- 労基署も店長の管理監督者性は否定しにくいと認めており、行政に期待しても動きは遅い
- 人手不足も後任不在も退職を拒む理由にはならず、申し出から2週間で辞められる
- 退職日・有給消化・未払い分は、労働組合が会社とまとめて交渉できる

後任が決まるまで辞めさせないと言われた…



店長は管理職だから残業代なしって本当?
ホールが回らないので今日も自分が入る。閉店後にようやく発注画面を開いて、翌日の朝礼の資料を作る。気づけば日付が変わっていて、出勤は8時間後。それでも給与明細の「役職手当」の額は先月と変わらず、残業代の欄には何も入っていない。飲食店の店長という肩書きは、そういう日々の別名になっていることがあります。
2026年9月17日、労働新聞社が「飲食業 店長の過重労働撲滅へ 集団指導で是正図る 八王子労基署町田支署」と題した記事を配信しました。東京・八王子労働基準監督署町田支署が、管内の飲食業の店長の過重労働をなくすため、今年度から集団指導を始めたという内容です。注目すべきは記事の見出しに置かれた一文で、同支署は「長時間労働があっても監督指導の現場では管理監督者性を否定しにくく、指導票の交付に留まっているケースがある。実態は数字以上に深刻」と述べています。この記事では、労基署がそう認めざるを得ない構造を法令と通達で確かめたうえで、飲食店の店長が辞めたいと思ったときに何から手をつければよいのか、労働組合の立場から具体的に解説します。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
労基署が飲食店の店長の過重労働に集団指導。「管理監督者性を否定しにくい」と明かした
結論から言うと、行政が自ら「店長の長時間労働は取り締まりにくい」と認めた報道です。数字の上では違反率が低く見えても、店長が管理監督者として扱われている限り、労働時間の違反として把握されにくいという構造が語られています。
| 項目 | 報道されている内容 |
|---|---|
| 実施する行政機関 | 東京・八王子労働基準監督署町田支署(酒井みほ支署長) |
| 取り組みの内容 | 管内飲食業の店長の過重労働撲滅に向け、今年度から集団指導を展開する |
| 背景の見立て | 過重労働の背景には人手不足があるとみている |
| 具体的な手法 | 働き方改革推進支援センターの職員を招き、各種支援策を紹介して長時間労働の是正を図る |
| 管内の違反率 | 飲食業の労働時間関連の違反率は12.8%で、記事は「高くはない」としている |
| 同支署のコメント | 店長は管理監督者として取り扱われる場合が多く、「長時間労働があっても監督指導の現場では管理監督者性を否定しにくく、指導票の交付に留まっているケースがある。実態は数字以上に深刻」 |
出典:労働新聞社「飲食業 店長の過重労働撲滅へ 集団指導で是正図る 八王子労基署町田支署」(2026年9月17日配信・労働新聞 令和8年9月28日第3562号5面)の公開部分をもとに作成。
ここで押さえておきたいのは、違反率12.8%という数字と「実態は数字以上に深刻」というコメントが同居している点です。労働時間の違反として数えられるのは、労働時間の規制が適用される人が長く働かされていた場合です。店長が管理監督者として扱われていると、その人がどれだけ長く働いていても、労働時間の違反としてはカウントされません。統計から店長が丸ごと抜け落ちるわけです。
そして指導票というのは、法違反とまでは断定できないものの改善が望ましい事項について交付される文書です。法違反が確認されたときに交付される是正勧告書とは位置づけが違います。労基署が現場で管理監督者性を崩しきれず、指導票を置いて帰るしかないと語っているのは、店長本人にとっては「行政に期待しても状況は変わりにくい」という意味になります。



