- 看護師など医療・福祉は精神障害の労災請求・認定とも全業種で最多
- 認定の分かれ目は「上司とのトラブル」か「パワハラ」かの当てはめ
- 労災申請は会社の協力なしでもでき、退職後でも請求できる

師長の叱責で適応障害に。これって労災になるの?



休職中に辞めたい。労災申請と退職、どっちが先?
2026年9月3日の共同通信の報道によると、厚生労働省が10月に閣議決定を予定している2026年版「過労死等防止対策白書」の案がまとまり、精神障害の労災認定事案を分析した結果、特に医療業界の件数が大幅に増えていると指摘されているとのことです。認定の要因では「上司とのトラブル」が目立って増えているとされています。
夜勤明けにナースステーションで立ったまま動けなくなった経験が、一度でもある方に向けて書いています。看護師・介護職・医療事務など医療と福祉の現場で心を病んだとき、それは労災として認められるのか。認められる条件と申請の順番、休職から退職に進むときの注意点を、労働組合の立場から整理します。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。白書は案の段階であり、閣議決定後に内容が変わる可能性があります。
何が起きたか|医療・福祉の精神障害労災は請求も認定も全業種で最多
白書案の分析対象は2012年度から2023年度までの精神障害の労災認定事案で、医療業界の件数が大幅に増加したこと、認定事案の要因として対人関係、とくに上司とのトラブルが顕著に増えたことが報じられています。白書案は、人手不足の解消と職場のメンタルヘルス対策の強化が必要だと強調しているとのことです。
この報道の裏付けになるのが、厚生労働省が2026年7月15日に公表した2025年度(令和7年度)の「過労死等の労災補償状況」です。精神障害の労災請求は4,958件で前年度から1,178件増え、支給決定(労災と認められた件数)は1,082件でした。業種別では「医療、福祉」が請求1,288件・支給決定292件でどちらも最多です。
| 2025年度・精神障害の労災 | 請求件数 | 支給決定 |
|---|---|---|
| 全業種の合計 | 4,958件 | 1,082件 |
| 医療、福祉(業種別1位) | 1,288件 | 292件 |
| うち社会保険・社会福祉・介護事業 | 706件 | 151件 |
| うち医療業 | 578件 | 139件 |
| 保健師・助産師・看護師(職種別2位) | 369件 | 105件 |
| 介護サービス職業従事者(職種別3位) | 296件 | 68件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」(2026年7月15日公表)別添資料2をもとに作成。
職種別で見ると、看護師は事務職に次いで2番目に多く、労災と認められた件数も105件で2位です。医療の現場で心を病むことは、個人の弱さではなく、統計上も業界全体の問題として現れています。
なお、支給決定件数を決定件数(3,839件)で割った認定率は約28%です。請求した人の7割以上が労災と認められていない計算になります。認められるかどうかは、次に説明する3つの要件と、出来事の当てはめ方で決まります。



