- 飲酒運転でも懲戒解雇が無効になることはある
- 争点は就業規則の該当性と処分の重さの釣り合い
- 解雇無効なら解雇後の賃金もさかのぼって請求できる

飲酒運転でクビになったら、もう争えないの?



懲戒解雇だと退職金も失業保険もゼロになる?
「飲酒運転をした社員は懲戒解雇」。多くの会社の就業規則にそう書かれていますし、飲酒運転が違法で危険な行為であることに疑いはありません。ただ、懲戒解雇という処分が法律上いつでも有効かというと、話は別です。
2026年9月3日の報道によると、前夜の飲酒が翌朝まで残った状態で事故を起こし懲戒解雇された日本郵便の配達員について、福岡地方裁判所が解雇を無効と判断し、解雇後の賃金の支払いを命じました。この記事では、判決で何が決め手になったのか、懲戒解雇を言い渡された人が「自分の処分は争えるのか」を見極める基準、解雇後のお金の扱いまで、労働組合の立場から解説します。
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。判決は会社側が控訴の意向と報じられており、確定していません。
何が起きた?飲酒運転による懲戒解雇を福岡地裁が「無効」と判断
結論から言うと、裁判所は「飲酒運転の故意がなく、会社の懲戒基準に該当しない」として懲戒解雇を無効としました。共同通信やKBC九州朝日放送、RKB毎日放送などの報道をまとめると、事案の流れは次のとおりです。
| 時期 | 報道された経過 |
|---|---|
| 2023年2月の夜 | 40代の配達員の男性が自宅で酎ハイ1本と焼酎の水割り3杯を飲み、就寝 |
| 翌朝 | 自家用車で信号待ちの車に追突。呼気1リットル中0.53ミリグラムのアルコールを検出 |
| その後 | 道路交通法違反の容疑は嫌疑不十分で不起訴に |
| 2024年 | 会社が懲戒解雇。男性は地位確認と未払い賃金を求めて提訴 |
| 2026年9月3日 | 福岡地裁が解雇を無効と判断。解雇後の賃金と賞与の支払いを命令 |
出典:共同通信「酒気帯び故意なく配達員解雇無効」(2026年9月3日)ほか各社報道をもとに作成。
会社の懲戒基準は「故意による飲酒運転で交通事故を起こした者」を懲戒解雇の対象と定めていたと報じられています。裁判所は、前夜の飲酒量は一般的に泥酔や深酒とはいえず、男性がアルコールが残っている可能性を認識していたとは認められないと判断しました。さらに、残り酒についての詳細な研修が行われておらず、客観的な数値で判断する仕組みもなかったことから、飲酒運転の根絶に向けた取り組みが徹底されていたとは認めがたいと指摘したとされます。
KBC九州朝日放送によると、会社に命じられたのは、2024年2月から判決確定日までの月額34万8,850円の賃金と、年2回各78万7,524円の賞与、年3%の遅延損害金です。会社側は控訴する意向と報じられています。
この判決が示したのは、飲酒運転を許すという話ではありません。会社が自分で決めた懲戒基準に当てはまらない行為を、懲戒解雇という最も重い処分で罰することはできないという、懲戒処分の原則です。



「飲酒運転=即クビ」ではなく、会社の基準と処分の重さが問われた判決です。
なぜ飲酒運転でも懲戒解雇が無効になるのか|法律上の3つのハードル
懲戒解雇が有効と認められるには、会社側が3つのハードルを越える必要があります。1つ目は就業規則に懲戒の理由と種類が定められていること、2つ目はその理由に実際の行為が当てはまること、3つ目は処分の重さが行為の内容に見合っていることです。労働契約法は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は無効と定めています。
懲戒解雇・諭旨解雇・普通解雇はどう違う?