行政が「崩しにくい」と言っている壁を、働いている本人が一人で崩すのは、もっと難しいことです。
なぜ店長の長時間労働は是正されにくいのか。「店長=管理監督者」という運用が壁になる
理由は、労働基準法が「監督若しくは管理の地位にある者」について労働時間・休憩・休日の規定を適用しないと定めているからです。会社がこの枠に店長を入れてしまえば、何時間働いても残業代の支払い義務が生じない建前になります。ただし、この枠に入るかどうかは肩書きではなく実態で決まります。名前が店長であることと、法律上の管理監督者であることは、まったく別の話です。
厚労省は2008年に「店舗の店長」向けの判断要素を通達で示している
厚生労働省は2008年9月9日、多店舗展開する小売業・飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について、都道府県労働局長あてに通達を出しました。チェーン店の比較的小規模な店舗で、十分な権限も相応の待遇も与えられていないのに管理監督者として扱われ、長時間労働をさせられて割増賃金も支払われない事案がみられたためです。通達は、店長の管理監督者性を否定する方向に働く要素を、次の3区分で整理しています。
| 区分 | 管理監督者性を否定する方向に働く要素 |
|---|---|
| 職務内容・責任と権限 | アルバイトやパートの採用(人選だけの場合も含む)の権限が実質的にない。解雇に関与しない。部下の人事考課に関与しない。勤務割表の作成や残業命令の権限が実質的にない。いずれも「重要な要素」とされる |
| 勤務態様 | 遅刻や早退で減給や人事考課のマイナスなど不利益な取扱いを受ける(重要な要素)。営業時間中は店に常駐しなければならない、人が足りなければ自分が現場に入るしかないなど、労働時間の裁量がほとんどない(補強要素)。マニュアルどおりの現場作業が労働時間の大半を占める(補強要素) |
| 賃金等の待遇 | 役職手当などの優遇が実際の労働時間に見合っていない(補強要素)。年間の賃金総額が他店舗を含む一般社員と同程度以下(補強要素)。長時間労働を余儀なくされた結果、時給に換算した額が店のアルバイト・パートを下回る(重要な要素)。最低賃金を下回る場合は「極めて重要な要素」 |
出典:厚生労働省「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け基発第0909001号)をもとに作成。通達は、これらの否定要素が認められない場合でも直ちに管理監督者性が肯定されるわけではないとしています。
この表を自分の毎日に当てはめると、多くの飲食店の店長が複数の欄に当てはまります。アルバイトの最終的な採用を決めるのは本部で、人が足りない日は自分がキッチンに立ち、遅刻すれば評価が下がり、時給に換算するとアルバイトの時給を下回る。この状態は、通達の基準では管理監督者から遠いところにあります。
労基署が実際に調べたら、店長の8割超は管理監督者と認められなかった
同じ通達の公表資料には、全国の労働基準監督署が2008年4月から6月にかけて、管理監督者の範囲に問題があると考えられる66店舗(53社)を実地で監督した結果が載っています。管理監督者として扱われている人がいた55店舗の店長55人のうち、管理監督者と認められたのは10人だけでした。残る45人は認められていません。割合にして8割を超えます。副店長や部門長など店長以外の33人にいたっては、認められた人は0人でした。
つまり、行政がきちんと調べれば「この店長は管理監督者ではない」という結論になる例のほうが多数派です。2026年の労基署のコメントが示しているのは、基準が甘いということではなく、日常の監督指導の場面ではそこまで踏み込みきれないという運用上の限界です。
管理監督者に当たるかどうかの3つの判断軸と、残業代を計算して取り戻す手順そのものについては、『「管理職だから残業代なし」は本当?名ばかり管理職の3要件と未払い残業代の取り戻し方』で詳しく解説しています。労働時間や割増賃金の基本的な仕組みは『【完全解説】労働時間・残業の法律知識 〜残業から身を守るために知っておくべきこと〜』にまとめています。



肩書きに「長」がつくかどうかではなく、あなたに何を決める権限があるかで決まります。
飲食店の店長が「辞めたい」のに辞められない3つの理由
飲食店の店長の相談で共通しているのは、辞める決心がつかないのではなく、決心したあとで会社に止められて動けなくなる、という順番です。理由は大きく3つに分かれます。
1. 人手不足を理由に「後任が決まるまで」と先延ばしにされる
もっとも多いのがこれです。労基署自身が過重労働の背景に人手不足があると見立てているとおり、人が足りない状況は会社も分かっています。分かったうえで「君が抜けたら店が回らない」「せめて繁忙期が終わるまで」と言われます。後任の採用は会社の仕事であって、店長が辞められない理由ではないのですが、毎日顔を合わせる相手に正面から言い返すのは簡単ではありません。
2. シフトを自分で埋めているため、抜ける日が決められない
店長は勤務割表を作る側にいます。ただし、ここで言う作成は「本部から渡された人員枠の中で表を埋める作業」であることが多く、誰を何人雇うかを決める権限とは別ものです。穴が空いたら自分で埋めるのが当たり前になっていると、退職日を決めた瞬間にその後の数週間のシフトが崩れることが自分で見えてしまいます。自分が作った表に自分が縛られる形です。ここで「引き継ぎが終わってから」と考え始めると、引き継ぎは永久に終わりません。
3. 数字の責任を負っているので「途中で投げ出す」と言われる
売上目標や原価率の責任を負わされていると、辞めることが目標の放棄のように扱われます。エリアマネージャーから「今の数字のままで辞めるのか」と言われれば、責任感の強い人ほど動けなくなります。ただ、数字の責任は雇用契約上の債務ではありません。目標未達を理由に退職を拒むことはできませんし、未達を理由に損害賠償を請求することも、通常は認められません。
- 「後任が決まったら辞めていい」と口約束して、退職日を決めないまま働き続ける
- 限界が来て、ある日から連絡を絶つ。無断欠勤扱いになり、離職票や源泉徴収票の受け取りでもめる
- 「辞めるなら店の損害を払え」と言われて怖くなり、話を取り下げる



