- 相談先は「何をしてほしいか」で選ぶのが基本。話を聞いてほしいのか、会社に動いてほしいのか、お金を請求したいのかで変わります
- 賃金の未払いや違法な長時間労働は労働基準監督署、ハラスメントは総合労働相談コーナーが入口です
- 公的な窓口は強制力が限られます。会社に直接動いてほしい場合は労働組合、金銭を請求したい場合は弁護士が選択肢になります

どこに相談すればいいのか、そもそもわからない



相談したところで、会社は変わらないのでは?
サービス残業などで適切な賃金が支払われなかったり、パワハラやセクハラなどのハラスメントが改善されない場合、その会社が労働基準法に違反している疑いがあります。
そのような場合に相談や通報できる窓口が、いくつかあります。
ここでは、無料のサービスを中心に、労働法違反についての相談・通報先として6箇所の窓口を紹介します。
6つの相談先の比較|どこに相談すればいいか
相談先ごとにできることの範囲が違います。まず次の表で、自分の状況に合う窓口を絞り込んでください。
窓口は「話を聞いてほしい」のか「会社を動かしたい」のかで選び分けます。
→ 横にスクロールできます
| 相談先 | 費用 | できること | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 労働基準監督署 | 無料 | 立ち入り調査、是正勧告 | 賃金の未払い、違法な長時間労働など労働基準法違反がある |
| 総合労働相談コーナー | 無料 | 助言・指導、あっせんの案内 | ハラスメント、いじめ、退職をめぐるトラブル |
| 労働相談ホットライン | 無料 | 解決方法についての助言 | どう動けばよいかをまず整理したい |
| こころの耳電話相談 | 無料 | カウンセラーによる相談 | 心身の不調がつらい、まず話を聞いてほしい |
| 労働組合 | 組合により異なる | 団体交渉で会社と直接やり取り | 会社に動いてほしい、自分では話したくない |
| 弁護士 | 有料(相談は30分5,000円程度が目安) | 慰謝料や未払い賃金の請求、訴訟の代理 | 金銭を請求したい、訴訟を考えている |
労働問題の相談先6つの比較
- 行政:法違反の是正を求める
- 労働組合:会社と交渉する
- 弁護士:法的手続きまで進める



よくある行き違いが、ハラスメントを労働基準監督署に相談してしまうことです。労基署が扱うのは労働基準法違反が中心で、ハラスメントは同じ労働局内の総合労働相談コーナーが窓口になります。
迷ったときの選び方
次の順番で考えると、相談先が決まりやすくなります。
- 賃金が支払われていない、法定の上限を超えて働かされている → まず労働基準監督署
- ハラスメントを受けている、退職させてもらえない → 総合労働相談コーナー
- 心身の不調が出ている → こころの耳電話相談と、あわせて医療機関の受診
- 会社に直接動いてほしい、自分では話したくない → 労働組合
- 慰謝料や未払い分を請求したい → 弁護士
どの窓口も、証拠となる資料がそろっているほど動いてもらいやすくなります。相談の前に、給与明細、勤怠の記録、やり取りのメールなどを手元にまとめておいてください。
- 証拠を用意しないまま、口頭の説明だけで相談する
- 窓口のできる範囲を確かめず、期待だけで相談する
- 社内の窓口だけに相談し、対応されないまま我慢する



相談先は一つではありません。目的で選び分けてください。
労働基準監督署
- 賃金や残業代が支払われない
- 労働時間が法定を超えている
- 有給を取らせてもらえない
労働基準監督署は、企業が労働関係の法律をきちんと守っているかどうかを監視する機関です。
自分の会社が労働基準法に違反している疑いがあるとき、無料で労働基準監督署に相談することができます。
労働者から相談を受けた労働基準監督署は、労働者に詳しい事情を聞いて、場合によっては会社への立ち入り調査をすることもあります。
もしも会社が労働基準法に違反していることが認定された場合、労働基準監督署は会社に対して指導や改善命令を出すことがあります。
労働基準監督署に相談をするときには、会社が労働基準法に違反している疑いのある事実を証拠として集め、資料を準備しておくとよいでしょう。
労働基準監督署に相談したとしても、必ずしも満足な対応がなされるとは限りませんが、会社に対する抑止力にはなるでしょう。



法律違反がはっきりしているなら、まずここです。
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーでは、労働問題についてのさまざまな相談に乗ってくれます。
会社が労働基準法に違反している疑いがある場合は、労働基準監督署に取り次いでもらえることもあります。
総合労働相談コーナーでは、労働問題について紛争の当事者の間にあっせん委員が介入し、問題解決をはかることもあります。
ひとつ注意なのは、このあっせんに関しては法的効力がないことです。そのため、総合労働相談コーナーで問題の解決がされない場合には、弁護士に相談して裁判などをする必要があります。



