働くためを考える労働基準調査組合

ぱやぱやくんの「ゆるくてもいいんだよ」

ぱやぱやくんが教える「パワハラ上司から自分を守る方法」

  • 2025.02.02
  • 2025.02.02
ぱやぱやくんが教える「パワハラ上司から自分を守る方法」
こんにちは、ぱやぱやくんです。

今回は「パワハラ上司から自分を守る方法」についてお伝えします。

製造部で働く方から次のような質問をいただきました。

 

質問:

製造部で働く32歳です。

半年前に異動してきた上司からのパワハラに、精神的に追い詰められています。

「お前は無能だ」「こんなことも分からないのか」と大声で怒鳴られ、時には深夜まで執拗に説教されることも。

人事部には相談窓口があるものの、実際に相談した同僚が「問題児」として扱われ、最終的に退職したという話を聞いています。

かといって耐え続けるのも限界で、不眠や体調不良が続いている状態です。

家のローンもあり、簡単に転職もできません。この状況を、自分の身を守りながら改善できる方法はないでしょうか?

心が折れそうです。

 

パワハラ上司の本質


「お前は無能だ!」「こんなことも分からないのか!」と大声で怒鳴られる毎日。人前で説教され、深夜まで執拗に責められる。

そんな辛い状況に置かれている方も多いと思います。

パワハラをする上司は、決して「強い人」ではありません。むしろ、自分に自信がない人ほど攻撃的になる傾向があります。人は自分に余裕がないときほど攻撃的になるのです。

パワハラをする上司にも、実はいくつかのパターンがあります。

「自分に自信がない人」「余裕がない人」「共感性が低い人」です。

まず「自分に自信がない人」は、自分より下の立場の人がいないと不安で仕方ありません。

誰かを見下すことで、自分の存在価値を確認しているのです。

「お前は使えない」「こんなことも分からないのか」という言葉は、実は「自分はまだマシだ」と自分に言い聞かせているだけなのです。

次に「余裕がない人」は、上からのプレッシャーに耐えきれず、部下に八つ当たりをしています。

自分がストレスを受けると、誰かにストレスをぶつけたくなるものです。

最後に「共感性が低い人」は、相手の気持ちを考えることができません。

「自分が言っていることは正しい」と思い込んでいるため、相手の立場に立って考えることができないのです。この手のタイプは「指導している」と本気で思っているので厄介です。

ただし、こうしたパワハラをする上司の特徴を知ることは、あなたを守るための大切な情報になります。パワハラをする人は、意外とメンタルが弱いのです。

私が自衛隊で教わった「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということわざがありますが、パワハラ上司の特徴を理解することで、自分を守るための戦略が見えてきます。

