- 退職時の誓約書に署名する法的な義務はない
- 署名済みでも期間や範囲が広すぎれば無効や減額になり得る
- 「サインしないと辞めさせない」は労働組合が代わりに断れる

競業避止の誓約書、サインしないと辞められないの?



もうサインしてしまった。同業に転職したら違約金を取られる?
退職を切り出したら、「同業他社に行かない」「違反したら違約金」と書かれた誓約書を差し出された。ペンを持つ手が止まったまま、何分も紙を見つめてしまう方は少なくありません。
2026年9月7日の弁護士JPニュースの報道によると、「退職後5年間の競業禁止・違反すれば2,000万円」という誓約書について、裁判所が期間を2年に、違約金を1,000万円に切り縮めた判決が紹介されています。この記事では、その判決から「競業避止の誓約書はどこまで有効なのか」「サインを求められたらどうするか」を、労働組合の立場から整理します。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
何が起きたか|「退職後5年・違約金2,000万円」の誓約書を裁判所が「2年・1,000万円」に
結論から言うと、裁判所は競業避止の誓約書そのものは有効としつつ、「5年」は長すぎるとして退職後2年間に限り有効と判断し、違約金2,000万円は不当に高額として1,000万円の支払いのみを命じたと報じられています。判決は2025年6月25日の大阪高等裁判所によるものです(弁護士JPニュース2026年9月7日、弁護士西川暢春氏の解説記事による)。
事案の経緯はこうです。建設業・整備業・交通誘導警備業を営む会社の営業部長だった男性が、在職中に別の会社の取締役に就任し、さらに自分で会社を設立して、勤務先と競合する交通誘導警備の仕事を始めていたとされます。会社はこの競業行為を察知すると、弁護士事務所に男性を呼び、「今後このような行為をしない」「違反した場合は2,000万円を支払う」との誓約書に署名させました。男性はその約2週間後に退職し、退職後も競業を続けたため、会社が違約金の支払いを求めて提訴したという流れです。
| 項目 | 誓約書の内容 | 裁判所の判断 |
|---|---|---|
| 競業禁止の期間 | 在職中および退職後5年間 | 退職後2年間の限度で有効 |
| 地域の制限 | 制限なし | 条項自体は有効と判断 |
| 違約金 | 2,000万円(超える損害は別途請求) | 不当に高額。1,000万円の限度で有効 |
| 考慮された事情 | 在籍約3年1か月・月給約36万円 | 在籍期間と給与水準に照らして減額 |
出典:弁護士JPニュース「無断競業し別会社作った『元営業部長』に判決」(2026年9月7日)、弁護士西川暢春氏の解説(大阪高裁2025年6月25日判決)をもとに作成。
この判決が示したのは、弁護士事務所で作られた誓約書に署名していても、裁判所は「書かれたとおり」ではなく「合理的な範囲まで」しか認めないということです。5年は2年に、2,000万円は1,000万円に削られました。
ただし、この事案は在職中に無断で競業していたという、会社側にかなり有利な構図です。それでも半分に減額されたのですから、在職中に何もしていない一般の従業員が退職時に書かされた誓約書であれば、裁判所の目はさらに厳しくなると考えられます。
- 誓約書に署名していても、内容がそのまま通るわけではない
- 期間の長さは在籍期間や役職とのバランスで削られる
- 違約金の額は給与水準に照らして「高すぎる」と判断され得る