看護師の請求が多いのは、それだけ限界まで頑張る人が多い職場だからです。
精神疾患が労災と認められる3つの要件
精神障害が労災と認められるには、厚生労働省の認定基準にもとづく3つの要件をすべて満たす必要があります。1つ目は認定基準の対象となる精神障害を発病していること、2つ目は発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること、3つ目は業務以外の心理的負荷や本人側の要因によって発病したとはいえないことです。
- うつ病・適応障害など対象の精神障害と診断されている
- 発病前おおむね6か月に、仕事による「強い」心理的負荷があった
- 家庭の事情や持病など、仕事以外が主な原因とはいえない
対象になる病気は?適応障害も含まれる?
含まれます。対象となるのは、国際的な疾病分類(ICD-10)で気分障害や神経症性障害などに分類される病気で、うつ病、適応障害、急性ストレス反応、パニック障害などが該当します。医療の現場で多い「適応障害」の診断も対象です。一方で、認知症やアルコール依存症など、仕事の心理的負荷とは別の原因で起きる病気は対象外とされています。
「強い心理的負荷」はどうやって判定される?
労働基準監督署が、発病前6か月に起きた出来事を認定基準の「心理的負荷評価表」に当てはめ、強・中・弱の3段階で評価します。この評価が「強」になったときだけ、2つ目の要件を満たします。評価は本人の言い分だけでなく、会社側の説明や同僚の証言、勤務記録もあわせて調べられます。判定するのは主治医ではなく監督署です。
長時間労働は単独でも「強」になります。発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働があれば「特別な出来事」として、それだけで強い負荷と扱われます。また、発病前2か月連続で月120時間以上、または3か月連続で月100時間以上の時間外労働も「強」です。ほかの出来事と月100時間程度の残業が重なった場合も、全体として「強」と評価されることがあります。
「上司とのトラブル」と「パワハラ」は何が違う?
ここが認定を左右する最大の分かれ目です。同じ「上司との関係で病んだ」ケースでも、評価表のどの出来事に当てはめるかで結果が大きく変わります。2025年度の統計では、「上司とのトラブルがあった」として決定された1,061件のうち労災と認められたのは36件で、割合は約3%でした。一方、「上司等からパワーハラスメントを受けた」は決定403件のうち222件が認められ、割合は約55%です。
| 出来事の類型(2025年度) | 決定件数 | 支給決定 |
|---|---|---|
| 上司等からパワーハラスメントを受けた | 403件 | 222件 |
| 上司とのトラブルがあった | 1,061件 | 36件 |
| 顧客・施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた | 240件 | 127件 |
| 悲惨な事故や災害の体験・目撃をした | 164件 | 110件 |
| 仕事内容・仕事量の大きな変化があった | 353件 | 113件 |
| 退職を強要された | 61件 | 11件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」別添資料2 表2-8をもとに作成。決定件数には前年度以前の請求分を含みます。
「上司とのトラブル」は、業務上の意見の対立や叱責を指す類型で、単発なら心理的負荷は「中」と評価されるのが原則です。これに対してパワハラは、優越的な立場を背景にした人格否定や、業務上必要な範囲を超えた叱責、恐怖を与える言動を指し、これが継続していれば「強」と評価されます。白書案が「上司とのトラブル」の増加を指摘しているのは、それだけ多くの人が上司との関係で病んでいる一方で、多くが「中」止まりで認められていない現実の裏返しでもあります。
申請のときに「上司と合わなかった」と書くか、「いつ・どこで・誰が・何を言ったか」を具体的に書いてパワハラとして評価してもらうかで、結果は変わります。記録の有無が、ここで効いてきます。



「合わなかった」で終わらせず、何をされたかを言葉にできるかが分かれ目です。
看護師・医療職に多い4つの場面を認定基準に当てはめると
相談の現場で医療・福祉の方からよく聞く場面を、認定基準の出来事に当てはめてみます。どの場面も、記録が残っているかどうかで評価が変わります。
師長・先輩からの叱責や無視
患者の前で人格を否定する言葉を繰り返し浴びせられる、申し送りで意図的に無視される、ミスを理由に長時間立たされて詰められる。これらはパワハラの6類型でいう精神的な攻撃や人間関係からの切り離しに当たり、継続していれば「強」と評価される可能性があります。逆に、業務上必要な指導が一度きつく行われただけでは「中」にとどまります。日時、場所、発言内容、その場にいた人を、その日のうちにメモしてください。
夜勤・人手不足による長時間労働
欠員の穴埋めで夜勤が続き、前残業や記録の持ち帰りを含めると時間外労働が月100時間を超えている。こうした状況は、ほかの出来事と重なれば「強」の評価につながります。医療の現場では、始業前の情報収集や委員会、勉強会が労働時間に数えられていないことが多く、実際の時間外はタイムカードより長いのが普通です。電子カルテのログイン記録、ナースコールの対応記録、勤務表の変更履歴が証拠になります。
患者・家族からの暴言や暴力(カスハラ)
2023年9月の改正で、施設利用者やその家族からの著しい迷惑行為が出来事として明記されました。2025年度はこの類型で240件が決定され、127件が認められています。暴言や威圧が繰り返され、施設が対応しなかった場合は「強」と評価されます。インシデント報告書や上司への相談記録が、会社側の対応の有無を示す材料になります。
急変・事故・インシデント後の対応
受け持ち患者の急変や死亡に立ち会った、重大なインシデントの当事者になり責任を問われた。こうした出来事は「悲惨な事故や災害の体験・目撃」や「会社で起きた事故について責任を問われた」に当たります。2025年度は前者で110件が認められています。出来事の直後に体調を崩し、受診した時期が近いほど、業務との関連が説明しやすくなります。
- 叱責や暴言の日時・場所・発言内容・同席者のメモ(当日中に)
- 勤務表・電子カルテのログ・持ち帰り業務の記録など労働時間の証拠
- 上司や相談窓口に相談した日付と、その後の対応の有無
- 受診日・診断名・主治医に伝えた職場の状況
証拠の集め方の基本はパワハラの証拠の集め方のポイントを詳しく解説で、パワハラの6類型と具体例はパワハラの定義は?パワハラに当てはまる例を紹介でまとめています。



