- 厚生労働省はブラック企業を定義していませんが、極端な長時間労働・賃金不払い・ハラスメントの横行を一般的な特徴として挙げています
- 労働時間や休日、残業の上限、最低賃金には法律で決まった最低ラインがあります。まずそこに当てはめて確かめてください
- 当てはまる項目があるなら、証拠を残したうえで労働基準監督署や労働組合へ。我慢し続けることに利益はありません

うちの会社、これって普通なの?それともブラック?



転職しても同じような会社だったらどうしよう…
たびたびメディアを賑わせる「ブラック企業」の文字。
ブラック企業といえば「パワハラ」「過労死」「過労自殺」などが思い浮かぶでしょう。
ブラック企業は若い労働者が使い捨てのように使っているため、日本の若い労働力が失われるという深刻な状況を招いています。
ブラック企業は解決すべき大きな社会問題なのです。
ここではブラック企業の定義を説明し、そのような企業の特徴について紹介します。
ブラック企業の定義
ブラック企業について、厚生労働省は具体的な定義をしていません。しかし、ブラック企業の特徴として以下のような特徴があるとしています。
- 労働者に過重な長時間の労働を課す
- 賃金未払いやパワハラをするなどコンプライアンス意識が低い
- 若い労働者を使い捨てのように消費する
厚生労働省のホームページには、ブラック企業の特徴について、以下のように書かれています。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
ブラック企業ってどんな会社なの?:厚生労働省厚生労働省では労働基準法などに違反した企業のリストも作っています。
全国のブラック企業リスト一覧このリストは実質的な「ブラック企業リスト」とみなされています。気になる企業がブラック企業リストに入っているかどうかをチェックしてみるのもよいでしょう。
それでは、ここから実際にブラック企業の特徴を見ていきましょう。
- 長時間労働が常態化している
- 残業代が支払われない
- ハラスメントが横行している
法律で決まっている最低ライン
- 労働時間は1日8時間・週40時間まで
- 休日は週1日または4週4日以上
- 残業には25%以上の割増賃金
「ブラックかどうか」は感覚で判断するものではありません。労働時間や休日には法律で決まった上限や下限があり、そこを超えていれば違法です。まずは次の表に当てはめてみてください。
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| 項目 | 法律で決まっている基準 | これを超えると |
|---|---|---|
| 1日の労働時間 | 8時間まで | 36協定がなければ違法 |
| 1週間の労働時間 | 40時間まで | 36協定がなければ違法 |
| 休憩 | 6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上 | 与えなければ違法 |
| 休日 | 週1日、または4週で4日以上 | 与えなければ違法 |
| 残業の上限 | 月45時間・年360時間 | 特別条項がなければ違法 |
| 特別条項がある場合の上限 | 月100時間未満・年720時間以内・月45時間超は年6回まで | これも超えれば違法 |
| 割増賃金 | 法定時間外は25%以上、深夜・休日はさらに加算 | 支払わなければ違法 |
| 最低賃金 | 都道府県ごとに毎年改定(令和7年度の全国加重平均は1,121円) | 下回れば違法 |
労働条件の法定基準(労働基準法)



「みんな残業しているから普通」ではありません。36協定を結んでいない会社が1分でも残業させれば、その時点で労働基準法違反です。
ブラック企業の特徴①「不当な長時間労働を強いる」
不当な長時間労働を社員に強いることは、ブラック企業の大きな特徴の一つです。
労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週に40時間までと定めています。
つまり、会社は社員に1日8時間、週に40時間以上働かせることはできないということです。
この上限を超えて社員に時間外労働をさせる場合、残業などに関する取り決めを定めた時間外労働協定(36協定)を結んでおかなければなりません。
さらに、労働時間が6時間を越える場合には最低45分間、労働時間が8時間を越える場合には最低1時間の休憩を、会社が与える義務があります。この義務も、労働基準法で決められていることです。
労働基準法に定められたこの休憩を会社が与えなかった場合、労働基準法違反となります。
労働時間の上限である1日8時間、週に40時間を超えた労働時間は、残業となります。
残業時間にも上限が定められており、その上限は、月に45時間、年間で360時間です。
ただし、月に45時間を超えて働かせて良いのは年間で6回までとなります。
特別な事情でやむを得ない場合でも、会社は社員の残業時間と休日労働を月に100時間未満、年間で720時間以下にしなければなりません。
会社がこれらの上限を無視して社員に働かせた場合、やはり労働基準法違反となります。
労働基準法で定められた分を超えた不当な労働時間を社員に強いることが、ブラック企業の大きな特徴なのです。