紙に書いてある数字が、そのまま裁判所で通るわけではありません。
競業避止義務とは?サインしてしまった誓約書はどこまで有効なのか
競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)とは、勤務先と競合する会社に転職したり、同じ事業を自分で始めたりしないという約束のことです。在職中は会社への誠実義務の一部として認められますが、退職後については話が変わります。憲法が保障する職業選択の自由を制限するため、就業規則や誓約書に書いてあるというだけでは足りず、その制限が「合理的な範囲」に収まっている場合にだけ有効とされます。
裁判所はどこを見て「有効か無効か」を決める?
裁判所が見るのは、おおむね次の6つの要素です。1970年の奈良地裁判決(フォセコ・ジャパン事件)以来、この枠組みで判断されてきました。すべてを満たす必要はなく、総合的に見て会社の利益と従業員の不利益が釣り合っているかが問われます。
| 判断要素 | 無効に傾く例 |
|---|---|
| 守るべき会社の利益 | 営業秘密や独自のノウハウがなく、単に「辞めてほしくない」だけ |
| 従業員の地位 | 秘密情報に触れない一般職やアルバイトにまで課している |
| 地域の限定 | 全国どこでも禁止、地域の定めがない |
| 期間の長さ | 2年を超える期間。1年以内は比較的認められやすい |
| 禁止される行為の範囲 | 職種を問わず同業全部を禁止している |
| 代償措置 | 競業を我慢する代わりの手当や退職金の上乗せがない |
出典:奈良地裁1970年10月23日判決(フォセコ・ジャパン事件)以降の裁判例で用いられている判断要素を整理。
今回の判決でも、この枠組みに沿って「5年は長い」「地域制限がない」「在籍3年で月給36万円の人に2,000万円は重すぎる」と評価されたと考えられます。逆に言えば、期間が1年以内で、対象が営業秘密に触れる役職に限られ、退職金の上乗せなどの代償措置がある誓約書は、有効と判断される可能性が高くなります。
「違約金〇〇万円」は労働基準法で禁止されているのでは?
労働基準法16条は、会社が労働契約の不履行について違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることを禁止しています。「辞めたら罰金」「途中で辞めたら研修費を返せ」といった約束が無効になるのは、この条文が理由です。ただ、今回の判決では、退職後の競業に対する違約金にはこの条文は適用されないと判断されたと報じられています。労働契約が終わった後の約束は「労働契約の不履行」にはあたらない、という考え方です。
それでも2,000万円が1,000万円に減額されたのは、民法90条の公序良俗に反する部分を無効としたためです。労基法16条が使えなくても、金額が働く人の給与や在籍期間に比べて不釣り合いに高ければ、裁判所は減額できるということになります。
入社時や在職中に「途中で辞めたら研修費を返す」と約束させられているケースは、この記事とは別の問題として整理が必要です。詳しくは研修費を返せは拒否できる?労基法16条で無効になる条件と天引きされたときの対処法で解説しています。



「書いてある」と「有効である」の間には、合理性という大きな壁があります。
退職時に「誓約書にサインしないと辞めさせない」と言われたら
サインしなくても退職はできます。退職時の誓約書に署名する法的な義務はなく、「サインしないと退職できない」という説明は事実ではありません。期間の定めのない雇用であれば、退職の意思を伝えてから2週間が経てば、会社の承諾がなくても退職は成立します(民法627条)。誓約書の提出は退職の条件ではないのです。
退職代行ローキにも、「秘密保持」「退職後〇年間は同業他社に就職しない」という誓約書を出され、断れずに困っている相談が届きます。私たちがお伝えしているのは、内容を見て「この程度なら守れる」と思えるものならサインしても構わないが、それ以上に重い義務を負う内容なら、わざわざ認める必要はないということです。顧客名簿を持ち出して次の会社で使うような行為はもともと法律で禁止されているので、その程度を確認する内容なら害はありません。しかし多くの誓約書は、それより広い範囲の義務を負わせる作りになっています。
- その場で読まずにサインしてしまう(持ち帰って構いません)
- 「サインしないと離職票を出さない」と言われて応じる(書類の交付は会社の義務です)
- 転職先の社名や業務内容を聞かれるまま答える(告げる義務はありません)
- 「違約金を払うくらいなら」と転職自体をあきらめる(条項の有効性は別に争えます)
すでにサインしてしまった場合はどうなる?
署名した誓約書が自動的にすべて有効になるわけではありません。前の章の6要素に照らして、期間・地域・職種の限定がなく、代償措置もない誓約書であれば、無効または一部無効と判断される余地があります。実際に今回の判決でも、署名済みの誓約書の期間と金額が削られています。
一方で、在職中に競合する事業を始めていた、会社の顧客名簿や技術情報を持ち出したといった事情があれば、誓約書の有無にかかわらず責任を問われます。営業秘密の持ち出しは不正競争防止法で、在職中の競業は労働契約上の誠実義務違反として、それぞれ別に扱われます。誓約書の有効性を争えることと、何をしてもよいことは同じではありません。
- その場でサインせず、写しをもらって持ち帰る
- 期間・地域・職種・代償措置の4点を確認する
- 守れる範囲に限定するよう修正を求めるか、署名を断る
- 就業規則や入社時の誓約書に同じ条項がないかも確認する



