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ぱやぱやくんの「ゆるくてもいいんだよ」

「前例がないからダメ」と言われたら?ぱやぱやくんが教える反対意見を味方につける心の持ち方

  • 2024.12.08
  • 2024.12.08
「前例がないからダメ」と言われたら?ぱやぱやくんが教える反対意見を味方につける心の持ち方

会社にいると、ベテランと若手とで意見がぶつかることはよくありますよね。

今回は、ベテラン社員への対応に困っている読者の方からの相談に答えていきます。

 

読者からの相談

入社5年目の営業職です。

新規プロジェクトの企画会議で困っています。20年以上のベテラン社員がいるのですが、若手からの新しい提案に対して必ず「前例がない」「今までそんなやり方はしていない」と真っ向から否定してきます。


先日も、オンラインを活用した商談スタイルを提案したところ、「対面でないと失礼」と一蹴されました。他のメンバーも賛同してくれていたのに、この一言で議論が止まってしまいます。

チームの空気も徐々に重くなり、若手からの提案も減ってきました。

ベテランの経験も大切にしながら、新しいアイデアも取り入れられる、健全な議論の場をつくるにはどうすればよいでしょうか?

 

 

提案を否定されるとどう感じるか





「前例がないからダメ」
「今までそんなやり方はしていない」


この手の言葉を何度も浴びせられると、気持ちはどんどん暗くなって当たり前です。


そもそも、とんでもない提案をしたわけじゃありません。みんなのためになると信じて、一生懸命考えた提案を「そんな前例はない」の一言で、アイデアが即座に否定されたら、やる気がなくなって当たり前です。

私は会社員時代に書面の新しい保管方法を提案したことがあります。

当時の業務書類はわざわざ印刷をしてファイルに入れており、かさばって整理をするのが大変でした。そこでクラウドのデータを使うことを提案したのですが、見事に次の一言で一蹴されました。


「今までこれでやってきたんだから、変える必要はない」

その瞬間に部屋の空気が変わり、私の発言はなかったかのようになりました。まるで空気を読めない若手社員が迷惑な発言をしたかのような気まず〜い雰囲気です。

その後、私は徐々に会議での発言が減っていきました。

良いアイデアがあっても「どうせ否定されるんだろうな」と考えるようになったからです。優秀な先輩や同期も「言っても仕方ない」と黙り込むようになりました。


そうなると会議は「ベテラン社員の独り言を黙って聞く場」と化していきます。

若手からの新しい意見は出なくなり、チームの空気はどんどん重くなります。「この部署からさっさと異動したい」とさえ考えるようになりました。


おそらく社会人であれば、誰しもがこんな経験をしていると思います。 せっかくの提案を否定され続けると萎えますよね。

「私の意見なんて価値がないのかも...」
「黙っていた方が楽だ」
「この部署にいても成長できない」


ただ、ここで諦めてはいけません。

なぜなら、「前例がないからダメ」と言う人は、実は大きな不安を抱えているからです。


その不安の正体と対処法については後ほど詳しくお伝えしますが、まず覚えておいてほしいことがあります。それは「否定されるのは、あなたの能力が低いからではない」ということです。

むしろ新しい提案ができるあなたは、組織にとって大切な存在なのです。

提案を続けられる勇気は、組織を変える大きな力になります。

ベテランはなぜ頑なに否定するのか




では、なぜベテランは新しい提案を頑なに否定するのでしょうか。

「前例がない」という言葉には、実は深いワケがあります。


私は防大と自衛隊で「変化を拒む力」の強さを目の当たりにしてきました。上述した管理方法を変えようとした時の出来事はその一例です。

ベテラン上司は「今のやり方で何十年もやってきた」と言い、私の提案にまったく耳を貸しませんでした。当時は「なんて頑固なんだ」と思いましたが、今思えばその社員は「変化」に対する大きな不安を抱えていたのでしょう。

ベテランが新しい提案に抵抗する理由は、実は「弱さ」にあります。

まず「変化への不安」です。

長年培ってきたやり方を変えることは、ベテランにとって大きなストレスです。新しいやり方に適応できるか、若手についていけるのか、そんな不安が心の中にあるのです。


次に「自分の経験が否定される恐れ」です。

今までのやり方を変えることは、「今までの自分たちのやり方は間違っていた」と受け取られかねません。長年の努力と経験を全否定されるような気持ちになるのです。


そして「自己防衛本能」です。

自分の立場や価値が脅かされると感じると、人は本能的に防衛的になります。「前例がない」という否定は、まさに自己防衛の表れなのです。


自衛隊時代の同期に優秀な幹部自衛官がいましたが、彼は新しい訓練方法を提案するたびに古参隊員から「やる意味がわからない」とさんざん言われ、最終的に「自分には合わない」と退職してしまいました。いま思ってみれば「彼ももう少し上手く提案すればよかったのに」と思うところがあります。