何が問題か整理したい段階なら、ここが向いています。
労働相談ホットライン
労働相談ホットラインは、全労連(全国労働組合総連合)が運営している労働問題に関する相談窓口です。
全労連は労働者の権利を守るために設立された機関で、全国の労働組合を統括する役割があります。
労働相談ホットラインには労働問題に関する幅広い相談をすることができます。問題解決のために、どのような方法を用いればよいかを教えてくれます。
ただし、労働相談ホットラインでは相談に対するアドバイスをもらうことはできますが、問題の解決をはかってくれたり介入をすることはありません。
そのため、あくまでも問題解決は自分自身で行う必要があります。
働く人の「こころの耳電話相談」
ブラックな職場環境で心身に大きなストレスを抱えている場合など、とりあえず話を聞いてほしい場合に相談する窓口として、働く人の「こころの耳電話相談」があります。
働く人の「こころの耳電話相談」は厚生労働省が運営している窓口なので、当然無料で相談できます。
相談員は訓練を受けたカウンセラーなので、安心して相談できるでしょう。
この窓口では、職場の人間関係や自身のメンタルヘルスの相談の他、過度な労働に関する相談もできます。
また、ストレスの度合いをチェックしたり、自分が受けているストレスがどの程度のものなのかも知らせてくれます。
とはいえ、この窓口では実際の医療的なアドバイスを受けることはできないため、医療行為を希望する場合には心療内科などを受診する必要があります。



電話で気軽に聞けるのが利点です。
労働組合
- 会社と直接交渉する
- 有給や退職日を調整する
- 未払い分の支払いを求める
労働条件などについて会社と話し合いたい時に、会社の労働組合の窓口で相談することができます。
労働組合に相談できる内容は、サービス残業、パワハラ・セクハラ、不当な解雇など労働基準法違反に関することから、法令違反にはあたらないようなことまで、幅広く可能です。
職場で直面している問題に関し、労働組合を通して直接交渉をしてもらい、問題解決に向けるともできます。
ただし、交渉はあくまでも話し合いですので、問題が解決するとは限りません。問題が解決しない場合は、他の窓口などに相談することになります。
労働組合には、会社の中にある組合(企業内労働組合)だけでなく、誰でも個人で加入できる組合(合同労組・ユニオン)もあります。勤め先に組合がない場合や、組合が機能していない場合でも利用できます。
労働組合の強みは、憲法28条で保障された団体交渉権を持っている点です。会社は正当な理由なく団体交渉を拒むことができません(労働組合法7条)。助言にとどまる窓口との違いはここにあります。



「相談したけれど何も変わらなかった」という方の多くは、助言までしかできない窓口に相談されています。会社に直接働きかけてほしい場合は、交渉できる相手を選ぶ必要があります。
弁護士
- 損害賠償を請求されている
- 不当解雇を争う
- 訴訟や労働審判を見据えている
相談窓口への相談などでも問題の解決が難しい場合、弁護士に相談することが考えられます。
弁護士への相談は、法律の観点から適切なアドバイスを受けられますし、問題解決までの道筋も明確に見えてくることでしょう。
会社側も、弁護士が話し相手になると、態度もやわらいで問題解決が容易になる場合もあります。
弁護士に依頼し代理人になってもらうことで、会社と直接交渉をしてもらえたり、場合によっては訴訟の手続きをしてもらえます。
会社と直接やり取りせずに辞めたいときは
- 退職の意思を伝える
- 有給消化や退職日の交渉
- 離職票など必要書類の請求
相談窓口を回っても状況が変わらず、心身が限界に近いのであれば、退職は逃げではなく身を守る手段です。ただ、問題のある会社ほど、退職を切り出したときに引き止めや責め立てが起きやすいのも事実です。
退職代行ローキは労働組合が運営しているため、団体交渉権にもとづいて会社と直接やり取りができます。あなたが会社へ行ったり、上司と話したりする必要はありません。
料金は19,800円(税込)で、内訳は組合加入費2,800円+組合費17,000円です。追加料金は原則不要です(※振込手数料やコンビニ後払いの手数料4,000円などを除きます)。相談はLINEか電話でできます。※LINEの相談は24時間受け付けていますが、会社への連絡は年中無休8時から18時までです。終業時間間際は担当者が不在のことが多く、翌日に折り返しとなる場合があるためです。
相談したうえで、辞めると決めた場合はそこから代われます。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接やり取りします。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。



退職の連絡だけでなく、有給休暇の消化や離職票などの書類のやり取りも、私たちが会社との間に入ってお伝えします。あなたが上司と話す必要はありません。
よくある質問(FAQ)
労働基準監督署に相談すれば、必ず会社を調査してくれますか?
必ずではありません。労働基準法違反の疑いが具体的に示されているほど動いてもらいやすくなります。給与明細や勤怠の記録など、証拠となる資料をそろえて相談してください。
相談したことが会社に知られますか?
申告者が誰かを会社に明かさないよう取り扱われます。ただし内容から特定されやすい場合もあるため、不安があれば相談時にその旨を伝えてください。
ハラスメントは労働基準監督署では扱ってもらえないのですか?
労働基準監督署が扱うのは主に労働基準法違反です。ハラスメントは同じ都道府県労働局内の総合労働相談コーナーが窓口になります。同じ建物内にあることが多く、取り次いでもらえる場合もあります。
あっせんには法的な強制力がありますか?
ありません。あっせんは話し合いによる解決を目指す手続きで、会社が応じない場合は打ち切りになります。その場合は労働審判や訴訟を検討することになります。
会社に労働組合がありません。相談できますか?
できます。個人で加入できる労働組合(合同労組・ユニオン)があります。勤め先に組合がなくても、加入すれば団体交渉を通じて会社とやり取りできます。
相談は無料ですか?
労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働相談ホットライン、こころの耳電話相談はいずれも無料です。弁護士は有料で、法テラスの制度を使える場合もあります。労働組合は組合によって異なります。
参考情報・出典
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。