長時間労働は、法律の上限を超えていれば違法です。
ブラック企業の特徴②「休日が少ない」
休日をなかなか取らせてくれないのも、ブラック企業の特徴です。
労働基準法では「法定休日」というものが定められています。会社は社員に対し、最低でも週に1日の休日、または4週間のなかで4日の休日を与えなければなりません。
土曜日、日曜日、祝日、お盆休み、年末年始休暇などを合算すると、1年間の平均休日は120日ほどです。つまり、通常の会社であれば、社員は年間120日の休みを取得できることになります。
年間で80日も休日が取れないような会社は、ブラック企業とみなしてよいでしょう。
また、有給をはじめ、体調不良なのに休みをもらえなかったり、育児や介護児や介護で休みが必要なときも認めてくれないようなブラック企業は、特に悪質といってよいでしょう。
ブラック企業の特徴③「無理なノルマを課す」
社員に対して無理なノルマを課すのもブラック企業の特徴です。
社員1人当たりがこなせる仕事量をはるかに超えた無理なノルマを課すことで、肉体的・精神的に大きなストレスを与えるだけでなく、ノルマを達成できなかった時に罰を課したり給与を下げられるなどする場合もあります。
このような無理なノルマを課すブラック企業には、理不尽な精神論をかざしたり、上下関係を利用したパワハラによって社員を服従させ、無理に働かせようとする風潮があります。



休日の日数にも、法律で最低ラインがあります。
ブラック企業の特徴④「パワハラ、モラハラ、セクハラが横行している」
パワハラ、モラハラ、セクハラが横行している企業もブラック企業です。
会社はコンプライアンスを遵守し、職場環境を健全に保つ義務があります。ブラック企業ではコンプライアンス意識が低く、パワハラ、モラハラ、セクハラが行われていても適切な措置を取らないことが多いのです。
また、本来であれば、このようなハラスメント防止策として、会社は相談窓口を設けておく必要があります。このような相談窓口を設置していない企業は、ハラスメントに対する問題意識が低く、問題が起きても見てみぬふりをする風潮があります。
ハラスメントを会社に相談することで、相談者が逆に不利益を被るような扱いをされたり、問題をもみ消そうとする場合は、とりわけ悪質です。
職場環境でのハラスメント問題が是正されず放置されれば、被害を受けている社員は心身に深刻な影響を受ける危険があります。
ブラック企業の特徴⑤「残業代の未払いなどが常態化している」
- タイムカードと給与明細を突き合わせる
- 固定残業代を超えた分が支払われているか
- 始業前や休憩中の業務が記録されているか
サービス残業が日常茶飯事となっている場合も、ブラック企業の特徴です。
労働時間の上限である1日8時間、週に40時間を超えて残業させる場合、この残業について会社は割り増しの賃金を社員に支払わなくてはなりません。
この規則は労働基準法で定められていますが、実際には残業代を適切に支払っていない企業が少なくありません。
当然のようにサービス残業をさせるような会社は、法令を遵守する意識がきわめて低いため、ブラック企業とみなされます。



ハラスメントの防止は、会社に義務づけられています。
ブラック企業の特徴⑥「給料が低い」
ブラック企業の特徴として、そもそも給料が低いことが挙げられます。
サービス残業を含め、労働している時間に見合った適切な給料が支払われていなければ、それは労働基準法違反となります。
企業は、都道府県別に定められた最低賃金を労働者に支払う義務があります。最低賃金は毎年改定され、令和7年度(2025年度)の全国加重平均は1,121円で、全都道府県で1,000円を超えました。最も高い東京都は1,226円です。発効日は都道府県ごとに異なるため、最新額は厚生労働省の一覧でご確認ください。
残業がない場合、企業は、労働時間にこの最低賃金を掛け合わせた金額以上の給料を労働者に支払わなければなりません。
もし会社がこの金額に満たない給料しか労働者に支払っていないとすれば、それは違法でありブラック企業とみなされます。
ブラック企業の特徴⑦「離職率が高い」
これまで説明してきたように、ブラック企業では、ハラスメントが横行していたり、社員に不当な長時間労働を課したり、無理なノルマを課したりするため、労働者が次々と辞めていきます。労働者を使い捨てのように扱うため、不足した人材を確保するために常に求人を出し、大量に雇用しています。
- 雇用契約書や労働条件通知書を確認しないまま働き続ける
- サービス残業の記録を残さずに退職する
- 最低賃金を下回っていることに気づかないまま働く
その結果、過酷な労働環境に耐えられる人だけが選別され、限界を超えるまで労働させられます。離職率が高くなるのはブラック企業の必然的な特徴といえるでしょう。