同じ「解雇」でも、意味合いと不利益の大きさが違います。懲戒解雇は制裁としての解雇で、処分の中で最も重く、退職金の不支給や離職票の記載で不利益が生じやすい処分です。諭旨解雇は、本人に退職を促し応じなければ懲戒解雇にする、という一段軽い処分です。普通解雇は制裁ではなく、勤務成績や適格性などを理由に雇用契約を終了させるもので、飲酒運転で免許を失い運転業務ができなくなった場合などに検討されます。
| 種類 | 性格と主な不利益 |
|---|---|
| 懲戒解雇 | 制裁として最も重い処分。退職金の不支給・減額や重責解雇の扱いにつながりやすい |
| 諭旨解雇 | 退職届の提出を促し、応じなければ懲戒解雇にする一段軽い処分 |
| 普通解雇 | 制裁ではなく、業務遂行が難しくなった等を理由にした契約終了。30日前の予告か予告手当が必要 |
会社が「懲戒解雇」と告げていても、争いの中でより軽い処分や普通解雇が相当と判断されることがあります。どの種類の解雇なのかは、解雇理由証明書や通知書の文言で確認できます。
私生活での飲酒運転も、会社は処分できる?
できる場合があります。ただし無条件ではありません。会社が懲戒できるのは、原則として職場の秩序に関わる行為です。休日や勤務時間外の私生活上の行為は、会社の信用を大きく傷つけたり、業務に具体的な支障を生じさせたりした場合に限って処分の対象になる、というのが裁判所の基本的な考え方です。
飲酒運転は社会的な非難が強い行為なので、私生活上の行為であっても処分の対象になることが多いです。とくに運送や配達など運転が仕事の中心にある職種では、会社の信用との結びつきが強いと評価されやすくなります。今回の判決も、処分の対象になるかどうかではなく、懲戒解雇という重さが相当だったかどうかを問題にしています。
「故意」と「過失」で何が変わる?
処分の重さが大きく変わります。飲んだ直後に運転席に座るのと、前夜の酒が翌朝まで残っていたことに気づかず運転するのとでは、行為の悪質さが違うからです。もちろん後者も道路交通法上は酒気帯び運転になり得ますし、責任がなくなるわけではありません。ただ、懲戒解雇という処分の相当性を判断するときには、本人がどこまで認識していたかが重く見られます。
今回の判決では、会社の基準そのものが「故意」を要件にしていた点が決定的でした。加えて裁判所は、会社が残り酒に関する研修や客観的な検査の仕組みを整えていなかった点にも触れています。従業員に「翌朝まで酒が残ることを予見せよ」と求めるなら、会社にも教育や検知の仕組みを整える責任がある、という見方です。
過去の裁判では、どんなときに有効・無効とされてきた?
飲酒運転を理由とする懲戒解雇の裁判例は、有効とされたものと無効とされたものの両方があります。判断を分けてきたのは、行為の悪質さと会社への影響の大きさです。おおまかな傾向を整理すると次のようになります。
| 懲戒解雇が有効とされやすい事情 | 無効とされやすい事情 |
|---|---|
| 飲んだ直後の運転など故意が明らか | 前夜の酒が残った状態で、認識がなかった |
| 酒酔い運転や高い検出値で悪質 | 検出値が低く、泥酔や深酒といえない |
| 人身事故やひき逃げ、発覚を免れる行動 | 事故が軽微で、隠そうとしていない |
| 社用車の使用や業務命令違反を伴う | 私生活上の行為で、業務との結びつきが弱い |
| 報道などで会社の信用が現に傷ついた | 同種事案で他の社員はより軽い処分だった |
飲酒運転を理由とする懲戒処分に関する公表裁判例の傾向をもとに当組合が整理。個別の結論は事案ごとに異なります。
右の列に当てはまる事情が多いほど、懲戒解雇は「重すぎる」と判断される可能性が高まります。ただし、右の列に当てはまるからといって処分そのものが免れるわけではなく、出勤停止や減給などより軽い処分は有効とされることが一般的です。
公務員の飲酒運転はなぜ処分が重い?