しかし、ベテランを一方的に悪者にするのは違います。むしろ「弱さ」から来る反応だと理解することで、対話の糸口が見えてきます。

例えば、私が陸上自衛隊時代に所属していた部隊のある曹長は、最初は新しい提案に難色を示していました。

でも「〇〇曹長の経験を活かしながら、ここだけ変えてみませんか?」と提案すると、少しずつ耳を傾けてくれるようになりました。


つまりベテランの「弱さ」を理解し、その経験を活かす形で提案することが大切なのです。

この経験から私が学んだことは、新しい提案をする時は次の3つを意識するということです。

まず「相手の経験を否定しない」こと。

次に「小さな変更から始める」こと。

そして「具体的なメリットを示す」こと。

決して簡単なことではありませんが、まずはベテランの気持ちを理解することから始めてみましょう。

お互いを認め合う議論のコツ




今までの経験も新しいアイデアも、どちらも大切な宝物です。

では、どうすれば両方を活かした議論ができるのでしょうか。

私が思うに「相手の経験を活かす提案」が大切だということです。


例えば「オンライン商談を提案する」なら、

「〇〇さんの商談での経験は素晴らしいと思います。その技術をオンラインでも活かせば、より多くのお客様に届けられるのではないでしょうか?」

という言い方です。


次に大切なのが「褒める・認める」です。

ビジネス書などには「相手の良いところ3つ以上を認めてから意見を言え」とよく書いてありますが、これはコミュニケーションの基本だと私は思います。

「〇〇さんの商談力は本当にすごいです。お客様との信頼関係の築き方、ニーズの引き出し方、提案の組み立て方、どれも勉強になります」

こう言われたら、誰だって心を開きやすくなります。まずは相手の良さを心から認める。それが対話の第一歩なのです。

そして最後が「徐々に変化を促す」です。

私の会社員時代の話に戻りますが、最初はどんな提案も「前例がない」の一点張り。でも若手社員たちが改めて「まず1回だけ書面のクラウド化を試させてください」と提案したところ、意外にもOKが出ました。

その実験が成功して、少しずつ新しいやり方が認められるようになりました。


このように、いきなり大きな変更を求めるのではなく、小さな実験から始めることが大切です。成功体験を積み重ねることで、自然と変化への抵抗も減っていきます。

具体的な例を挙げると、

「今週1件だけでもオンライン商談を試してみませんか? もし上手くいかなければ、すぐに元に戻します」

「〇〇さんのノウハウを活かしながら、新しい方法も少しずつ取り入れていけたらと思います」

「まずは簡単な商談から試してみて、課題を洗い出していきましょう」

こんな風に、少しずつ変化を促していくのです。

ここで一番大切なのは「否定しない」ということ。

「今までのやり方は古い」とか「そんなやり方じゃダメです」という言葉は、絶対に使わないようにしましょう。


お互いの経験と知恵を認め合い、少しずつ前に進んでいく。 そんな議論ができれば、必ずチームは成長していきます。

あなたの提案は決して間違っていません。

でも、相手の経験も同じように価値があるのです。

両方を活かしながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

前に進むために




「前例がない」という言葉で否定され続けると、どうしても自分を責めてしまいがちです。

「私の提案力が足りないのかも...」
「空気が読めていないのかな...」
「もう黙っていた方がいいのかも...」


私も自衛隊時代、同じような気持ちを抱えていました。新しい訓練方法を提案するたび否定され、「やっぱり自分には向いてないのかな」と落ち込んだこともあります。

でも、ある中隊長からこんな言葉を教わりました。

「新しいことを提案する人は、その分だけダメ出しも多く受ける。でも、提案し続ける人がいるから組織は進化するんだ」

この言葉で私は気づいたのです。

提案を否定されるのは、決して自分が未熟だからじゃない。

むしろ、変化を恐れる組織の方に課題があるのだと。


大切なのは自分を責めないこと。そして、小さな成功を積み重ねていくことです。

私の所属していた部隊では、装備品の管理方法を少しずつ変えていきました。

最初は「これだけ試してみませんか?」と小さな提案から。

それが上手くいくと、次は「あの部分も変えてみましょう」と。

そうやって一つずつ成功事例を作っていったのです。


最初は否定的だった古参隊員も、目に見える成果が出てくると「次は何をやってみる?」と前向きになってきました。小さな変化が、大きなうねりを生み出したのです。

組織を変えるのは、一朝一夕にはいきません。

でも、あなたのような「新しい風」を吹き込む人がいるからこそ、チームは成長できるのです。


今まで誰も変えられなかったからこそ、あなたが変える意味がある。そう思って一歩ずつ前に進んでいってください。

最後に私から3つのアドバイスをさせてください。

まず、失敗を恐れないこと。

失敗は当たり前、むしろ成長の糧です。 失敗を恐れすぎると何も始められません。


次に、小さな成功にこだわること。

大きな変革は小さな成功の積み重ねから生まれます。 いきなり大きな変化を求めず、一つずつ実績を作っていきましょう。


そして、チームの成長を信じること。

どんな組織でも、必ず変われる可能性を持っています。 あきらめずに、粘り強く働きかけ続けることです。


今は大変かもしれません。でも、こう考えてみてください。

あなたが今、種を蒔いているのだと。 その種は必ず芽を出し、やがて大きな木に育つはずです。


前例のない提案をする勇気を持ったあなたは、きっと素晴らしい変化を起こせる人なのです。

自分を信じて、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

本日のコラムはここまでです。 それではまた次回!

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コラム編集者

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著者プロフィール
ぱやぱやくん

防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に幹部自衛官として勤務をしていたが、退職後にのら猫になった男。文章を書く事が好き。「意識低い系」で、自分が主役になるのが嫌い。
ミリタリーよりも可愛いものが好き。名前の由来は、幹部候補生学校で教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。
【著書】陸上自衛隊ますらお日記/飯は食えるときに食っておく寝れるときは寝る/弱さを抱きしめて、生きていく/など

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