相手の言動に一貫性がないことに気づけば、「この人の言うことが絶対的に正しいわけではない」と分かります。

重要なのは、パワハラは「あなたのせいではない」ということです。

相手の心の弱さや余裕のなさが原因なのです。だから、自分を責める必要は一切ありません。

このことを理解できれば、まずは、「自分が悪いからパワハラを受けている」という誤った考えから解放されるはずです。

自分を守るための防衛術





パワハラから身を守るためには、具体的な「防衛術」が必要です。

陸上自衛隊では「戦いの記録」を付けることが基本でした。パワハラと戦う時も同じです。

まず、日々の出来事を記録することから始めましょう。

記録は「事実のみ」を書き留めます。

例えば「2月1日15時30分、会議室で『お前は使えない』と怒鳴られた」といった具合です。感情は書かず、時間・場所・言動を淡々と記録していきます。

これには2つの意味があります。

1つ目は「自分を守るための証拠」になること。

2つ目は「事実を客観的に見られるようになる」ことです。

記録を付けることで、相手の理不尽な言動のパターンが見えてきます。そうすると「これは自分が悪いわけではない」と気づけるようになります。

次に大切なのは「味方を作る」ことです。

ただし、ここで気をつけてほしいのは、決して「パワハラの愚痴」を言わないことです。愚痴を言うと「問題のある社員」というレッテルを貼られかねません。

代わりに

「○○さん、この資料の作り方を教えていただけませんか?」

「△△さん、今度の案件について相談に乗っていただけませんか?」

という風に、仕事上の相談を持ちかけましょう。こうすることで自然と味方ができていきます。

ベテラン陸曹から聞いた話ですが、「問題のある上官」に対して部下たちは自然と助け合うようになるそうです。


「あの上官が来たら、さりげなく誰かが合流する」
「困っている人がいたら助ける」

といった具合に。組織の免疫力とでも言いましょうか。

最後に「心の距離の取り方」です。

パワハラ上司の言動に一々反応していては、心が持ちません。

ここで使えるのが「他人事モード」です。自分の気持ちを三人称で見るのです。

「彼は今、理不尽な叱責を受けている」
「彼女は今、我慢している」

というように。

これは米軍の特殊部隊でも使われている手法で、過酷な状況下での感情コントロールに効果があります。

自分の状況を客観視することで、感情的なダメージを和らげることができるのです。

また「面白い記録を取る」という工夫もあります。

理不尽な言動を「ネタ」として記録するのです。「今日の暴言ランキング3位は...」といった具合に。

もちろん、これは絶対に人には見せませんが、こういった工夫で心の余裕を作ることも大切です。

もう一つ、陸自で学んだ「敵は一日中、敵ではない」という考え方も役立ちます。

パワハラ上司も24時間ずっとパワハラをしているわけではありません。

その「パワハラをしていない時間」を見つけて、そこで必要な報告や相談を済ませるのです。

これらの防衛術は、一朝一夕には身につきません。

でも、少しずつでも実践していけば、必ず身を守ることができます。

まずは記録をつけることから始めてみてください。

 

将来に向けた準備



パワハラと闘いながら生き残るためには、「撤退」の準備も必要です。

陸上自衛隊では「撤退」と「敗走」は全く違うものとして扱われます。


撤退は「計画的な後退」であり、敗走は「無計画な逃走」です。ここでは、計画的な撤退の準備について解説していきます。

まず大切なのは「逃げ道を作る」ことです。

戦場でも、退路を確保しないで前進することは自殺行為とされています。会社も同じです。

今すぐ辞める予定がなくても、いつでも逃げられる準備はしておくべきです。

具体的には、まず「スキルの棚卸し」をすることです。

今の仕事で身についたスキル、過去の経験で活かせるスキルを書き出してみましょう。意外と「使える武器」を持っていることに気づくはずです。

次に「情報収集」です。

転職サイトをチェックしたり、SNSで同業他社の動向を見たりするのです。

ただし、会社のパソコンは絶対に使わないでください。自分のスマートフォンなどで見るようにしましょう。

経済的な準備も重要です。

パワハラ被害に遭っている質問者の方は「ローンがあるから辞められない」と思いがちですが、だからこそお金は計画的に貯める必要があります。

最低でも「半年分の生活費」を目安に貯金をしましょう。

給料が入ったら、まず貯金に回す金額を決めて引き落とし口座を作るのです。

私の経験上「残ったお金を貯金に回す」という方法は失敗します。先に貯金することが鉄則です。

一方で心の回復も忘れてはいけません。

陸上自衛隊では「アクティブレスト(積極的休養)」という言葉があります。ただ寝るだけが休養ではないのです。心を癒すための時間を意識的に作ることが大切です。

例えば、休日に好きな本を読む、映画を見る、散歩に行くなど。

お金をかけなくても、心を休ませる方法はたくさんあります。私は休日に「今日は何もしない日」と決めて、布団でゴロゴロすることもあります。

こうした準備をしていると「いつでも辞められる」という安心感が生まれます。その安心感があるだけで、不当な要求を拒否する勇気も出てくるものです。

ただし、もし体調の不調が続くようであれば、我慢は禁物です。体力や精神力は、一度限界を超えてしまうと、回復に何倍もの時間がかかってしまいます。

自衛隊では「撤退」のタイミングを見極めることは重要な判断とされています。

進むも退くも、すべては「生き残るため」なのです。

あなたの人生にとって、今の仕事は通過点に過ぎません。もっと大切なものは、あなたの心と体の健康なのです。

 

まとめ




パワハラと闘うことは、まるで「日々の戦い」のようなものです。

でも、忘れないでください。

この世に仕事より大切なものは、たくさんあります。

その中でも最も大切なのは、あなたの命です。

陸上自衛隊では「生きて任務を遂行せよ」という言葉がありました。

これは「死んでまで無理をするな」という意味です。

どんなに立派な任務でも、命を落としては何にもなりません。

仕事も同じです。心や体を壊してまでする仕事に、何の価値があるでしょうか。

もしあなたの体調が悪化しているなら、それは「撤退」のサインかもしれません。

撤退は決して「逃げ出す」ことではありません。むしろ「自分の命を守るための戦略」なのです。

生きているだけで価値があります。今は辛くても、必ず道は開けます。人生最大の勝利は「生き残ること」なのだから。


本日のコラムはここまでです。

それでは、また次回!


コラムのバックナンバーはこちらから

大阪の労働問題無料相談【労働基準調査組合】

退職代行ローキは、あなたの代わりに退職を代行します。

もしものトラブル(損害賠償、懲戒解雇など)には弁護士が追加料金なしで会社に対応。

絶対あんしんの退職代行です。

ご相談はLINEからお気軽にどうぞ。

 

コラム編集者

コラム編集者

著者プロフィール
ぱやぱやくん

防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に幹部自衛官として勤務をしていたが、退職後にのら猫になった男。文章を書く事が好き。「意識低い系」で、自分が主役になるのが嫌い。
ミリタリーよりも可愛いものが好き。名前の由来は、幹部候補生学校で教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。
【著書】陸上自衛隊ますらお日記/飯は食えるときに食っておく寝れるときは寝る/弱さを抱きしめて、生きていく/など

Twitter