公務員の場合、多くの自治体が飲酒運転を原則免職とする処分基準を公表しており、民間より厳しい運用が定着しています。ただし裁判所は公務員についても、事故や被害の有無、飲酒量、勤務歴などを踏まえて免職が重すぎると判断した例があります。民間企業でも、公務員の処分基準をそのまま持ち込んで「飲酒運転は一律解雇」と運用している場合は、処分の相当性が争点になり得ます。
- 就業規則の懲戒事由に、実際の行為がぴったり当てはまるか
- 本人の認識(故意か過失か)と、飲酒量・検出値の程度
- 会社側の教育や検査の仕組み、過去の同種事案との均衡



「違法な行為をした」と「懲戒解雇が相当」は、法律上は別々に判断されます。
懲戒解雇を言い渡されたら、まず確認したい5つのこと
争えるかどうかを見極める材料は、通知を受けた直後に集めるのが一番確実です。処分を受け入れるにしても争うにしても、次の5点を押さえておくと判断を誤りにくくなります。
- 就業規則の懲戒規定を入手し、自分の行為がどの条文に当たるとされたか
- 解雇理由証明書を書面で請求し、会社が挙げた理由を固定する
- 弁明の機会が与えられたか、聞き取りの記録は残っているか
- 過去に同じような事案があった場合、その人の処分は何だったか
5つ目は、退職届や合意書にサインしていないかどうかです。懲戒解雇の場面では「自主退職にしてあげるから」と退職届の提出を促されることがあります。一度サインすると、解雇の効力を争う道が事実上閉ざされることがあるため、内容を理解しないまま署名しないことが肝心です。
- その場で退職届や退職合意書にサインする
- 口頭の説明だけで納得し、解雇理由証明書を求めない
- 貸与品を返す際に、勤怠記録や社内メールの控えも一緒に手放す
- 「争っても無駄」と決めつけて、期限のある手続きを放置する



最初の数日で残す記録が、あとで争えるかどうかを左右します。
解雇後のお金はどうなる?賃金・退職金・失業保険の扱い
解雇が無効と判断されれば、解雇されていた期間の賃金をさかのぼって請求できます。今回の判決で会社に命じられた「2024年2月から判決確定日までの月額賃金と賞与」がまさにこれで、バックペイと呼ばれます。解雇が無効なら雇用契約は続いていたことになるため、働けなかった期間の賃金も会社が支払う責任を負う、という考え方です。
懲戒解雇だと退職金は出ない?
就業規則に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規定があっても、自動的にゼロになるとは限りません。裁判所は、それまでの勤続の功労をすべて打ち消してしまうほど重大で悪質な背信行為があったかどうかで、不支給や減額の可否を判断してきました。懲戒解雇の事案で、勤続の功労をすべて失わせるほどではないとして退職金の一部(3割)の支払いを命じた裁判例もあります(東京高裁2003年)。懲戒解雇そのものが無効となれば、退職金の問題は生じません。
失業保険は「重責解雇」扱いになる?
自分の重大な責任による解雇(重責解雇)と判断されると、失業給付に給付制限がかかります。2025年4月以降、自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮されましたが、重責解雇の場合は引き続き3か月です。重責解雇に当たるかどうかはハローワークが判断するため、会社が「懲戒解雇」と書いたからといってそのまま確定するわけではありません。離職票の記載に納得できなければ、ハローワークで事情を説明し、異議を申し出ることができます。
- 解雇無効が認められれば、解雇後の賃金と賞与をさかのぼって請求できる
- 退職金の不支給は、勤続の功労を打ち消すほどの背信行為がある場合に限られる
- 重責解雇かどうかは会社ではなくハローワークが判断する



「懲戒解雇=すべて失う」と決めつける前に、確認できる制度がいくつもあります。
労働組合の現場から見た実態|「クビと言われたら終わり」と諦める人が多い
解雇通知の翌日には辞めたことになっている?
相談を受けていて感じるのは、懲戒解雇と聞いた瞬間に「自分が悪いのだから仕方ない」と処分を丸ごと受け入れてしまう方が非常に多いことです。飲酒運転のように本人に落ち度がある事案ほど、その傾向は強くなります。会社に呼ばれた翌日には退職届を出していた、という相談も珍しくありません。
けれども、落ち度があることと、懲戒解雇が相当であることは別の問題です。今回の判決のように、会社が定めた基準に当てはまらない、教育や検査の仕組みが不十分だった、過去の同種事案より処分が重い、といった事情があれば、処分の重さを争う余地は残ります。退職届を出す前に、その余地があるかどうかだけでも確認してほしいというのが現場の実感です。
争うなら、どこに相談すればいい?