最低賃金を下回っていれば、それだけで違法です。
あなたの会社は当てはまる?チェックリスト
次の項目に3つ以上当てはまるなら、労働環境に問題がある可能性が高い状態です。
- タイムカードを定時で打刻させられ、その後も働かされている
- 残業代が固定額しか出ず、実際の残業時間と合っていない
- 36協定の内容を見たことがない、あるいは会社に聞いても示されない
- 有給休暇を申請すると理由を問われ、実質的に取得できない
- 休憩時間に電話番や作業をさせられている
- ハラスメントの相談窓口がない、または相談しても何も変わらない
- 毎月のように退職者が出て、常に求人を出している
- 雇用契約書や労働条件通知書をもらっていない
とくに雇用契約書や労働条件通知書を渡していないのは労働基準法15条に反します。手元にない場合は、会社に交付を求めてください。
証拠として残しておきたいもの
- タイムカードや勤怠記録
- 給与明細
- 業務のメールやチャットの送信時刻
労働基準監督署に相談する場合、証拠があるほど動いてもらいやすくなります。在職中にしか手に入らないものが多いため、早めに手元へ残しておいてください。
- タイムカードや勤怠システムの記録(写真やスクリーンショットでも可)
- 給与明細(未払いを主張する根拠になります)
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 就業規則(賃金規程を含む)
- 業務の開始・終了時刻がわかるメールやチャットの送信履歴
- 手書きの勤務記録(毎日つけたもの)



会社のパソコンではなく、必ずご自身の端末に保存してください。退職後は社内の資料に一切アクセスできなくなります。
会社と直接やり取りせずに辞めたいときは
- 退職の意思を伝える
- 有給消化や退職日の交渉
- 未払い分の請求
相談窓口を回っても状況が変わらず、心身が限界に近いのであれば、退職は逃げではなく身を守る手段です。ただ、問題のある会社ほど、退職を切り出したときに引き止めや責め立てが起きやすいのも事実です。
退職代行ローキは労働組合が運営しているため、団体交渉権にもとづいて会社と直接やり取りができます。あなたが会社へ行ったり、上司と話したりする必要はありません。
料金は19,800円(税込)で、内訳は組合加入費2,800円+組合費17,000円です。追加料金は原則不要です(※振込手数料やコンビニ後払いの手数料4,000円などを除きます)。相談はLINEか電話でできます。※LINEの相談は24時間受け付けていますが、会社への連絡は年中無休8時から18時までです。終業時間間際は担当者が不在のことが多く、翌日に折り返しとなる場合があるためです。
これ以上、我慢して働き続ける必要はありません。
退職代行ローキは労働組合として、未払い分の請求も会社と交渉できます。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。



退職の連絡だけでなく、有給休暇の消化や離職票などの書類のやり取りも、私たちが会社との間に入ってお伝えします。あなたが上司と話す必要はありません。
まとめ
以上、7つのブラック企業の特徴を挙げてきました。
あなたが勤める会社がこれらの特徴のいずれかに当てはまる場合、ブラック企業と考えてよいかもしれません。
ブラック企業は社員を使い捨ての道具のように扱うため、我慢して働いていると心身に深刻なダメージを負うリスクが高くなります。
もしもあなたがブラック企業で心身の許容範囲を超えたストレスを受けているようでしたら、自分の身を守るためにも、国の機関や労働組合など適切な窓口へ相談したり、退職を検討することも必要でしょう。
よくある質問(FAQ)
「ブラック企業」に法律上の定義はありますか?
ありません。厚生労働省も定義はしていませんが、一般的な特徴として、極端な長時間労働やノルマを課すこと、賃金不払残業やパワーハラスメントが横行しコンプライアンス意識が低いこと、労働者に過度の選別を行うことを挙げています。
残業代が固定で支払われています。これは違法ですか?
固定残業代(みなし残業代)の制度自体は違法ではありません。ただし、実際の残業時間分の残業代が固定額を上回る場合、その差額を支払わなければ違法です。就業規則に何時間分かが明記されているかも確認してください。
有給休暇を取らせてもらえません。
年10日以上の有給休暇が付与される労働者については、会社に年5日を取得させる義務があります。取得させていない場合は労働基準法違反です。労働基準監督署に相談できます。
労働基準監督署に相談すると、会社に自分だと知られますか?
申告者が誰かを会社に明かさないよう取り扱われます。ただし相談内容が具体的で特定されやすい場合もあるため、不安があれば相談時にその旨を伝えてください。
求人票の条件と実際の労働条件が違います。
労働条件は入社時に書面で明示することが義務づけられています(労働基準法15条)。明示された条件と実際が違う場合、労働者は契約を即時に解除できます。求人票と労働条件通知書の両方を保管しておいてください。
明示された条件と実際が違うなら、労働者は契約を即座に解除できます。
辞めたいのに引き止められて辞められません。
期間の定めのない雇用であれば、民法627条により申し入れから2週間で退職できます。就業規則に「1か月前まで」と書かれていても、法律が優先されます。会社と直接やり取りしたくない場合は、労働組合が運営する退職代行という選択肢があります。
参考情報・出典
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。




