とは?ブラック企業に当てはまる7つの特徴を紹介』でも触れています。



人が足りないのは会社の事情です。あなたが休めない理由として、ずっと背負う必要はありません。
有給を取らせてもらえないとき、今日からできること
まずは「取らせてもらえなかった」ことを記録に残し、自分の付与日数と取得日数を数字で確かめてください。そのうえで、会社に改めて申請するか、労働基準監督署に相談するかを選びます。順番を整理します。
- 有給の申請はメールや申請システムなど、日付と内容が残る方法で出す
- 断られたときは、日時と誰に何と言われたかをメモしておく
- 給与明細や勤怠システムで、付与日・付与日数・取得日数を確かめる
- 会社に年次有給休暇管理簿の内容を確認させてほしいと申し出る
- 改善されなければ、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する
会社が法律に違反しているときは、労働基準監督署にその事実を申告できます。会社は、申告したことを理由に解雇などの不利益な扱いをしてはならないと法律で定められています。いきなり申告するのに抵抗がある場合は、まず総合労働相談コーナーで相談することもできます。労基署への申告が実際にどう役立つのかは『給料未払いは労基署に申告して意味ある?未払い事案の96%が支払われた解決手順と最新データ』でも解説しています。
- 口頭だけで申請し、断られた記録が何も残っていない
- 有給を申請した日を、会社の言うまま欠勤扱いにされて受け入れる
- 2年の時効を過ぎて、使えないまま有給が消えるのを待つ



有給は2年で消えてしまいます。取れない理由を探すより先に、残っている日数を確かめてください。
有給を取らせない会社を辞めるなら、残った有給を使い切ってから
在職中にいくら申請しても取らせてもらえない職場なら、辞めるときに残った有給をまとめて消化するという方法があります。退職日が決まっている人の有給について、会社は退職日を越えて時期をずらすことができないとされているため、退職日までの労働日に有給を当てれば、会社は断る理由を失います。有給が20日残っていれば、およそ1か月分を給料が出る状態で過ごしてから退職できる計算です。
退職代行の広告に並ぶ「即日退職」の4文字は、有給を消化したい人の判断を早めすぎることがあります。依頼したその日に会社との縁が切れるように読めるため、残っている有給の日数を数えないまま申し込み、消化の話を一度もしないまま退職日が決まってしまうからです。実際には、依頼した翌日から出社しない状態を作ったうえで、有給の日数分だけ在籍を続け、その最終日を退職日にすることができます。退職時の有給消化の進め方は『退職代行で有給消化はできる?できないケースと確実に消化する選び方』で詳しく解説しています。
- 有給の残日数を確かめ、退職日を「今日から残日数分の労働日の先」に置く
- 引き継ぎはメモやメールで済むようにまとめておく
- 有給の消化と退職日を、同じ書面でまとめて会社に伝える



働いている間に取らせてもらえなかった分は、辞めるときに取り戻せます。黙って捨てることはありません。
労働組合の現場から。有給を取らせない会社を相手に、退職と有給消化を交渉する
退職代行ローキが向かないケース
- 裁判をすることを前提に考えている方
- 公務員・自衛官・業務委託・個人事業主・役員の方
- 会社に借金があり、代行時に一括で完済できない方
公務員・自衛官・業務委託・個人事業主・役員の方は、労働組合に加入できないためお引き受けできません。退職代行ローキは、労働基準調査組合が運営する労働組合です。また、在職を続けながら有給を取得できるよう会社に求めたいという段階であれば、まずは労働基準監督署への申告が向いています。
辞めると決めたら、有給の消化まで労働組合として交渉する
そのうえで、有給を取らせてくれない会社を辞めたいという方には、退職代行ローキが使えます。退職代行ローキは労働組合なので、退職の意思を伝えるだけでなく、退職日の設定や有給の消化について会社と交渉できます。民間の業者は意思を伝えることしかできず、有給の消化を会社に断られるとそれ以上は進められません。有給を取らせてこなかった会社ほど、退職時の有給消化にも抵抗することがあり、交渉できるかどうかが結果を分けます。
当組合が会社に退職をお伝えした日から、ご本人が会社に行くことも、上司と直接話すこともありません。有給が残っている方は、通常、退職をお伝えした日から消化に入ります。退職することに対して会社から損害賠償請求や懲戒解雇処分を受けた場合に限り、顧問弁護士が追加料金なしで会社に対応します。
| 確認したいこと | 退職代行ローキの場合 |
|---|---|
| 運営 | 労働基準調査組合(合同労働組合・労働委員会の資格審査済み) |
| 料金 | 19,800円(税込)。組合加入費2,800円と組合費17,000円。相談は無料 |
| 支払い方法 | カード・振込のほか、退職日から2週間以内に払うあと払い(手数料4,000円・審査あり)、申込時9,900円と30日以内9,900円の分割払い(手数料なし・審査あり) |
| 交渉 | 退職日・有給消化・未払い給与について、労働組合として交渉できる |
| 対応の早さ | 最短即日対応。LINEの相談は24時間受付(※会社への連絡は8時から18時。会社の状況により異なります) |
| 返金 | 当組合の対応で退職に至らなかった場合は組合費を全額返金(※適用条件あり) |
| 退職後 | 離職票などの退職書類が届くまで加入日から1年間サポート |
※料金・条件は2026年9月時点。最新の内容は退職代行ローキ公式サイトをご確認ください。
返金の条件は利用規約に書いています。当組合の受任案件で、退職に至らなかった事例はこれまでありません(2026年8月末時点・当組合受任案件の集計)。比較検証サイトのmybestでは、退職代行のおすすめ人気ランキングで2024年12月から2026年8月まで1年9か月連続の1位に選ばれています。
退職の手続きが終わって組合員資格がなくなった後も、加入した日から1年間は、退職代行以外の労働問題について追加の費用なしで何度でも相談できます。次の職場では有給をきちんと取れるようにしたいという方には、国家資格キャリアコンサルタントによる相談サービスのキャリアバディと連携しており、当組合の取り組みはキャリアバディが公開している紹介記事でも取り上げられています。