医療の「当たり前」が、認定基準では「強い負荷」に数えられることは珍しくありません。
労災申請の手順|会社が協力してくれなくても請求できる?
できます。労災の請求は労働者本人の権利で、勤務先の労働基準監督署に本人が直接提出します。会社の証明欄に協力してもらえない場合でも、監督署はその事情を添えれば請求を受け付けます。会社が「うちは労災にならない」と言っても、判断するのは会社ではなく監督署です。
誰に、何を出す?
治療費については療養補償給付、休んで賃金が出ない期間については休業補償給付を請求します。労災指定の医療機関で受診している場合は治療費の請求書を病院経由で出し、休業分は監督署に直接出すのが基本です。用紙は厚生労働省の労災保険給付関係請求書等ダウンロードから入手できます。主治医には、いつからどんな症状があり、職場で何があったかを診察のたびに伝えておくと、意見書の内容が具体的になります。
提出後は監督署が本人と会社の双方から聞き取りを行い、必要に応じて同僚にも確認します。精神障害の事案は調査に時間がかかり、結果が出るまで半年以上かかることも珍しくありません。その間の生活費は、次の傷病手当金でつなぐ方法があります。
傷病手当金と労災は両方もらえる?
同じ病気で両方を受け取ることはできません。傷病手当金は健康保険の制度で、業務外の病気やケガで働けないときに標準報酬日額の3分の2が支給されます。労災の休業補償は業務上の病気が対象で、給付基礎日額の8割(特別支給金を含む)です。労災の結果を待つ間に傷病手当金を受け取り、労災と認められた時点で精算する、という運用は一般的に行われています。まず生活を止めないことが先です。
退職代行ローキでは、退職代行とは別に傷病手当サポートも行っています。休職中の生活費の見通しが立たない方は、退職の相談とあわせてお聞かせください。
- 会社に「労災は無理」と言われて申請自体をあきらめる
- 出来事を「人間関係がつらかった」とだけ書いて具体性がない
- 受診が遅れ、発病時期と出来事の時期が離れてしまう



労災かどうかを決めるのは会社ではありません。申請する権利はあなたにあります。
休職から退職を考えているとき、労災申請と退職はどちらが先?
順番に決まりはなく、退職してからでも労災は請求できます。労災保険の給付は退職によって変更されないと法律で定められており、在職中に発病した精神障害であれば、退職後に申請しても在職中の出来事をもとに審査されます。「辞めたら労災はもらえない」という説明は誤りです。
ただし、退職を先にすると証拠が集めにくくなるのは事実です。勤務表や電子カルテの記録は退職後にアクセスできなくなります。休職中であれば、記録の写しを取り、相談した経緯を整理してから退職の手続きに入るのが安全な順番です。体調が許さない場合は、記録の確保だけ先に済ませてください。
- 「労災を申請するなら退職してもらう」と言われて応じる(申請は労働者の権利で、会社の同意は要りません)
- 師長から求められるまま「一身上の都合」の退職届を出してしまう
- 有給休暇を残したまま、休職期間満了で退職扱いにされる
- 職場に戻れないまま自分で何度も電話し、そのたびに体調を崩す
退職理由も大切です。パワハラや長時間労働が原因で辞める場合、離職票の理由によって失業給付の開始時期や給付日数が変わります。会社が「自己都合」と書いても、ハローワークに事情と証拠を示せば判断が変わることがあります。この点は自己都合退職でも7日で失業保険?最新制度で精神的に辛いあなたも安心して退職代行が利用できますで解説しています。休職中に上司から退職を迫られたときの対処は退職代行と休職:上司に「退職しろ」と言われたときの正しい対処法は?をご覧ください。



順番より大事なのは、記録を手元に残してから動くことです。
病んだまま会社と話せない医療職に、労働組合ができること
先にお伝えすると、労災の不支給決定に対する不服申立て(審査請求)や、会社に対する安全配慮義務違反の損害賠償請求は、弁護士に相談するのが適切です。労働組合には訴訟の代理はできません。労災の請求そのものも、上で説明したとおり本人が監督署に出す手続きです。そのうえで、「休職中に退職の話を自分で進める気力がない」「師長と話すだけで動悸がする」という方には、労働組合が運営する退職代行が選択肢になります。
退職代行ローキは、労働委員会の資格審査を経た労働組合「労働基準調査組合」が運営しており、会社と交渉する権限を持っています(※)。退職の意思を伝えるだけでなく、退職日の調整、残っている有給休暇の消化、未払いになっている前残業や持ち帰り業務の賃金請求、離職票などの退職書類の請求まで、あなたが職場と直接やり取りしないまま進められます。医療の現場では「人が足りないから辞めさせられない」という引き止めが強く出ますが、その交渉も組合が引き受けます。
料金は19,800円(税込)で、組合加入費2,800円と組合費17,000円の内訳です。追加料金は原則かかりません(※振込手数料や後払い手数料などを除きます)。退職したことを理由に会社から損害賠償請求や懲戒解雇処分を受けた場合には、顧問弁護士が追加料金なしで撤回交渉を行います。ただし、故意による損害や横領など、退職とは無関係な請求は対象外です。相談はLINEで24時間受け付けており、看護師の方からのご相談は看護師を辞めるにあたって退職代行を使うことは出来ますか?でも詳しく答えています。
- 労働組合の交渉権で退職日・有給消化・未払い賃金・退職書類を交渉
- 19,800円(税込)のみ。追加料金は原則不要
- 退職に対する損害賠償請求・懲戒解雇には弁護士が追加料金なしで対応
- 傷病手当サポートと、退職後の進路相談(キャリアバディとの提携)