辞めると決めた日と、辞める日を会社に委ねないこと。この2つを分けるだけで景色が変わります。
「後任が決まるまで」は法律上通用しない。退職の申し出から2週間で契約は終わる
期間の定めのない正社員であれば、退職を申し入れた日から2週間が経てば雇用契約は終わります。民法にそう書かれており、会社の承諾は要件になっていません。就業規則に「退職は3か月前までに申し出ること」と書かれていても、その規定だけを根拠に退職を引き延ばすことはできないと考えられています。
| 会社から言われがちな言葉 | 法律上の考え方 |
|---|---|
| 後任が決まるまで辞めさせない | 後任の採用は会社の責任。退職の効力は会社の承諾にかかっておらず、申し出から2週間で終了する |
| 就業規則に3か月前と書いてある | 就業規則で民法の期間を一方的に延ばす定めは、そのままでは効力が認められにくい |
| 繁忙期に抜けたら損害賠償だ | 退職は労働者の権利。あらかじめ違約金や賠償額を決めておくことは労働基準法で禁止されている。実際に請求が認められるのは例外的な場合に限られる |
| 引き継ぎが終わっていない | 引き継ぎは信義則上の配慮であって、退職の条件ではない。資料を残すなど、できる範囲で対応すれば足りる |
| 有給は退職するなら使わせない | 年次有給休暇は法律上の権利。退職日までに残日数を消化する形で取得を申し出ることができる |
気をつけたいのは、契約社員のように期間の定めがある働き方の場合です。原則として契約期間の途中では辞められず、やむを得ない事由があるときに解除できる、という建て付けになります。ただし飲食店の店長は無期の正社員であることが多く、その場合は2週間のルールがそのまま当てはまります。就業規則の記載と法律の関係については『就業規則には退職は数か月前に申告することと記載があるが、即日退職できますか?』でも整理しています。



会社が「認めない」と言っても、2週間の経過という事実は会社の意思では止められません。
辞めると決めた日からやること。店長だからこそ残せる記録がある
先に結論を言うと、在職中にやるのは「会社と戦うこと」ではなく「記録を集めること」です。店長は店の鍵を開け閉めし、勤怠を承認し、発注をかける立場にいます。つまり、自分の労働時間を裏づける材料に、誰よりも近いところにいます。
労働時間を後から証明できる、飲食店ならではの記録
タイムカードが実態と合っていない店でも、別の痕跡は残っています。店舗のセキュリティシステムの解除と施錠の時刻、レジの精算記録(Xレポート・Zレポート)の打刻時刻、券売機やPOSの日次締めの時刻、発注システムへのログイン時刻、業務用LINEやチャットの送信時刻、シフト表の作成日時。これらは自分がその時間に店にいたことを示します。スマートフォンの位置情報の履歴や、交通系ICカードの乗車履歴も補強材料になります。毎日3行でよいので、出勤時刻・退勤時刻・その日の特記事項をメモに残しておくと、後から突き合わせができます。
役職手当と実労働時間を突き合わせて、時給に換算してみる
月給を実際の労働時間で割ると、自分の時給が出ます。この額が店のアルバイトの時給を下回っていたら、前に見た通達では管理監督者性を否定する重要な要素にあたります。最低賃金を下回っていれば、通達が「極めて重要な要素」と呼ぶ状態です。計算結果そのものが交渉の材料になりますし、何より自分が置かれている状況を数字で見ることができます。未払いになっている賃金の請求権は、原則として3年で時効にかかるため、古い月から順に消えていきます。
未払い分の請求を組合に任せる場合の進め方は『未払い残業代を請求してもらうことは可能ですか?』に、退職時の有給消化の交渉については『有給休暇の消化について会社に交渉してもらえますか?』にまとめています。
- 雇用契約書・労働条件通知書・就業規則・給与明細(直近2年分を写真で保存)
- シフト表と施錠記録、業務用チャットの履歴(会社のアカウントを止められる前に自分の端末へ)
- 有給の残日数が分かる画面、店の備品や鍵・制服など返却するものの一覧
記録は会社に見せるために集めるものではありません。辞めると伝えた瞬間に社内システムへのアクセスを止められることがあるため、伝える前に自分の手元へ移しておくことが大切です。