断ってよいものを断るだけです。退職と誓約書は、もともと別の話です。
労働組合の現場から見た「退職時の誓約書」の実態
相談の現場で目立つのは、誓約書が「引き止めの道具」として使われている場面です。退職を申し出た直後に、それまで一度も見せられたことのない誓約書が出てきて、「これにサインしてからでないと手続きを進められない」と言われる。本人は法律の知識がないまま、辞めるためには仕方ないと思ってサインしてしまいます。誓約書が本来の目的である営業秘密の保護ではなく、退職の足止めに使われているケースです。
もう一つ多いのが、誓約書の内容が実態と釣り合っていないケースです。営業秘密に触れる立場ではない一般社員に、業界全体・全国・3年間といった広い禁止を課している例は珍しくありません。こうした誓約書は、裁判になれば無効と判断される可能性が高いのですが、本人は「サインした以上は守らなければ」と思い込み、転職先を業界外に限定してしまいます。誓約書の効力は転職の自由を狭める方向にだけ働いて、会社側が実際に請求してくることはまれ、というのが実感です。
退職金の規程に「競業避止に違反した場合は退職金を減額する」と書かれている会社もあります。この場合も、減額が有効かどうかは競業の程度や会社への背信性で判断されるため、規程にあるというだけで全額不支給が通るわけではありません。急な退職を理由に損害賠償をちらつかせるパターンについては、急な退職で損害賠償請求されませんか?で詳しく説明しています。
- 退職を申し出た当日に初めて出される「引き止め型」
- 一般社員に業界全体・全国・数年の禁止を課す「過大型」
- 違反時の違約金だけが具体的で、代償措置が何もない「片務型」



誓約書は営業秘密を守る道具であって、人を引き止める道具ではありません。
同業に転職したい人が今日からできること
まず、自分が何に署名しているかを把握することが出発点です。入社時の誓約書、就業規則の退職に関する条項、退職時に出された書面の3つを集めて、競業避止や秘密保持について何が書かれているかを確認してください。就業規則は会社に周知義務があるので、閲覧を求めることができます。手元に写しがなければ、退職前に確保しておきましょう。
転職先の業務が「禁止の範囲」に入るかを見る
誓約書に書かれた禁止の範囲と、転職先で実際に担当する業務を照らし合わせます。同じ業界でも、扱う商品や地域、顧客層が異なれば「競業」にあたらないことも多くあります。逆に、前の会社の顧客をそのまま引き継ぐような働き方は、誓約書の有効性にかかわらずトラブルの原因になります。前職の顧客情報や資料は一切持ち出さず、自分の頭の中にある経験だけで勝負するのが安全な線です。
会社から警告書や請求書が届いたら
退職後に「競業避止義務違反」として内容証明が届いても、慌てて支払う必要はありません。誓約書の有効性と、実際に会社に損害が出たかどうかは、それぞれ争えます。放置すると不利になる場合があるので、届いた書面は捨てずに保管し、期限内に弁護士へ相談してください。各都道府県の「総合労働相談コーナー」では無料で相談でき、費用が心配な場合は「法テラス」の制度も使えます。会社との紛争を裁判所で解決する「労働審判」という手続きもあります。
請求されたときに効いてくるのは、「何に署名したか」の記録と「何を持ち出していないか」の証明です。退職前に書面の写しを確保し、私物のパソコンやスマホに会社のデータを残さないことが、あとで自分を守る材料になります。
- 入社時・在職中・退職時に署名した書面の写し
- 就業規則の退職・競業避止・退職金に関する条項
- 会社の情報を返却・削除した記録(返却日・方法)



記録と線引きさえ残しておけば、あとから言われても落ち着いて対応できます。
誓約書を盾に引き止められて辞められないなら、退職代行ローキという選択肢
先にお伝えしておくと、すでに会社から競業避止義務違反として違約金や損害賠償を請求されている場合や、その請求を裁判で争う場合は、弁護士への相談が適切です。労働組合には訴訟の代理はできず、退職代行ローキの弁護士対応も「退職したこと自体に対する損害賠償請求や懲戒解雇」に限られます。競業をめぐる争いそのものは対象外です。
そのうえで、「誓約書にサインしないと辞めさせないと言われている」「退職日を決めさせてもらえない」「会社と直接やり取りするのがもう限界」という段階であれば、労働組合が運営する退職代行が力になります。退職代行ローキは、労働委員会の資格審査を経た労働組合「労働基準調査組合」が運営しており、あなたに代わって会社と交渉する権限を持っています(※)。退職の意思を伝えるだけでなく、退職日の確定、有給休暇の消化、退職書類の交付まで、あなたが会社と話さないまま進められます。
誓約書についても、内容を確認したうえで「署名の義務はない」「この範囲なら応じる」という本人の意思を、組合が会社に伝えます。退職に対して会社が損害賠償請求や懲戒解雇処分を持ち出してきた場合には、顧問弁護士が追加料金なしで撤回交渉にあたります(※退職とは無関係な請求や故意による損害、横領などは対象外です)。料金は19,800円(税込)で、組合加入費2,800円と組合費17,000円の内訳です。追加料金は原則かかりません(※振込手数料や後払い手数料を除きます)。相談はLINEで24時間受け付けています。
退職後の進路については、国家資格キャリアコンサルタントによる相談サービス「キャリアバディ」と提携しています。誓約書の範囲を踏まえて次の職場を選びたい方にも使えます。退職代行を使うことで会社から訴えられないかという不安には、退職代行で訴えられる?損害賠償のリスクと安心できる業者の選び方で答えています。
- 労働組合の交渉権で退職日・有給消化・退職書類の交付を交渉
- 誓約書への署名を強要されている状況を、本人に代わって会社へ伝える
- 退職に対する損害賠償請求・懲戒解雇には弁護士が追加料金なしで対応
- 19,800円(税込)のみ。追加料金は原則不要