限界の人ほど自分で全部やろうとします。交渉は代わりにできます。
よくある質問(FAQ)
看護師のうつ病や適応障害は労災になりますか?
条件を満たせばなります。対象の精神障害と診断され、発病前おおむね6か月に仕事による強い心理的負荷があり、仕事以外が主な原因でないことが要件です。2025年度は保健師・助産師・看護師の職種で105件が労災と認められ、職種別で2番目に多い数です。
上司との関係が原因ですが、認められにくいと聞きました。本当ですか?
当てはめ方によります。「上司とのトラブル」という類型は単発なら心理的負荷「中」で、2025年度に認められたのは決定1,061件のうち36件でした。一方、人格否定や必要な範囲を超えた叱責が続いていれば「パワハラ」として「強」と評価され、同年度は403件中222件が認められています。日時と発言内容の記録が鍵です。
病院が労災の書類に協力してくれません。申請できますか?
できます。労災の請求は本人の権利で、労働基準監督署に直接提出します。会社の証明欄が空欄でも、協力が得られない事情を伝えれば監督署は受け付けます。労災かどうかを判断するのは会社ではなく監督署です。
退職してからでも労災は申請できますか?
できます。労災保険の給付を受ける権利は退職によって変わりません。在職中に発病していれば、退職後の申請でも在職中の出来事をもとに審査されます。ただし療養補償・休業補償の時効は2年なので、早めに動いてください。退職前に勤務記録などの写しを確保しておくと、後の立証が楽になります。
休職中で、もう職場と話すのが無理です。退職代行で何ができますか?
労働組合が運営する退職代行なら、退職の意思の伝達に加えて、退職日・有給消化・未払い賃金・退職書類の請求を組合が会社と交渉します。あなたが職場と直接やり取りする必要はありません。労災の申請自体は本人が監督署に行う手続きですが、退職に関する交渉は組合が引き受けます。
まとめ|病んだ原因を「自分」に置かず、記録と制度で守る
- 2025年度の精神障害労災は医療・福祉が請求1,288件・認定292件で最多
- 認定の要件は「対象疾病」「6か月内の強い負荷」「仕事以外が主因でない」の3つ
- 「上司とのトラブル」は約3%、「パワハラ」は約55%が認定。具体的な記録が分かれ目
- 労災は会社の協力なしでも、退職後でも請求できる。時効は2年
白書案が示しているのは、医療の現場で心を病む人が増え続けているという事実と、その多くが上司との関係に起因しているという傾向です。人手不足の職場で自分だけが弱いのだと責めてしまう方が多いのですが、統計は逆のことを言っています。
判断の軸は「いま職場に戻れるか」ではなく「記録を残したうえで、自分の回復を優先できる形になっているか」です。労災の申請も、休職も、退職も、どれかを選べば他が消えるものではありません。証拠を確保し、生活費の制度を使い、体を立て直す。この順番であれば、無理に高い選択肢を取らずに済みます。
休職中に職場とのやり取りだけが苦痛で前に進めないなら、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。退職日の調整から有給消化、未払い賃金や退職書類の請求まで、あなたに代わって会社と向き合います。相談は無料で、LINEなら24時間受け付けています。



回復に専念していい。職場との交渉は、代わりに引き受けられる仕事です。
「労災になりそうか」「休職中だけど辞められるか」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。
参考情報・出典
・共同通信「過労死白書案、医療で精神障害の労災認定が大幅増」(2026年9月3日・Yahoo!ニュース配信)
・厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」(2026年7月15日)
・厚生労働省 同 別添資料2「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」
・厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」(2023年9月)
・厚生労働省リーフレット「精神障害の労災認定」
・厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」
・e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」/「労働基準法」(19条)
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」/働く人の「こころの耳電話相談」
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。