店の鍵を持っている人は、自分の労働時間の証拠も持っています。辞める前に手元へ。
労働組合の現場から。店に行かずに辞めるとき、店長は何を引き渡せばよいのか
先に、退職代行ローキで対応できないケースをお伝えします。会社を相手に裁判を起こして争うことが前提の案件は、訴訟の代理ができる弁護士に依頼するのが適切です。公務員の方や業務委託契約の方、会社に借入金がある方も、当組合ではお受けしていません。店長が会社の連帯保証人になっている、店舗の賃貸借契約に個人名義で関わっているといった場合も、労働問題の枠を超えるため弁護士に相談してください。
そのうえで、雇われ店長として働いていて、退職の意思を会社に伝えて労働条件を整理したいという段階であれば、労働組合の出番です。退職代行ローキは労働基準調査組合という労働組合が運営しており、組合員のために会社と交渉する立場で動きます。民間の代行業者が「伝えるだけ」にとどまるのに対し、退職日や有給の消化、未払い分の取り扱いについて、会社と話し合いのテーブルを持てるのがいちばんの違いです。
店長が引き渡すのは「鍵と情報」であって「自分の時間」ではない
店長の退職で実際にもめるのは、引き継ぎそのものより「引き継ぎのために出社し続けるかどうか」です。当組合が会社に通知した日から、ご本人が店に出ることも、エリアマネージャーと話すこともありません。店の鍵や制服、社用端末は郵送で返却できますし、レジの暗証番号や発注システムのIDとパスワードといった機密情報は、組合を経由させず、ご本人から会社の担当者へ直接お伝えいただきます。仕入先の連絡先や在庫の状況は、書面にまとめて渡せば引き継ぎとして十分です。
「退職を理由に損害賠償」と言われたときの備え
飲食店では「急に辞められて売上が落ちた分を払え」といった話が出ることがあります。退職代行ローキでは、退職したことに対して会社から損害賠償請求や懲戒解雇処分がなされた場合に限り、追加料金なしで顧問弁護士が会社へ直接対応します。ただし、故意に店の設備を壊した、売上金を持ち出したといった、退職とは無関係な請求は対象外です。この線引きは申し込み前にご確認ください。
| 確認したいこと | 退職代行ローキの場合 |
|---|---|
| 運営 | 労働基準調査組合(合同労働組合・労働委員会の資格審査済み) |
| 料金 | 19,800円(税込)。内訳は組合加入費2,800円と初年度組合費17,000円。相談は無料 |
| 会社との交渉 | 退職日・有給消化・未払い分の取り扱いについて、労働組合として交渉できる |
| 弁護士の対応 | 退職することに対する損害賠償請求・懲戒解雇処分に限り、追加料金なしで対応(※退職と無関係な請求は対象外) |
| 支払い方法 | クレジットカード・振込のほか後払いも可(※審査あり。後払い手数料4,000円が別途必要) |
| 受付 | LINEまたは電話で24時間365日受付。通常、平日なら即日対応が可能(※会社の状況により異なります) |
| 対応できないこと | 裁判での代理。公務員・業務委託・個人事業主・役員の方、会社に借入金がある方 |
※料金・条件は2026年9月時点。最新の内容は退職代行ローキ公式サイトをご確認ください。
退職したあとの仕事探しについては、転職支援サービスのキャリアバディと連携しており、希望される方にはご紹介ができます。当組合の取り組みは、キャリアバディが公開している退職代行の紹介記事でも取り上げられています。飲食店の店長経験は、人の採用と育成、原価と売上の管理、クレーム対応を一人で回してきた経験です。同じ業界に残るにせよ離れるにせよ、書き出してみると思ったより多くのことをしています。