懲戒解雇の効力そのものを裁判で争うなら、弁護士に依頼するのが適切です。労働審判は原則3回以内の期日で決着する手続きで、解雇事案でよく使われます。費用が心配な場合は法テラスの無料相談や費用立替制度が利用できます。まず状況を整理したいだけなら、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーで無料相談ができます。
解雇の理由が「能力不足」や「業務命令違反」とされている場合の争い方は、「能力不足で解雇」は無効にできる?業務改善プログラム(PIP)と退職勧奨への対処法で詳しく解説しています。会社側の責任がどこまで認められるかという点では、パワハラが認定されないのはなぜ?それでも会社の責任を認めた5,600万円判決と、限界が来る前にできることも参考になります。
争うかどうかを決める前に、解雇理由証明書と就業規則の懲戒規定を手元にそろえることが出発点です。この2つがあれば、相談先がどこであっても具体的な見立てを聞けます。



落ち度があっても、処分の重さは別に問えます。諦める前に書類をそろえてください。
退職を決めたとき、懲戒解雇をちらつかせる会社への備え
先にお伝えすると、飲酒運転などを理由に受けた懲戒解雇の効力そのものを裁判で争う場合は、弁護士に依頼するのが適切です。労働組合には訴訟の代理はできません。そのうえで、労働組合が力になれるのは「辞めると伝えたら懲戒解雇にすると脅された」「退職を申し出たら急に懲戒処分の話が出てきた」という場面です。
退職代行ローキは、労働委員会の資格審査を経た労働組合「労働基準調査組合」が運営しており、会社と交渉する権限を持っています(※)。退職の意思を伝えるだけでなく、退職日の調整や有給休暇の消化、未払い賃金の請求まで、あなたが会社と直接やり取りせずに進められます。退職を理由に会社が懲戒解雇処分を言い渡してきた場合や損害賠償を請求してきた場合には、顧問弁護士が追加料金なしで撤回を求めます。ただし、退職とは無関係な請求や、故意による損害、横領などは対象外です。
就業規則違反を理由にした退職妨害への対応は退職代行を使って退職しても懲戒解雇にならないの?で、退職時の損害賠償の考え方は退職代行で訴えられる?損害賠償のリスクと安心できる業者の選び方で解説しています。料金は19,800円(税込)で、組合加入費2,800円と組合費17,000円の内訳です。追加料金は原則かかりません(※振込手数料などを除きます)。相談はLINEで24時間受け付けています。
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辞めると伝えた途端に出てくる「懲戒」の話は、間に組合が入ると止まることが多いです。
よくある質問(FAQ)
飲酒運転をしたら、どんな場合でも懲戒解雇になりますか?
そうとは限りません。懲戒解雇が有効になるには、就業規則の懲戒事由に当てはまり、かつ処分の重さが行為に見合っている必要があります。故意の有無、飲酒量や検出値、事故の程度、会社の信用への影響、過去の同種事案との均衡などによって、出勤停止や減給などより軽い処分が相当とされることがあります。
前の晩のお酒が残っていただけでも、懲戒解雇の対象になりますか?
対象になることはありますが、飲んだ直後の運転に比べると処分は軽くなる傾向にあります。2026年9月の福岡地裁判決では、会社の懲戒基準が「故意による飲酒運転」を要件にしていたこと、本人がアルコールが残っている認識を持っていたとは認められないこと、会社が残り酒の研修や検査の仕組みを整えていなかったことから、懲戒解雇は無効と判断されたと報じられています。
懲戒解雇を争って勝ったら、その間の給料はもらえますか?
もらえます。解雇が無効なら雇用契約は続いていたことになるため、解雇後に働けなかった期間の賃金を請求できます。今回の判決でも、解雇後から判決確定日までの月額賃金と年2回の賞与、遅延損害金の支払いが会社に命じられたと報じられています。
懲戒解雇されると失業保険はもらえませんか?