取らせてもらえなかった有給を、最後にきちんと使って辞める。そのための交渉は私たちが引き受けます。
よくある質問(FAQ)
有給の年5日取得義務とは何ですか?
年10日以上の有給が付与される労働者に、そのうち5日を、付与された日から1年以内に会社が取得させなければならないというルールです。2019年4月から全ての会社に義務づけられています。自分で申請して取った日数も5日に含まれ、足りない分は会社が本人の意見を聞いたうえで取得日を指定します。
パートやアルバイトも年5日の対象ですか?
1年に付与される有給が10日以上であれば対象です。週の所定労働日数が少ない場合は比例した日数が付与されるため、勤続年数が短いうちは対象外のこともありますが、たとえば週4日勤務なら勤続3年6か月で10日に達し、対象に入ります。
年5日の有給を取らせない会社にはどんな罰則がありますか?
30万円以下の罰金の対象で、違反は対象の労働者1人につき1罪として扱われます。申請された有給を正当な理由なく与えない場合は、別に6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。2026年9月には、高松労働基準監督署が年5日を取得させなかった疑いで会社の社長を書類送検したと報じられています。
「人が足りないから」と有給を断られました。従うしかありませんか?
人手不足というだけでは断る理由になりません。会社にできるのは、事業の正常な運営が妨げられる場合に時期を変えてもらうことだけで、代わりの人を配置する配慮もせずに時期を変えることは認められないとされています。申請と断られた記録を残し、改善されなければ労働基準監督署に相談してください。
有給を取らせてもらえなかった会社を辞めるとき、残りを使い切れますか?
使い切ることができます。退職日が決まっている人の有給について、会社は退職日を越えて時期を変えることができないとされているためです。有給の残日数を確かめ、退職日を残日数分の労働日より先に置いて、有給の消化と退職日をまとめて会社に伝えてください。
まとめ|年5日の有給は、会社が取らせる義務がある
- 年10日以上の有給が付与される人には、会社が年5日を取得させる義務がある
- 違反は1人につき30万円以下の罰金。高松では社長が書類送検された
- 人手不足だけでは有給を断る理由にならない。記録を残して労基署に相談できる
- 辞めるときは、退職日を越えて時期を変えられないため残りを使い切れる
今回の送検で示されたのは、有給を取らせないことが「職場の雰囲気」の問題ではなく、会社の法律上の義務違反だということです。年5日の義務ができてから、休めない責任を労働者一人に負わせる理屈は通らなくなりました。申請しても断られる、休む空気がない、という職場で働いてきた方は、まず自分の付与日数と取れた日数を数字で確かめてください。
判断の軸は、「この職場で、来年の自分は今年より休めているか」の一点で足ります。会社が変わる見込みがあるなら、労基署への相談で状況を動かす道があります。見込みがないなら、残っている有給を使い切ってから次の職場に移ればよく、会社と正面から争う必要も、消えていく有給をあきらめる必要もありません。
有給を取らせてくれない会社を辞めたい、辞めるときくらいは有給を使い切りたいという方は、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。退職日の組み立てから有給消化の交渉まで、労働組合として会社に伝えます。相談は無料です。



休まずに働いてきたこと自体が、もう十分な理由です。残った日数を数えるところから始めましょう。
「自分の有給は何日残っているか」「辞めるときに使い切れるか」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。
参考情報・出典
・読売新聞オンライン「年次有給休暇を1年7か月間取得させなかった疑い、社長の男を書類送検…高松労働基準監督署」(2026年9月25日配信)
・厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
・e-Gov法令検索「労働基準法」(39条・104条・115条・119条・120条)
・e-Gov法令検索「民法」(627条)
・最高裁判所第二小法廷 1987年7月10日判決(弘前電報電話局事件)
・厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署)所在地一覧」
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私はこれまでアパレル業界やエステサロン業界で勤務してきました。華やかに見える業界ですが、現場では長時間労働や人手不足、過度な売上目標によるプレッシャーが当たり前で、同僚や後輩、先輩までもが心身ともに疲弊し、ある日突然職場に来られなくなる姿を何度も目の当たりにしてきました。
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退職を申し出ても「人が足りない」「後任が見つかるまで待ってほしい」と引き止められ、なかなか辞められずに苦しむ人も少なくありませんでした。私自身も退職を願い出た際に会社から強い引き止めに遭い、労働者として当然の権利を訴えても一切取り合ってもらえず、深い無力感と悔しさを味わいました。
この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。「一人で苦しむ労働者をなくしたい」という思いから、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立しないよう、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、労働法に則った実効性のある支援を行ってまいります。