店に置いてくるのは鍵と情報だけで十分です。あなたの時間まで置いていく必要はありません。
よくある質問(FAQ)
飲食店の店長ですが、後任がいなくても辞められますか?
辞められます。期間の定めのない正社員であれば、退職を申し入れた日から2週間が経てば雇用契約は終わります。後任を採用するのは会社の責任であり、後任がいないことは退職を拒む理由になりません。会社の承諾も要件ではありません。
店長は管理職なので残業代が出ないと言われています。本当ですか?
肩書きだけでは決まりません。労働基準法の管理監督者に当たるかは実態で判断され、厚生労働省の通達は、アルバイトの採用権限がない、遅刻早退で不利益な扱いを受ける、時給に換算するとアルバイトを下回るといった事情を、管理監督者性を否定する要素として挙げています。2008年に労基署が調べた際は、店長55人のうち45人が管理監督者と認められませんでした。
繁忙期に辞めたら損害賠償を請求されませんか?
会社が請求という行為をすること自体は止められませんが、退職は労働者の権利であり、あらかじめ違約金や賠償額を決めておくことは労働基準法で禁止されています。実際に賠償が認められるのは例外的な場合に限られます。退職代行ローキでは、退職したことに対して損害賠償請求や懲戒解雇処分がなされた場合に限り、追加料金なしで顧問弁護士が会社へ直接対応します。
残っている有給を消化してから辞めることはできますか?
できます。年次有給休暇は法律上の権利で、退職日までの間に残日数を充てる形で取得を申し出ることができます。人手不足を理由に拒まれることもありますが、退職日を過ぎると残った日数は消えてしまうため、退職日と有給の消化はセットで決めるのが安全です。労働組合が入る場合は、この2つを同時に交渉します。
辞めたあと、未払いの残業代をさかのぼって請求できますか?
賃金の請求権は原則として3年で時効にかかるため、その範囲であれば退職後でも請求できます。ただし古い月から順に消えていくので、早く動くほど取り戻せる額は大きくなります。シフト表、施錠記録、レジの精算時刻、業務用チャットの送信時刻など、店にいた時間を示す記録を退職前に自分の手元へ保存しておいてください。
まとめ|労基署が崩しきれない壁の前で、変わるのを待ち続けなくていい
- 労基署は飲食業の店長の過重労働に集団指導を始めた一方、管理監督者性を否定しにくく指導票止まりになると認めている
- 管理監督者かどうかは肩書きではなく実態で決まる。過去の実地調査では店長55人中45人が該当しないと判断された
- 人手不足・後任不在・数字の責任は、いずれも退職を拒む法的な理由にならない
- 辞めると伝える前に、施錠記録やシフト表など自分の労働時間を示す記録を手元へ移しておく
今回の報道でいちばん重いのは、違反率12.8%という数字ではなく、労基署が「実態は数字以上に深刻」と口にしたことです。取り締まる側が届きにくいと言っている領域に、店長は毎日立っています。集団指導で会社の意識が変わることを期待するとしても、それが自分の店に及ぶまでにどれだけかかるかは誰にも分かりません。
判断の軸は「この状態があと1年続いたときに、自分の体と生活が持つかどうか」の一点で足ります。無理に高い選択肢を取る必要はありません。会社と交渉して労働時間を戻してもらう道もあれば、静かに辞めて次に移る道もあります。どちらを選ぶにしても、記録だけは今日から残しておいてください。記録があれば、あとから選び直すことができます。
後任が決まるまで辞めさせてもらえない、エリアマネージャーに退職を切り出せない、辞めるときに未払い分もまとめて整理したいという方は、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。組合が会社に通知した日から、店に出ることも上司と話すこともなくなります。相談は無料で、LINEなら24時間受け付けています。



店を守ってきた人が、自分を守ることを後回しにしないでください。順番を戻すだけです。
「この働き方は管理監督者に当たるのか」「後任がいなくても辞められるのか」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。
参考情報・出典
・労働新聞社「飲食業 店長の過重労働撲滅へ 集団指導で是正図る 八王子労基署町田支署」(2026年9月17日配信・労働新聞 令和8年9月28日第3562号5面)
・厚生労働省「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け基発第0909001号・報道発表資料)
・厚生労働省「『管理監督者』の範囲の適正化に関するQ&A」
・e-Gov法令検索「労働基準法」(16条・37条・39条・41条・115条・附則143条)
・e-Gov法令検索「民法」(627条・628条)
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
・厚生労働省「働き方改革推進支援センターのご案内」
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。