「サインするまで帰さない」という場面から、あなたを外すのが私たちの役目です。
よくある質問(FAQ)
競業避止の誓約書にサインしないと退職できませんか?
サインしなくても退職できます。誓約書への署名は退職の条件ではなく、法的な義務もありません。期間の定めのない雇用なら、退職の意思を伝えてから2週間で退職は成立します。「サインしないと辞めさせない」と言われても、その説明に従う必要はありません。
すでに誓約書にサインしてしまいました。同業に転職したら違約金を払うことになりますか?
署名していても、誓約書がそのまま有効とは限りません。期間・地域・職種の限定がなく、代償措置もない誓約書は、無効または一部無効と判断される余地があります。2025年6月の大阪高裁判決でも、退職後5年・違約金2,000万円の誓約書が2年・1,000万円に減額されたと報じられています。ただし、営業秘密の持ち出しや在職中の競業は別に責任を問われます。
競業避止義務の期間は何年までなら有効ですか?
一律の基準はありませんが、裁判例では1年以内であれば比較的認められやすく、2年を超えると否定的に判断される傾向があります。今回の判決も5年を「長すぎる」として2年に限定しました。期間だけでなく、地域や職種の限定、代償措置の有無とあわせて総合的に判断されます。
転職先の会社名を前の会社に伝える義務はありますか?
ありません。退職理由や転職先を会社に告げる義務はなく、答えたくなければ「未定です」で足ります。誓約書に「転職先を報告する」という条項があっても、それに応じるかは本人の判断です。競業にあたるかどうかを会社が判断する材料にされることもあるため、慎重に扱ってください。
退職代行ローキは、競業避止の誓約書のトラブルにも対応してくれますか?
署名を強要されて退職できない、退職日を決めてもらえないといった「退職手続きの場面」であれば、労働組合として本人に代わって会社に意思を伝え、退職日や有給消化を交渉します。一方、すでに違約金や損害賠償を請求されている場合や、その請求を裁判で争う場合は弁護士が適切です。ローキの弁護士対応は、退職したこと自体に対する損害賠償請求や懲戒解雇に限られます。
まとめ|誓約書は「書いてあるとおり」には通らない。退職とは切り離して考える
- 大阪高裁は「5年・2,000万円」の誓約書を「2年・1,000万円」に切り縮めた
- 退職後の競業避止は、期間・地域・職種・代償措置の合理性で有効性が決まる
- 退職時の誓約書に署名する義務はなく、サインは退職の条件ではない
- 営業秘密の持ち出しや在職中の競業は、誓約書と関係なく責任を問われる
今回の判決は、弁護士事務所で作られた誓約書であっても、裁判所は合理的な範囲までしか認めないことを示しました。在職中に無断で競業していた事案でさえ半分に削られたのですから、退職時に初めて出された誓約書の効力は、書面の見た目ほど強くありません。
判断の軸は「サインしたかどうか」ではなく、「自分は何を守れて、何を守る必要がないのか」を分けることです。営業秘密を持ち出さないという線さえ守っていれば、転職先を業界の外に狭める必要はありませんし、違約金の脅しに転職をあきらめる必要もありません。
誓約書を理由に退職の手続きを止められている、会社と直接話すのが苦しいという方は、労働組合が運営する退職代行ローキにご相談ください。退職日の確定から有給消化、退職書類の交付まで、あなたに代わって会社と向き合います。相談は無料で、LINEなら24時間受け付けています。



守るべき線を守っていれば、次の職場を選ぶ自由はあなたのものです。
「この誓約書、サインしていいの?」の確認だけでも、まずはLINEでお聞かせください。
退職代行ローキは労働組合として会社と直接交渉します。
料金は19,800円(税込)で、相談は無料です。
参考情報・出典
・弁護士JPニュース「無断競業し別会社作った『元営業部長』に判決…違約金2000万円請求も、裁判所が1000万円しか認めなかったワケ」(2026年9月7日)
・弁護士西川暢春「従業員の退職後の競業避止義務違反について1000万円の支払命令。大阪高裁の判断の理由とは?」(大阪高裁2025年6月25日判決の解説)
・e-Gov法令検索「労働基準法」(16条・賠償予定の禁止)
・e-Gov法令検索「民法」(90条・627条)
・e-Gov法令検索「不正競争防止法」
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
・法テラス(日本司法支援センター)
・裁判所「労働審判手続」
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
続きを読む
私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。