もらえます。ただし自分の重大な責任による解雇(重責解雇)と判断されると、3か月の給付制限がかかります。重責解雇かどうかはハローワークが判断するため、会社の記載に納得できない場合は事情を説明して異議を申し出ることができます。
退職を申し出たら「懲戒解雇にする」と言われました。どうすればいいですか?
退職の申し出そのものは労働者の権利であり、それを理由にした懲戒解雇は認められにくいです。期間の定めのない雇用なら、申し出から2週間で退職できます。会社と直接やり取りするのが難しい場合は、労働組合が運営する退職代行を使えば、組合が会社と交渉し、退職を理由とする懲戒解雇や損害賠償請求には顧問弁護士が追加料金なしで撤回を求めます。
まとめ|落ち度と処分の重さは別に問える
- 福岡地裁は、故意のない酒気帯び運転を理由とする懲戒解雇を無効と判断した
- 懲戒解雇の有効性は、就業規則の該当性と処分の相当性で決まる
- 解雇理由証明書と就業規則を早めにそろえ、退職届にはすぐサインしない
- 解雇無効なら解雇後の賃金を請求でき、退職金や失業保険も確認の余地がある
飲酒運転が許される行為でないことは、この判決のあとも変わりません。ただ、会社が科す処分には法律上の限度があり、その限度を超えた懲戒解雇は無効になります。判決が確定していない点には注意が必要ですが、「違法な行為をした以上、どんな処分でも受け入れるしかない」という思い込みを見直すきっかけになる判断です。
判断の基準は「自分に落ち度があったか」ではなく「その落ち度に対して、この処分は釣り合っているか」です。釣り合っていないと感じたら、書類をそろえて相談するだけで、選べる道は増えます。
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処分が重すぎると感じたその直感は、法律の側にも根拠があります。
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参考情報・出典
・共同通信「酒気帯び故意なく配達員解雇無効 日本郵便の根絶不徹底と福岡地裁」(熊本日日新聞・2026年9月3日)
・共同通信「日本郵便配達員、飲酒運転で解雇に無効判決」(Yahoo!ニュース・2026年9月3日)
・RKB毎日放送「飲酒運転で不起訴になった社員を懲戒解雇した日本郵便 福岡地裁が『解雇は無効』の判決」(Yahoo!ニュース・2026年9月3日)
・e-Gov法令検索「労働契約法」(15条・16条)
・e-Gov法令検索「労働基準法」(22条)
・e-Gov法令検索「雇用保険法」
・e-Gov法令検索「労働組合法」
・裁判所「労働審判手続」
・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
執筆者


労働基準調査組合 執行委員長
谷本 祥子
私は飲食店勤務やメーカー代理店勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。メーカー代理店では、商品販売の営業職として働いていました。現場では長時間労働や無理なノルマ強要が当たり前で、私も同僚たちも皆疲弊しきっていました。従業員たちが「辞めたい」と申し出ても、会社は「後任が見つかるまで待て」とか「引き継ぎが終わるまでダメだ」と拒み続け、退職を認めませんでした。中には精神的に追い詰められて鬱病になり、ある日突然来なくなってしまう同僚もいました。
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私自身も会社の方針に疑問を感じ、労働環境の改善を上層部に提案しましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。それどころか「部下をもっと厳しく指導しろ」と圧力をかけられる始末でした。私も心身ともに不調をきたしたため、退職を申し出ましたが、やはり引き止められ、なかなか辞めることができませんでした。
最終的に、労働問題に明るい仲間達の力を借りて退職することができました。この経験から「働く人たちがもっと気軽に、安心して退職できる仕組みが必要だ」と痛感しました。このような辛い経験をした自分だからこそ、労働者の立場に立って支援したいと考え、現在は労働基準調査組合の執行委員長として活動しています。
同じように悩み苦しむ方々が孤立せず、労働現場で生じるあらゆる労働問題に真摯に向き合い、実効性ある労働法に則った支援を行ってまいります。









